アルバイトや仕事の求人で「要相談」「応相談」って言葉をよく見かけるよな。この間うちの生徒がアルバイトの求人に書かれていたこの文言について質問してきてな、ちょっと危ない所だったぜ。

実は「要相談」と「応相談」、微妙にニュアンスが違ってなぁ。どんな違いがあると思う?同じ意味の言葉ではないんだぜ。

今回はそんな「要相談」と「応相談」の違いを、言葉に詳しい院卒日本語教師の"むかいひろき"と一緒に解説していきます。

ライター/むかいひろき

ロシアの大学に再就職した、日本で大学院修士課程修了の日本語教師。その経験を武器に「言葉」について分かりやすく解説していく。

「要相談」と「応相談」の違いは詳細に対するスタンス!?

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「要相談」と「応相談」、どちらも求人広告などでよく見かける言葉ですが、この違いをきちんと理解していますか?似たような言葉ですが、実は意味が少し違います。「要」「応」の意味の違いから、「要相談」と「応相談」の違いを見ていきましょう

「要相談」:相談して詳細を決める必要あり!

まずは「要相談」の「要」について、辞書にどのような記述がされているか見ていきましょう。「要」は国語辞典では次のような意味が掲載されています。

1.大事なところ。かなめ。
「簡にしてーを得た説明」「ー所・ー点」「重ー・主ー」

2.なくてはならないこと。必要とすること。また、求めること。
「なお検討のーがある」「ー注意・ー介護・ー支援」「ー因・ー望」「需ー」

出典:明鏡国語辞典 第二版(大修館書店)「よう【要】エウ」

辞書に記載された「要」の意味の2つ目に、「なくてはならないこと。必要とすること。また、求めること」という意味があります。「要相談」の「要」はこの2番目の意味が該当しますね。つまり、「要相談」は「相談する必要がある」という意味です。

求人情報に「勤務開始日や勤務時間帯は要相談」とあった場合、いつ勤務を開始するのか、どの時間帯に勤務するのかを雇用者側と必ず相談しなければなりません。また、「発送日は要相談とさせてください」といったように、相手に相談を求める表現としても使用することが可能です。つまり、相手と相談して詳細を決定する必要があるのが「要相談」と言えるでしょう。

「応相談」:詳細について相談があれば”応”じます

次に「応相談」の「応」の意味について、辞書にどのような記述がされているか見ていきましょう。「応」は次のような意味が国語辞典に掲載されています。


承知すること。
「否(いな)かーか」「いやもーもない」


1.こたえる。また、他からの働きにこたえて動く。
「ー援・ー急・ー酬・ー接」「呼ー・対ー」

2.つりあう。ふさわしい。
「ー用」「相ー・適ー」

出典:明鏡国語辞典 第二版(大修館書店)「おう【応】」

「応」にはいくつかの意味が辞書に掲載されていますね。その中で「応相談」に関連するのは「こたえる。また、他からの働きにこたえて動く」という意味です。この意味は簡単に言うと「何か要望や要求があれば応じる、対応する」ということですね。

つまり、「応相談」は「相談があれば応じる」「もし要望があるなら相談してください。対応しますよ」という意味になります。たとえば求人情報に「勤務日:水曜日(水曜日以外は応相談)」とあった場合は、勤務日は原則水曜日ですが、相談すれば火曜日や木曜日に変更できる可能性があるかも…ということです。

つまり、詳細について要望がある場合は、相談すれば要望に応じる可能性がある…というのが「応相談」ですね。

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「要相談」と「応相談」それぞれ例文をチェック!

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ここでは「要相談」と「応相談」がどのような場面や意味で使われているのか、例文を見てみましょう。どちらも似たような場面や文書で使用されることが多い言葉ですが、微妙にニュアンスに違いが生じます。

相談】
1.勤務地は要相談
2.海外からの案件の受注については、日本との税制の違いなどから要相談とさせていただいております。
3.大広間は30名以上で要相談で貸し切りにできます。お気軽にスタッフにお問い合わせください。

相談】
4.勤務地:東京(東京以外の勤務地を希望の方は応相談
5.当物件でのペットの飼育は応相談となっております。まずはスタッフにお問い合わせください。
6.大広間の貸し切りを希望の方は応相談。お気軽にスタッフまで。

「要相談」の例文から見ていきましょう。

例文1では、勤務先は雇用者と応募者が相談して決定することになります。雇用者が勝手に指定するのではなく、応募者と話し合いながら決めるというニュアンスが出ていますね。例文2は、海外から案件を受注する場合は詳細を別途決める必要があるので相談してください…というニュアンスです。例文3は人数が30名以上の場合は、詳細を相談することで大広間の貸し切りが可能になります。

一方、「応相談」の例文ですが、例文4は勤務先は原則東京ですが、相談すれば別の勤務地を選べる可能性がある…というニュアンスです。例文5は、当物件でのペットの飼育は相談の結果次第で許可することもある…というニュアンスですね。例文6は、相談があれば貸し切りに対応することもできる…というニュアンスになります。

「要相談」は「詳細はお互いに話し合って決めましょう」というスタンス「応相談」は「詳細について要望があれば相談に乗りますよ(要望が実現出来るかは不明)」というスタンスです。例文を見ても分かる通り、どちらを使ってもほとんど意味の変わらない場合もあります。実際に使う時は、自身がどちらのスタンスに近いかを考えて「要相談」と「応相談」を使い分けましょう。

「要相談」と「応相談」の紛らわしい類義語!

