技術と技能って一字違いで似たようなイメージがありますが違いがわかるか。ゲームではスキルという言葉がよく出てくるが、技術の意味でも技能の意味でも使われていることがある。そんな曖昧なのが技術と技能ですが、実ははっきりした違いがある。また、会社では役割として技術職と技能職があり、それぞれ違うものとして扱われている。そんな技術と技能について、一般的な違いと一緒に技術職と技能職の違いまで、技術職にあたるプログラマでもあるライターのwoinaryと一緒に解説していきます。

ライター/woinary

某社で社内向け業務システムの開発、運用を30年近くやっていたシステム屋さん。現在はフリーランス。ガジェットやゲーム、ラノベが大好きなおっさん。

テクノロジーとアビリティ?技術と技能の違いとは

image by iStockphoto

技術という言葉はよく聞くと思います。では技能は?漢字にすると1文字違いで似ていますよね。実際には、違いがよくわからないことも。英語では技術はテクノロジー、技能はアビリティとなります。英語だとあまり似ていませんね。

技術と技能の違いはざっくり言うと人の知識によるものが技術人の能力によるものが技能です。これだけでは違いが分かりにくいですよね。この違いや、さらに会社の役割である技術職と技能職についてまで説明します。

技術:その人の持つ知識

技術とは人の持つ知識のことです。学校や会社などで学ぶことができるものが技術になります。ゲームではキャラクターが魔法を覚えたり、武器を使った技を覚えたりしますよね。スキルなどとも言いますが、これが技術です。

日本語の技術を指す英語は実はいろいろあります。テクノロジーやテクニック、スキル、アートなどなど。とても広い範囲で使われる言葉が技術なのです。

技能:その人の持つ能力

技能はその人が持つ能力のことです。生まれながらに持っている能力もあれば、後から経験を積んで得た能力もあります。技能を覚えるには技術(知識)が必要なことも。しかし、技術(知識)だけではなく、実際に使って覚える能力が技能です。

ゲームなどではそのキャラクターが持つ特殊能力がありますが、それが技能。また、ゲーム内のデータとして持っているスキルとは別に、プレイヤースキルというものがありますよね。これはプレイヤーのゲームやそのキャラクターの操作についての慣れや経験といったもの。これも技能と言えます。単に知っているだけでなく、それを使いこなせることです。

区別が曖昧?技術と技能

image by iStockphoto

言葉が似ている技術と技能ですが、実際に混同されてしまうこともよくあります。判断に困ったときはざっくり説明したように知識が技術、経験が技能と覚えておいてください。ただ、もうちょっと細かい違いが知りたいですよね。そこで、特に大切な3点で技術と技能の違いを説明します。

\次のページで「違い1.後天的な技術、両方あるのが技能」を解説!/

違い1.後天的な技術、両方あるのが技能

まず違うのは、技術は最初から持っているということはないということ。後から学ぶものということです。ゲームなどでは最初から魔法が使えることや剣や武器が習いもしないのに使えますが、現実にはそんなことありませんよね。技術は必ず後から何かで学ぶ必要があります。

それに対して技能はどちらもあります。例えば鳥は誰に教わることなく空を飛べます。このような生まれ持った能力が技能です。ただ、技術と同様に後から習得できるものもあります。スポーツなど経験を積んで上達するようなものも技能技能は先天的なものも、後天的なものもあるわけです。

違い2.人に伝えられるのが技術、伝えにくいのが技能

次に違うのは他人へ伝えること。技術は知識なので伝えやすいです。しかし、技能は能力や経験なので他人には伝えにくいもの。これが大きな違いとなります。

こう説明すると、技能も人から人へと伝えるではないかと思うかも。例えば、スポーツの世界でもある人がつくった技を誰かに伝えることがあります。職人も技能を後継者に伝えることがありますよね。そうすると人に伝えることができることになります。ただ、技能は経験なので、人から人へ直接伝えることは不可能やり方を知識(技術)として伝えることができても、それを自分の技能にするには、自分が努力して経験を重ねるしかありません。だから、技能は他人へ伝えにくいわけです。

違い3.客観的なものが技術、主観的なものが技能

3つ目が客観的なものか、主観的なものかということです。技術は知識ですから、客観的なもの。ある技術が人によって違うものでは困りますよね。誰にとっても1+1は2になるようなもの。分かりやすく言えば正解が決まっているのが技術です。

一方、技能は個人の生まれ持った能力や経験ですから、人によって違うこともあります。ある師匠から弟子へ技能を伝えたとしても、それは技術を伝えただけ。その結果経験を積んで得た技能は違うかもしれません。結果が同じに見えても、そのための力の加減やタイミングが違うことも。つまり、こうしたら必ずこうなるという正解がないのが技能です。

区別がはっきり!技術職と技能職

image by iStockphoto

技術と技能という言葉を使うものに、会社での仕事の役割を表す技術職と技能職があります。これは役割の違いですから、違いは明確。最後に技術職と技能職の違いや、会社内でのその他の役割を紹介します。

専門知識を学んだ技術者?技術職とは

技術職とは専門的な知識を活用して働く仕事です。技術者やエンジニアと呼ばれる人たちになります。その仕事をするためには、その分野の専門知識が必要になるような職です。具体例として、研究所などで働く人や、製品や建物をつくる際の設計をする人が技術職になります。その他、専門的な技術が必要なものの多くは技術職。例えば、プログラマーやシステムエンジニアも技術職に含まれます。

ただし、技術職といっても技能も必要。専門的な知識が必要な技術職でも、その仕事をこなす上で得た経験も必要です。例えばプログラマーなら同じようなプログラムを作った経験や、キーボードを打つ早さなど、様々な技能があります。

\次のページで「工場などで働く職人?技能職とは」を解説!/

工場などで働く職人?技能職とは

一方、技能職は工場などで働く作業員や職人などです。例えば、職人の中にはすごい技を持っている人がいます。テレビ番組などでも紹介されることがありますよね。測ってもいないのに寸法や重さをピタッと揃える人や、機械では再現できない微妙な調整ができる人など。これらを「技術」と呼ぶこともありますが、誰でもできるものではなく、その人の持つ能力なので「技能」と呼ぶのが正しいです。

技能職はこのような技能を活かした仕事をする人。特にある技能を極めた人は「職人」と呼ばれて尊敬を集めることも。もちろん、その仕事に対する技術、知識も必要ですが、経験である技能がより重要な職です。

待遇が違う?技術職と技能職、総合職とは

技術職や技能職といった役割は多くの場合入社した時点で決まっています。また、技術職が技能職になることや、その逆はあまりありません。大きな会社の場合、技能職はそれぞれの工場のある地元で採用され、他の支社支店、工場に異動することは稀です。経験が大事なので同じ仕事を続けることが多くなります。一方、技術職は知識を活かせるところであれば異動することも。

他にも会社には総合職と一般職という分け方もあります。総合職とは将来的に管理職になる人で、様々な部署で色々な経験が必要。一方、一般職は総合職以外で、技術職や技能職も含みます。ひとつの仕事を続けることが多いです。ただ、この考え方も変わってきています。技術職も総合職に含める会社も多いのです。そのため技能職は同じ場所、同じ仕事を続けて経験を積む職とも言えます。逆に技術職は色々な場所で違う仕事をすることも多くなっているのです。

技能は個人の能力によるもの、体系化・一般化すると技術になる

技能は個人の能力。そのため、他人にそれを伝えるのが難しいことが多いです。それが体系化して一般に広まるようなものになれば技術になります。例えば、接客もひとつの技能です。しかし、コンビニやファストフード店ではマニュアル化して、誰でも同じように接客できるようにしていますよね。これが技術

ただ、技術があれば仕事ができるというわけでもないのが現実。マニュアルがあれば確かに一通りのことはできるようになります。しかし、さらにひとりひとりが経験を積んで技能を伸ばすことでよい仕事ができるように。技術と技能はセットなのです。だから、混同されてしまうこともあるのですね。

" /> 簡単でわかりやすい!技術と技能の違いとは?3つの違いと会社での役割もプログラマーが詳しく解説 – Study-Z
ビジネス雑学

簡単でわかりやすい!技術と技能の違いとは?3つの違いと会社での役割もプログラマーが詳しく解説

技術と技能って一字違いで似たようなイメージがありますが違いがわかるか。ゲームではスキルという言葉がよく出てくるが、技術の意味でも技能の意味でも使われていることがある。そんな曖昧なのが技術と技能ですが、実ははっきりした違いがある。また、会社では役割として技術職と技能職があり、それぞれ違うものとして扱われている。そんな技術と技能について、一般的な違いと一緒に技術職と技能職の違いまで、技術職にあたるプログラマでもあるライターのwoinaryと一緒に解説していきます。

ライター/woinary

某社で社内向け業務システムの開発、運用を30年近くやっていたシステム屋さん。現在はフリーランス。ガジェットやゲーム、ラノベが大好きなおっさん。

テクノロジーとアビリティ?技術と技能の違いとは

image by iStockphoto

技術という言葉はよく聞くと思います。では技能は?漢字にすると1文字違いで似ていますよね。実際には、違いがよくわからないことも。英語では技術はテクノロジー、技能はアビリティとなります。英語だとあまり似ていませんね。

技術と技能の違いはざっくり言うと人の知識によるものが技術人の能力によるものが技能です。これだけでは違いが分かりにくいですよね。この違いや、さらに会社の役割である技術職と技能職についてまで説明します。

技術:その人の持つ知識

技術とは人の持つ知識のことです。学校や会社などで学ぶことができるものが技術になります。ゲームではキャラクターが魔法を覚えたり、武器を使った技を覚えたりしますよね。スキルなどとも言いますが、これが技術です。

日本語の技術を指す英語は実はいろいろあります。テクノロジーやテクニック、スキル、アートなどなど。とても広い範囲で使われる言葉が技術なのです。

技能:その人の持つ能力

技能はその人が持つ能力のことです。生まれながらに持っている能力もあれば、後から経験を積んで得た能力もあります。技能を覚えるには技術(知識)が必要なことも。しかし、技術(知識)だけではなく、実際に使って覚える能力が技能です。

ゲームなどではそのキャラクターが持つ特殊能力がありますが、それが技能。また、ゲーム内のデータとして持っているスキルとは別に、プレイヤースキルというものがありますよね。これはプレイヤーのゲームやそのキャラクターの操作についての慣れや経験といったもの。これも技能と言えます。単に知っているだけでなく、それを使いこなせることです。

区別が曖昧?技術と技能

image by iStockphoto

言葉が似ている技術と技能ですが、実際に混同されてしまうこともよくあります。判断に困ったときはざっくり説明したように知識が技術、経験が技能と覚えておいてください。ただ、もうちょっと細かい違いが知りたいですよね。そこで、特に大切な3点で技術と技能の違いを説明します。

\次のページで「違い1.後天的な技術、両方あるのが技能」を解説!/

次のページを読む
1 2 3
Share: