この記事ではものさしと定規の違いに掘り下げていきます。どちらも目盛りがついていて、長さを測ったり線を引いたりするときに使われるが、実は用途がはっきり分かれており、目に見える違いもあるようです。今回はそんな似て非なる2つのツールについて、雑学好きのライターthrough-timeと一緒に解説していきます。

ライター/through-time

工学修士で、言葉や文学も大好きな雑食系雑学好きWebライター。ものさしや定規を使う学習に興味を持ってもらうべく、それらの違いを掘り下げ、分かりやすく解説していく。

ものさしと定規の違い

物の長さを測ったり、線を引いたりするときに使う、ものさし定規。呼び方が違うだけで同一のものだと考えている人も少なくないでしょう。しかし、用途や種類などを詳しく見ていくと、全く異なるものであることが分かるのです

ものさし:物の長さを測る

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「ものさし」を辞書で引くと、以下のように書いてあります。

1.物の長さを測る用具。竹・金属・プラスチック製などがあり、長さの単位の目盛りがつけてある。さし。「―を当てる」
2.物事を評価するときの基準。尺度。「普通の―でははかれない人物」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「ものさし」

ものさしは物の長さを測るツールです。そのため、たとえば地面からの高さや壁からの距離、容器の深さなどを測るとき、基点と0の位置を容易に合わせられるよう、端から目盛りが始まっています。ものさしの英訳scaleは、ものさし以外にも、はかりなど目盛りや度盛りで表現できる計測器を広く指す単語です。

人や物事を評価するための基準、よりどころとなるものという意味でもよく使われます。

定規:線を引く、物を切る

対して「定規」は以下のような意味があります。

\次のページで「ものさしと定規にはどんな種類がある?」を解説!/

1.物を裁断したり、線を引いたりするのにあてがって使う器具。三角定規・T字定規・雲形定規などがある。
2.物事の標準。手本。模範。「自分の―で他人をはかる」「杓子―」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「定規」

線や図形を描いたり、物を切ったりする際のガイドとなるのが定規です。線を引く際、目盛り0の所に筆記具をきっちり当てられるよう、端から少し離れたところから目盛りが始まってます。また、目盛り自体が省かれていたり、線がにじまないよう面取りやインクエッジが施されたりしているものも。英語ではruler(またはrule)です。

線や図形を描く際の目安となることから、物事の基準、手本という意味でも使われます。

ものさしと定規にはどんな種類がある?

ものさし・定規とも、数多くの種類があります。それぞれ解説しましょう。

ものさしの種類

「ものさし」と聞いてまず思い浮かぶのは、長さ30cmの竹製のものでしょう。しかし前述の通りものさしは「物の長さを測る道具」であり、対象をより正確に測定できるよう、さまざまな形状や材質のものがあります。

直尺(ちょくしゃく)真っ直ぐな板や棒に目盛りをつけたもの。定規の機能を兼ね備えているものが多いです。
曲尺(かねじゃく)直角に折れ曲がったL字形のもの。木工・建築などで用いられ、直角定規も兼ねます。別名は指矩(さしがね)です。
巻き尺テープに目盛りをつけて巻き取れるようにしたもの。体のサイズを測るのに用いる柔らかいものがメジャー、金属製の固いものがコンベックスです。
挟み尺:ノギスや身長計など、物を挟んで長さを測るもの
回転尺:地面や布などの上で車輪を転がし、その回転数から長さを出すもの。回転式メジャーともいいます。

\次のページで「定規の種類」を解説!/

定規の種類

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一方の定規も、直線や曲線、図形など引きたい線に応じてさまざまな種類があります。

直定規直線を引いたり、直線の程度を確認したりするときに使います。いわゆる普通の定規です。
三角定規:直角二等辺三角形(90°‐45°‐45°)と直角三角形(90°‐30°‐60°)の2枚一組の定規。垂直線や平行線を引くほか、2枚の角を並べたり重ねたりすることで、15°刻みで角度を測り取ることができます。
T定規T字型の製図用定規です。製図板とともに使用します。
雲形定規:複数の曲線をもつ複雑な形状の定規が数枚セットになっており、さまざまな曲線を引くことができます。全体的な輪郭が雲に似ていることが名前の由来です。
自在曲線定規自由に曲げて曲線を作ることができる定規です。
円形定規:コンパスを使わずにさまざまな大きさの円を描くことができます。

このほか、円や楕円などの幾何学図形、記号や文字などの形がくり抜かれたテンプレートも定規に含まれます。

ものさしと定規の歴史

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ものさしと定規は使われ始めた時期や地域も異なります。それぞれの歴史をひもといていきましょう。

ものさしの歴史

ものさしの歴史は大変古く、古代メソポタミア文明では大麦や葦、牛の角などを単位としてさまざまなものを計測していたことが分かっています。文明の発展とともに、他者と物を取引したり建物を造ったりと、正確な長さを把握する必要が生じたためで、ほかにも指や腕など人間の身体の部位が基準として使われました。

現存する最古のものさしは、今から3000年以上前、殷(いん)時代の中国で作られたもので、細長く削られた動物の骨に目盛りが刻まれています。日本では、1300年前の飛鳥時代やそれに続く奈良時代の遺跡からものさしが出土していますが、その長さやデザインは、現在使われている竹製のものとほとんど変わっていません。

\次のページで「定規の歴史」を解説!/

人間の身体部位を使った単位身体尺といいます。現在使われている単位の中にも身体尺から来ているものがあり、たとえばフィート(foot,feet)足の大きさが由来です。

日本で使われていた身体尺としては、両腕を横に広げたときの両手指先間の長さである尋(ひろ)握りこぶしの幅束(つか)親指と中指を広げた長さ咫(あた)などがあります。

定規の歴史

一方の定規は、古代ギリシャ時代に幾何学の作図で使われていたとされています。その時代の数学者たちが「定規とコンパスで作図が可能かどうか」と問いかけたギリシャの三大作図問題は、その後2000年以上解けない難問となりました。 現在の文具としての定規は、紙の普及とともに一般的になったといわれています。

ものさしと定規は用途から違う!

ものさしは「物を測る」、定規は「線を引く」「裁断する」とそれぞれ用途が異なり、目盛りの位置などに違いがあることを解説しました。しかしものさしでも線は引けますし、端から目盛りが始まっている定規も増えていて、直尺・直定規に関しては違いはなくなりつつあるようです。

最近では、目盛りの読みやすさや線の引きやすさを追求したユニバーサルデザインのものや、多機能のものなど、使い勝手の良いものさしや定規が多数登場しています。学習や仕事でよく使うという人は、一度見直してみるのもいいですね。

英語の勉強には洋楽の和訳サイトもおすすめです。
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簡単にわかる「ものさし」と「定規」の違い!英語では何という?それぞれの歴史についても工学院卒ライターがわかりやすく解説!

この記事ではものさしと定規の違いに掘り下げていきます。どちらも目盛りがついていて、長さを測ったり線を引いたりするときに使われるが、実は用途がはっきり分かれており、目に見える違いもあるようです。今回はそんな似て非なる2つのツールについて、雑学好きのライターthrough-timeと一緒に解説していきます。

ライター/through-time

工学修士で、言葉や文学も大好きな雑食系雑学好きWebライター。ものさしや定規を使う学習に興味を持ってもらうべく、それらの違いを掘り下げ、分かりやすく解説していく。

ものさしと定規の違い

物の長さを測ったり、線を引いたりするときに使う、ものさし定規。呼び方が違うだけで同一のものだと考えている人も少なくないでしょう。しかし、用途や種類などを詳しく見ていくと、全く異なるものであることが分かるのです

ものさし:物の長さを測る

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「ものさし」を辞書で引くと、以下のように書いてあります。

1.物の長さを測る用具。竹・金属・プラスチック製などがあり、長さの単位の目盛りがつけてある。さし。「―を当てる」
2.物事を評価するときの基準。尺度。「普通の―でははかれない人物」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「ものさし」

ものさしは物の長さを測るツールです。そのため、たとえば地面からの高さや壁からの距離、容器の深さなどを測るとき、基点と0の位置を容易に合わせられるよう、端から目盛りが始まっています。ものさしの英訳scaleは、ものさし以外にも、はかりなど目盛りや度盛りで表現できる計測器を広く指す単語です。

人や物事を評価するための基準、よりどころとなるものという意味でもよく使われます。

定規:線を引く、物を切る

対して「定規」は以下のような意味があります。

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