今回はゴーゴンとメデューサの違いを見ていきます。この2つはどちらもギリシア神話に登場する恐ろしい怪物です。ゴーゴンとメデューサが同じものを指すような描写も少なくないから、2つが同じ意味だと思っているやつもいるかもしれないが、それは違う。実はゴーゴンはメデューサを含む集団を指し、メデューサは個人の名前らしいのです。この先は神話好き主婦ライターのスズキアユミと一緒に詳細を解説していきます。

ライター/スズキアユミ

神話やおとぎ話が好きな主婦ライター。はるか昔に作られた神話が現在の美術や社会にも影響を与えていると思うとロマンを感じる。

ゴーゴンとメデューサの違いとは?

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ゴーゴンとメデューサは、ともにギリシア神話に登場する怪物の名前。2つが同一の怪物だと思われていることもありますが、その違いはずばり集団か個人か。ゴーゴンは、メデューサという名前の娘を含む3姉妹の呼び名です。

ゴーゴンはメデューサを含む3姉妹の総称

ゴーゴンは、末っ子のメデューサと姉2人を合わせて呼ぶ際の名称。「ゴーゴン3姉妹」と表現することもあり、恐ろしい姿をした3人の女性を表しています。メデューサ以外の2人は語られる機会が少ないものの、個人の名前や外見の描写が存在しますので、次でご紹介しましょう。

ゴーゴン3姉妹の名前と特徴

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ゴーゴン3姉妹には、それぞれに恐ろしい形容の名前があります。容姿も非常に特徴的なうえ、私たち人間には信じがたい能力も持っているそう。想像するだけで身の毛もよだつほどです。1つずつその詳細を見ていきましょう。

ゴーゴン3姉妹の名前

ゴーゴン3姉妹の「ゴーゴン」は、「恐ろしいもの」という意味のギリシア語です。姉妹の1人目は「ステンノー」。「強い女」を指し示します。2人目は「メウリュアレー」。「広くさまよう女」です。そして「メデューサ」。「支配する女」。いかに驚異的で、人々から恐れられていた存在であったかが分かるでしょう。

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ゴーゴン3姉妹の特徴

ゴーゴン3姉妹は同じ外見をしており、代名詞なのが髪と目です。頭からは生きた無数の蛇が髪のように生えており、うねうねとうごめく様子がいくつもの絵画に表現されるほど。そして目。その目を見たものは石に変えられるといわれ、3姉妹の全員がその力を持っていたという説と、メデューサのみが持っていたという説が存在します。

元々は「その姿を見たものは恐怖で石のように動けなくなる」という描写でしたが、いつの頃からか「石に変えられる」と伝えられるようになりました。このほか、背中に生えた黄金の翼、猪のような鋭い牙、青銅でできた手といった特徴があります。

また、3姉妹のうち上の2人は不死身、メデューサのみが不死身ではないというのもポイント。のちにメデューサが退治されるのは、彼女だけが不死身ではなかったからといわれています。

ゴーゴン3姉妹はなぜ怪物となったのか

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ルネ=アントワーヌ・ウアス - The Athenaeum: Home - info - pic, パブリック・ドメイン, リンクによる

ゴーゴン3姉妹はもともと怪物ではなく、人間の美しい女性たちでした。それがなぜ3人とも恐ろしい怪物になってしまったのでしょうか。その理由は、知恵の女神「アテナ」の怒りをかってしまったことにありました。そう語られる2つの説話をご紹介しましょう。

説話1.ポセイドンとメデューサの関係が神の怒りをかったため

1つ目の説話は、ポセイドンとメデューサの関係が神の怒りをかったため、というものです。海の神「ポセイドン」は美しいメデューサを見初め、2人は恋仲になります。何度も逢瀬を重ね、ついにアテナの神殿で愛を重ねてしまいました。

それに怒ったアテナですが、ポセイドンはアテナよりも強い神。そこでアテナはメデューサのみに罰を与え、醜い姿に変えてしまったといいます。それに抗議したメデューサの2人の姉もアテナの怒りに触れて、同じ姿に変えられたのでした。

説話2.メデューサが髪の美しさを自慢したため

2つ目の説話は、メデューサが「私の髪はアテナよりも美しい」と自慢したことで、アテナの怒りをかって怪物に変えられたというものです。これはメデューサ自身が自慢したという説と、姉2人が自慢したという説が存在します。いずれの場合も、抗議した姉たちもろともアテナによって姿を変えられてしまいました。

メデューサを退治したペルセウス

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ある日、ペルセウスという青年がメデューサの退治を命じられました。彼は神々から多くの知恵とアイテムを授かり、恐ろしい力をもつメデューサを退治することに成功します。ペルセウスはなぜ、そしてどのようにメデューサを退治したのでしょうか。

ペルセウスはなぜメデューサを退治することになった?

ペルセウスは、最高神ゼウスとある国の王女ダナエの間に生まれた子でした。ダナエの父親は、将来この子供に殺されるという予言を受けたことに恐れをなし、母親のダナエもろとも箱に入れて海に流してしまいます。

2人は何とか島に流れ着き、漁師の男に助けられて平穏に暮らしていました。しかし、その島の王がダナエの美貌に魅了されたことで、王は邪魔な存在であるペルセウスをダナエから引き離そうとし、メデューサの退治という無理難題を彼に命じたのでした。

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ペルセウスがメデューサ退治に使ったアイテムは?

ペルセウスはメデューサ退治にむけて、2人の神に助けを求めました。知恵の神アテネと、計略の神ヘルメスです。彼は2人から4つのアイテムを授かりました。黄金の盾、姿を隠せる兜、黄金の翼のついたサンダル、百の目をもつ巨人を倒したという刀。これがメデューサ退治において大いに役立つことになります。

ペルセウスは次に精霊たちのすみかを訪れ、金糸で織った袋「キビシス」を与えられました。蛇の髪をもつメデューサの首は猛毒なので、普通の袋では耐えられないためです。

ペルセウスはどのようにメデューサを退治した?

ペルセウスは授かったアイテムを持ち、ゴーゴン3姉妹がすむ場所に向かいました。到着すると3姉妹は眠っており、退治には絶好のチャンスです。

まずは黄金の盾の陰に隠れてメデューサを直視しないようにして近づき、刀でメデューサの首をとりました。その首をキビシスに入れていたところ、物音で姉2人が目を覚まします。そこでペルセウスは姿を隠す兜を被り、翼の付いたサンダルで飛び立って逃げ切ることに成功しました。

メデューサの首の力

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メデューサの首は、体から切り離されてもなお、見たものを石にする力を持ち続けていました。そのため、ペルセウスが首を持ち帰ったあとも、様々な場面でその力が活用されることになります。代表的な物語を2つご紹介しましょう。

アンドロメダの救出

ペルセウスがメデューサ退治を終えて母の元へ戻る際中、岩にはりつけにされた女性を発見します。海の怪物ケートスの生贄にされていた、エチオピアの王女「アンドロメダ」でした。ペルセウスはアンドロメダを助けるため、怪物ケートスにメデューサの首を掲げて石に変えたのでした。

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アテナの盾の強化

ペルセウスはその後、知恵の女神アテナにメデューサの首を献上しました。アテナはその首を自身の盾「イージス」にはめ込みます。その首を見たものは石になるのですから、敵対者への強力な脅しとなったといわれています。

現存するメデューサのモチーフ

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見るものを石にするメデューサの首の力。その神話から、後世にはメデューサの首に魔除けの力があるとして伝えられてきました。現在もその影響を受けているシンボルが存在しています。代表的な例をご紹介しましょう。

トルコの遺跡

メデューサのモチーフはトルコに多く残されています。「エフェソス遺跡」では、魔除けとして神殿のアーチにメデューサのレリーフが刻まれました。「ディディム遺跡」にあるアポロン神殿では、正面玄関の梁にメデューサの首のレリーフが飾られています。入口から入ってくる邪気を払うとされました。

地中海地方のお守り

地中海沿岸に古くから伝わるお守り「ナザールボンジュウ」は、一説によればメデューサの神話を由来にしたもの。青いガラスに目玉が描かれています。「ナザール」は「災いの目」、「ボンジュウ」は「ビーズ」の意味で、魔除けの力があると伝えられているものです。

高級ブランド「ベルサーチ」

イタリアの高級ブランド「ベルサーチ」。このロゴにはメデューサが起用されています。メデューサが表すのは、ベルサーチの伝統と古典的雰囲気に対する愛着。そして創始者ジャンニ・ベルサーチの「輝き・独創性・スタイルで観客を驚かせたい」という強い想いです。

神話のおもしろさを感じよう

メデューサのエピソードを含め、神話は信じがたいようなストーリーが描かれることが多くあります。しかし、そのストーリーが長い歳月を経て、現在の習慣や思想に影響を与えていることがとても興味深いですね。神話は過去のものとあなどらず、ぜひ一度じっくりと読んでみるのもいいのではないでしょうか。

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雑学

3分で簡単にわかる!ゴーゴンとメデューサの違いとは?集団か個人か?神話好きライターがわかりやすく解説

今回はゴーゴンとメデューサの違いを見ていきます。この2つはどちらもギリシア神話に登場する恐ろしい怪物です。ゴーゴンとメデューサが同じものを指すような描写も少なくないから、2つが同じ意味だと思っているやつもいるかもしれないが、それは違う。実はゴーゴンはメデューサを含む集団を指し、メデューサは個人の名前らしいのです。この先は神話好き主婦ライターのスズキアユミと一緒に詳細を解説していきます。

ライター/スズキアユミ

神話やおとぎ話が好きな主婦ライター。はるか昔に作られた神話が現在の美術や社会にも影響を与えていると思うとロマンを感じる。

ゴーゴンとメデューサの違いとは?

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ゴーゴンとメデューサは、ともにギリシア神話に登場する怪物の名前。2つが同一の怪物だと思われていることもありますが、その違いはずばり集団か個人か。ゴーゴンは、メデューサという名前の娘を含む3姉妹の呼び名です。

ゴーゴンはメデューサを含む3姉妹の総称

ゴーゴンは、末っ子のメデューサと姉2人を合わせて呼ぶ際の名称。「ゴーゴン3姉妹」と表現することもあり、恐ろしい姿をした3人の女性を表しています。メデューサ以外の2人は語られる機会が少ないものの、個人の名前や外見の描写が存在しますので、次でご紹介しましょう。

ゴーゴン3姉妹の名前と特徴

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ゴーゴン3姉妹には、それぞれに恐ろしい形容の名前があります。容姿も非常に特徴的なうえ、私たち人間には信じがたい能力も持っているそう。想像するだけで身の毛もよだつほどです。1つずつその詳細を見ていきましょう。

ゴーゴン3姉妹の名前

ゴーゴン3姉妹の「ゴーゴン」は、「恐ろしいもの」という意味のギリシア語です。姉妹の1人目は「ステンノー」。「強い女」を指し示します。2人目は「メウリュアレー」。「広くさまよう女」です。そして「メデューサ」。「支配する女」。いかに驚異的で、人々から恐れられていた存在であったかが分かるでしょう。

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