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ここまで「要相談」「応相談」について解説しましたが、「相談」を使用した言葉でこの2つと似たような紛らわしい類義語が他にもありますよね。ここでは特に紛らわしい「別途相談」と「相談可」について見ていきます。

「別途相談」:別の事柄に関しても相談に応じる

「別途相談」は「そのこと以外についても相談に応じる」という意味の表現です。ただ、現実には「応相談」とほぼ同じ意味で使用されていることがほとんどですね。たとえば求人広告に「月給27万円(経験者は別途相談)」とあった場合、経験者は相談すれば月給を上げることができるかも…というニュアンスになります。

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「相談可」:「応相談」と同じ意味!

「相談可」は「相談があれば対応する」という意味の表現です。意味やニュアンスも「応相談」と同じですね。「可」は「してもよいと認めること」という意味があるため、「相談してもよい(つまり、相談があれば応じる)」という意味になるのです。「応相談」はそのまま「相談可」にい言い換えることができます。

詳細に対するスタンスで考えよう!「要相談」と「応相談」

今回は「要相談」と「応相談」の違いについて解説しました。「要相談」と「応相談」の違いを一言でいえば、詳細に対するスタンスです。「要相談」は「詳細はお互いに話し合って決めましょう」というスタンス、「応相談」は「詳細について要望があれば相談に乗りますよ(要望が実現出来るかは不明)」というスタンス…という違いがあります。

ただ、「要相談」も「応相談」も記載があれば積極的に相談しましょう。あなたの希望が通る確率が高まります。

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雑学

簡単に分かる「要相談」と「応相談」の違い!類義語との違いも院卒日本語教師が分かりやすく解説

アルバイトや仕事の求人で「要相談」「応相談」って言葉をよく見かけるよな。この間うちの生徒がアルバイトの求人に書かれていたこの文言について質問してきてな、ちょっと危ない所だったぜ。

実は「要相談」と「応相談」、微妙にニュアンスが違ってなぁ。どんな違いがあると思う?同じ意味の言葉ではないんだぜ。

今回はそんな「要相談」と「応相談」の違いを、言葉に詳しい院卒日本語教師の”むかいひろき”と一緒に解説していきます。

ライター/むかいひろき

ロシアの大学に再就職した、日本で大学院修士課程修了の日本語教師。その経験を武器に「言葉」について分かりやすく解説していく。

「要相談」と「応相談」の違いは詳細に対するスタンス!?

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「要相談」と「応相談」、どちらも求人広告などでよく見かける言葉ですが、この違いをきちんと理解していますか?似たような言葉ですが、実は意味が少し違います。「要」「応」の意味の違いから、「要相談」と「応相談」の違いを見ていきましょう

「要相談」:相談して詳細を決める必要あり!

まずは「要相談」の「要」について、辞書にどのような記述がされているか見ていきましょう。「要」は国語辞典では次のような意味が掲載されています。

1.大事なところ。かなめ。
「簡にしてーを得た説明」「ー所・ー点」「重ー・主ー」

2.なくてはならないこと。必要とすること。また、求めること。
「なお検討のーがある」「ー注意・ー介護・ー支援」「ー因・ー望」「需ー」

出典:明鏡国語辞典 第二版(大修館書店)「よう【要】エウ」

辞書に記載された「要」の意味の2つ目に、「なくてはならないこと。必要とすること。また、求めること」という意味があります。「要相談」の「要」はこの2番目の意味が該当しますね。つまり、「要相談」は「相談する必要がある」という意味です。

求人情報に「勤務開始日や勤務時間帯は要相談」とあった場合、いつ勤務を開始するのか、どの時間帯に勤務するのかを雇用者側と必ず相談しなければなりません。また、「発送日は要相談とさせてください」といったように、相手に相談を求める表現としても使用することが可能です。つまり、相手と相談して詳細を決定する必要があるのが「要相談」と言えるでしょう。

「応相談」:詳細について相談があれば”応”じます

次に「応相談」の「応」の意味について、辞書にどのような記述がされているか見ていきましょう。「応」は次のような意味が国語辞典に掲載されています。


承知すること。
「否(いな)かーか」「いやもーもない」


1.こたえる。また、他からの働きにこたえて動く。
「ー援・ー急・ー酬・ー接」「呼ー・対ー」

2.つりあう。ふさわしい。
「ー用」「相ー・適ー」

出典:明鏡国語辞典 第二版(大修館書店)「おう【応】」

「応」にはいくつかの意味が辞書に掲載されていますね。その中で「応相談」に関連するのは「こたえる。また、他からの働きにこたえて動く」という意味です。この意味は簡単に言うと「何か要望や要求があれば応じる、対応する」ということですね。

つまり、「応相談」は「相談があれば応じる」「もし要望があるなら相談してください。対応しますよ」という意味になります。たとえば求人情報に「勤務日:水曜日(水曜日以外は応相談)」とあった場合は、勤務日は原則水曜日ですが、相談すれば火曜日や木曜日に変更できる可能性があるかも…ということです。

つまり、詳細について要望がある場合は、相談すれば要望に応じる可能性がある…というのが「応相談」ですね。

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