この記事では薄口醤油と濃口醤油の違いについてみていきます。料理に欠かせない調味料、醤油。スーパーに行くと何種類もの醤油が売ってありますが、その違いを考えたことはあるでしょうか。薄口醤油と濃口醤油、その名前の由来はズバリ、味の濃さではなく色の濃さのようです。今回はそんな日本の食卓に欠かせない醤油の違いを、定義や作り方を確認しつつ、料理好きライターの篠崎まおと一緒に解説していきます。

ライター/篠崎まお

料理好きの文学部卒ライター。醤油は常に、3本のストックがある。そんな経験をもとに、詳しく分かりやすく解説していく。

違いその1.塩分濃度と特徴

image by iStockphoto

薄口醤油、濃口醤油の違いはズバリ、塩分濃度の違いです。では、どちらが塩分濃度が高いと思いますか?色が濃い濃口醤油のほうが、高そうに思えますよね。しかし実際は薄口醤油のほうが塩分濃度が高くなっています。一体何故なのでしょうか。ここからはそれぞれを詳しく解説していきます。

薄口醤油:薄い色で塩分濃度が高い

薄口醤油は関西発祥の醤油で、薄い色をしています。関西料理の普及によって全国で生産されるようになりましたが、国内生産量は13%ほどです。

塩分濃度は18〜19%となっており、濃口醤油よりも高くなっています。これは製造過程において、色を薄くするために、発酵が抑えられているからです。醤油は発酵を抑えると変質しやすいため、塩分を多めに使用しています。

濃口醤油:国内生産量の8割以上を占める

濃口醤油は古くから関東中心で使われてきた調味料で、醤油の国内生産量の8割以上を占めています。最もスタンダードな醤油ですので、濃口醤油しか知らなかった!という方も多いのではないでしょうか。色は濃いですが塩分濃度は16%で、薄口醤油よりも低くなっています。色の濃さと塩分濃度の高さは比例しないのですね。

\次のページで「減塩醤油とは?」を解説!/

減塩醤油とは?

スーパーに行くと「減塩醤油」という商品も見かけます。その名の通り塩分が低い醤油を指しますが、少しお高いですよね。これは製造するのに手間がかかってしまうからです。

低い塩分濃度で製造すると有害な微生物が繁殖してしまい、味が変化してしまう可能性が…。そのため、濃く作った醤油から塩分を取り除いて作ります。これを「希釈法」といいますが、この工程が増えるため値段が高くなるのです。

違いその2.原料

image by iStockphoto

塩分濃度の違いや特徴をみてきましたが、原料に違いはあるのでしょうか。ここからは薄口醤油と濃口醤油の原料を、詳しく解説していきます。

薄口醤油:米と甘酒も使われている

薄口醤油は大豆、麦、塩の主な原料に加え、米と甘酒も使われています。甘酒の代わりに水あめが使われることも。甘酒を仕上げの段階で加えることで、上品な甘味と香りが引き出されるのです。熟成期間は1〜2年と短いので、薄い色に仕上がります。

濃口醤油:大豆・麦・塩

濃口醤油の原料は主に大豆、麦、塩です。大豆と麦は1:1の割合で作られていて、大豆のタンパク質は旨味のもととなり、麦のでんぷんは香りのもとになります。熟成期間は2〜3年ほどで、新鮮なものは綺麗な赤褐色です。

違いその3.使い方と合う料理

image by iStockphoto

薄口醤油と濃口醤油、それぞれコクや香りが違ってきますが、どのように使うのが美味しく食べる秘訣なのでしょうか。ここからは使い方と合う料理を解説していきます。

\次のページで「薄口醤油:食材の風味や色味を活かしたいとき」を解説!/

薄口醤油:食材の風味や色味を活かしたいとき

薄口醤油は色が薄いため、食材の風味や色味を活かして、上品に仕上げたいときに向いています。だし巻き卵や茶碗蒸し、お吸い物などで使うのがいいでしょう。お料理の色味が変わらず、見た目もおいしそうに仕上がります。

濃口醤油:濃い味付けをしたいとき

濃口醤油はコクと香りがしっかりしているので、濃い目の味付けをしたいときに向いています。煮物や照り焼きなど、見た目が変わってもおいしそうに見える料理に使うのがいいでしょう。また、お寿司やお刺身に使われている醤油は濃口醤油が多いです。

他にはどんな種類の醤油があるの?

ここまで薄口醤油と濃口醤油の違いについてみてきましたが、醤油は主に5種類あります。「薄口醤油」「濃口醤油」「白醤油」「たまり醤油」「再仕込み醤油」の5種類です。ここからは他の3種類を紹介していきます。

白醤油:麦の比率が多い醤油

白醤油は、醤油の中で最も色が薄く透明感のある、やや甘味がある醤油です。色が薄いので薄口醤油と同様に、素材の色味を活かしたい料理に向いています。薄口醤油との違いは原材料にあり、白醤油は8〜9割が麦となっていて、麦の比率が多い醤油です。

\次のページで「たまり醤油:原料のほとんどが大豆の醤油」を解説!/

たまり醤油:原料のほとんどが大豆の醤油

たまり醤油は東海地方の特産で、とろりとした粘り気と、コクと香りの良さが特徴です。旨味が強いことから、お寿司やお刺身につけるのがおすすめ。また原材料は麦の比率が多い白醤油に対し、たまり醤油は原料のほとんどが大豆です。

再仕込み醤油:熟成期間が長いため贅沢な醤油

再仕込み醤油は旨みがたっぷりで、色・味・香りの全てが濃厚です。国内生産量はなんと1%で、熟成期間が長いため贅沢な醤油となっています。一般的な醤油は大豆・麦の麹に塩水を加えますが、再仕込み醤油はその塩水の代わりに醤油を使うので、濃厚な醤油になるのです。

特徴を知って色々な醤油を試してみよう!

ここまで薄口醤油と濃口醤油の違いをみてきましたが、薄口・濃口の名前の由来は、塩分濃度ではなく色の濃さであることがわかりましたね。また醤油は5つもの種類があり、それぞれ味や特徴が異なってくることもわかりました。特徴を知って使い分けることで、料理も食事もさらに楽しくなりそうです。スーパーに行くと様々な醤油が売られていますので、初めての醤油もぜひ試してみてはいかがでしょうか。

" /> 簡単で分かりやすい!薄口醤油と濃口醤油の違いとは?塩分が高いのはどっち?減塩醤油との違いも料理好きライターが詳しく解説 – Study-Z
雑学

簡単で分かりやすい!薄口醤油と濃口醤油の違いとは?塩分が高いのはどっち?減塩醤油との違いも料理好きライターが詳しく解説

この記事では薄口醤油と濃口醤油の違いについてみていきます。料理に欠かせない調味料、醤油。スーパーに行くと何種類もの醤油が売ってありますが、その違いを考えたことはあるでしょうか。薄口醤油と濃口醤油、その名前の由来はズバリ、味の濃さではなく色の濃さのようです。今回はそんな日本の食卓に欠かせない醤油の違いを、定義や作り方を確認しつつ、料理好きライターの篠崎まおと一緒に解説していきます。

ライター/篠崎まお

料理好きの文学部卒ライター。醤油は常に、3本のストックがある。そんな経験をもとに、詳しく分かりやすく解説していく。

違いその1.塩分濃度と特徴

image by iStockphoto

薄口醤油、濃口醤油の違いはズバリ、塩分濃度の違いです。では、どちらが塩分濃度が高いと思いますか?色が濃い濃口醤油のほうが、高そうに思えますよね。しかし実際は薄口醤油のほうが塩分濃度が高くなっています。一体何故なのでしょうか。ここからはそれぞれを詳しく解説していきます。

薄口醤油:薄い色で塩分濃度が高い

薄口醤油は関西発祥の醤油で、薄い色をしています。関西料理の普及によって全国で生産されるようになりましたが、国内生産量は13%ほどです。

塩分濃度は18〜19%となっており、濃口醤油よりも高くなっています。これは製造過程において、色を薄くするために、発酵が抑えられているからです。醤油は発酵を抑えると変質しやすいため、塩分を多めに使用しています。

濃口醤油:国内生産量の8割以上を占める

濃口醤油は古くから関東中心で使われてきた調味料で、醤油の国内生産量の8割以上を占めています。最もスタンダードな醤油ですので、濃口醤油しか知らなかった!という方も多いのではないでしょうか。色は濃いですが塩分濃度は16%で、薄口醤油よりも低くなっています。色の濃さと塩分濃度の高さは比例しないのですね。

\次のページで「減塩醤油とは?」を解説!/

次のページを読む
1 2 3 4
Share: