この記事では土木施工管理技士1級と2級の違いについてみていきます。土木施工管理技士とは国土交通大臣が認定する国家資格のことです。令和3年から土木施工管理技士は1級、2級資格の他にも1級補、2級補などが設けられ、資格制度が大きく変わってきたようです。今回は土木工事の現場で大変重宝される土木施工管理技士の資格について工事会社勤務の現役OLライターyukoと一緒に解説していきます。

ライター/yuko

工事会社勤務9年目。入社から現在まで、現場踏査や設計業務など幅広く経験。地下埋設物には少々くわしい。専門用語が飛び交う職場で自分の言葉に置き換え、理解しなおす言語化作業に日々奮闘中の現役OLライター。

土木施工管理技士1級と2級に違いは主任技術者か監理技術者か

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土木施工管理技士とは国土交通大臣が認定する資格で、工事の現場で主任技術者や監理技術者を担うために必要となってくる資格です。土木施工管理技士2級を所持していれば主任技術者、1級を所持していれば監理技術者として業務にあたることができるようになります。各々の資格について詳しくみていきましょう。

土木施工管理技士とはそもそもどんな資格?

土木施工管理技士2級の資格を所持していれば主任技術者として仕事をすることが可能になります。どのような工事現場でも主任技術者は配置する必要があるため、建築業界では大変重要な資格となっていますね。主任技術者の主な仕事は、施工計画の作成、工程の管理、安全管理、品質管理など施工に必要な技術上の管理を行うことなどです。

さらに工事の規模によっては主任技術者に代えて監理技術者を配置する必要が生じることも。監理技術者として配置される場合は土木施工管理技士1級の資格を所持していなくてはなりません。

2級土木施工管理技士:主任技術者

主任技術者とは請け負った工事の大小に関わらず、すべての工事で必ず配置しなくてはいけない工事現場の技術上の管理や監督ができる者のこと。工事の請負金額が4000万円未満であること、工事現場の間隔が5~10kmほどで近接していること、工事の工作物に連続性や一体性があり調整する必要があること、などの条件に当てはまれば主任技術者は工事現場を兼任してもよいとされています。

反対に主任技術者の専任が求められる工事は、鉄道やダム、工場や学校などの公共性がある施設、多数の利用者がいる施設やその工作物に関する重要な工事で、請負金額が4000万円以上、建築一式工事であれば8000万円以上の工事です。建設業法施行令の改正により令和5年1月1日施工から基準となる金額が以前よりも引き上げられました。

1級土木施工管理技士:監理技術者

監理技術者は、特定専門工事の請負金額が4500万円以上の工事、建築一式工事の場合は7000万円以上の工事で主任技術者に代えて配置が必要になってきます。また、土木施工管理技士1級資格を所有する者は人数が限られており大変貴重な存在でもありますね。

そんな貴重な監理技術者が専任で1つの現場に拘束されてしまうと、他現場でも監理技術者の配置の必要性が生じた場合、監理技術者を配置できないことを理由に施工の進捗に影響が出てきてしまうかもしれません。

このような事態に備えて、1級土木施工管理技士補資格を持つ者を2人まで監理技術者の補佐として1現場ごとに配置し、実質1人の監理技術者で2現場を兼任することのできる特例監理技術者の制度が設けられこととなりました。つまり2人の1級資格を有する者が必要だった工事量に対して、1人の1級資格者と2人の1級補資格者でまかなうことができる制度です。

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土木施工管理技士1級と2級の受験資格や受験内容

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土木施工管理技士の資格試験について、令和3年の改正により以前は学科試験と実地試験と2段階に分けていたものを、第一次検定、第二次検定表記するようになりました。また1級と2級と2段階の資格であった資格制度を、各々の第一次検定に合格した者に対して、土木施工管理技士1級補、2級補と資格を認定し4段階の資格制度となりました。ここからは令和3年の制度改定にも触れながらさらにくわしくみていきましょう。

土木施工管理技士1級と2級の受験資格

土木施工管理技士資格の受験資格は、学歴が指定学科であるか、さらには工事現場での経験年数によって変わってきます。指定学科とは大学や短期大学、高等学校や高等専門学校などの専攻学科のうち、国土交通省令で定められいてる学科のことをいい、指定学科を履修しているかどうかによって、受験資格を得るまでに必要な現場の経験年数に違いが出てくるのです。

今までは、学科試験に合格しても実地試験に2回連続で不合格となった場合は再度学科試験から受験をし直さなければなりませんでした。しかし、令和3年の改正によって、第一次検定に合格した者に「補」資格を与えることにより、2回第二次検定に合格できなかったとしても、第一次検定の受け直しをする必要はなくなり、第二次検定に挑戦するハードルが下がることになりました。

土木施工管理技士1級と2級の受験内容

土木施工管理技士の受験は、令和3年の制度改定によって第一次検定と第二次検定となりました。今までは、学科試験と実地試験と呼ばれていたものになりますね。試験内容は、第一次試験が土木施工管理の知識を問うもの第二次試験は経験を問うもので、これは1級、2級ともに共通している点です。

さらに2級の第一次検定については種別が3種に分かれており、土木、構造造物塗装、薬液注入から選択して受験することが可能。合格するとその分野での主任技術者になることができます。また、上位資格である1級に関しては特に種別などはわかれておらず知識や経験を網羅的に問われる検定であるといえるでしょう。

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土木施工管理技士1級2級、それぞれの資格の活かし方

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国土交通省が定める指定建設業にかかわる特定建設業者は、営業所ごとに専任の技術者を立てる必要があります。さらに、工事現場の条件ごとに主任技術者や管理技術者を配置する必要がありました。これらの資格は土木施工管理技士1級2級ともに、第一次検定と第二次検定に合格することで取得することが可能でしたね。

さらに第一次検定のみに合格した者に対しては「土木施工管理技士1級補」「土木施工管理技士2級補」という資格が与えられることになりました。ここからは「補」資格とそれぞれの資格の活かし方について説明していきましょう。

土木施工管理技士補資格とは?

土木施工管理技士資格は、「土木施工管理技士1級補」「土木施工管理技士2級補」資格ができた背景には、建築業界人口の減少が1つの要因としてあるんだそう。

具体的には、新たに1級資格を取得しようとした場合、卒業学科や学歴によっては15年以上の実務経験が必要になってきたり、2級でも8年の実務経験が必要になってきます。長く土木業界で経験を積んだ上で、はじめて受験資格が得られるということですね。しかしこのような状態では、新たに建設業界へ飛び込み資格の取得を目指すという意欲は湧きづらいのではないでしょうか?そこでまずは経験年数不要で建設業界へ未経験でも資格試験に挑戦しやすいよう「補」資格を設けることとなりました。

土木施工管理技士がいれば、企業の経営審査で加点される

建設業界では企業の信用度を審査する経営事項審査という制度があり、この審査によって企業の社会的な信用度や技術力の評価などを客観的にはかっていて、信用度が高いことにより入札工事などで有利に働く場合もあるんだそう。

土木施工管理技士の資格はその級ごとに会社の加点対象になるため、企業においても重きを置かれる資格になりますね。土木施工管理技士1級資格で1人5点、1級補で4点、2級で2点の加点がなされます。2級補については、実務経験がなくても取得できるため技術力という面では加点されることはありません。

土木工事には欠かせない!現場の施工管理技士

土木施工管理技士の受験資格に経験年数が重要視されたり、卒業学科によって受験資格が細かく分かれている点からも想像できるように、土木業界は知識と経験を持っている人材が大変重宝される業界になってきます。工事の現場はそれだけ危険やイレギュラーが起こりやすく、管理する者の知識や経験が必要だということですね。

それでも、令和3年の制度改正で、入口の部分である土木施工管理技士2級第一次試験を受験する規制は緩和され挑戦しやすくなってきました。また、建設業界は人手不足が大きな問題として取り上げられています。少しでも建設業界や土木の仕事に興味を持つ方は、まずは知識を身につけその後で経験を積む、そんな目標を掲げて土木施工管理技士資格に挑戦してみるものよいかもしれません。

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資格・専門雑学

簡単でわかりやすい!土木施工管理技士1級と2級の違いとは?土木施工管理技士補との違いや受験資格、業務内容まで工事会社勤務現役OLライターが詳しく解説

土木施工管理技士1級2級、それぞれの資格の活かし方

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国土交通省が定める指定建設業にかかわる特定建設業者は、営業所ごとに専任の技術者を立てる必要があります。さらに、工事現場の条件ごとに主任技術者や管理技術者を配置する必要がありました。これらの資格は土木施工管理技士1級2級ともに、第一次検定と第二次検定に合格することで取得することが可能でしたね。

さらに第一次検定のみに合格した者に対しては「土木施工管理技士1級補」「土木施工管理技士2級補」という資格が与えられることになりました。ここからは「補」資格とそれぞれの資格の活かし方について説明していきましょう。

土木施工管理技士補資格とは?

土木施工管理技士資格は、「土木施工管理技士1級補」「土木施工管理技士2級補」資格ができた背景には、建築業界人口の減少が1つの要因としてあるんだそう。

具体的には、新たに1級資格を取得しようとした場合、卒業学科や学歴によっては15年以上の実務経験が必要になってきたり、2級でも8年の実務経験が必要になってきます。長く土木業界で経験を積んだ上で、はじめて受験資格が得られるということですね。しかしこのような状態では、新たに建設業界へ飛び込み資格の取得を目指すという意欲は湧きづらいのではないでしょうか?そこでまずは経験年数不要で建設業界へ未経験でも資格試験に挑戦しやすいよう「補」資格を設けることとなりました。

土木施工管理技士がいれば、企業の経営審査で加点される

建設業界では企業の信用度を審査する経営事項審査という制度があり、この審査によって企業の社会的な信用度や技術力の評価などを客観的にはかっていて、信用度が高いことにより入札工事などで有利に働く場合もあるんだそう。

土木施工管理技士の資格はその級ごとに会社の加点対象になるため、企業においても重きを置かれる資格になりますね。土木施工管理技士1級資格で1人5点、1級補で4点、2級で2点の加点がなされます。2級補については、実務経験がなくても取得できるため技術力という面では加点されることはありません。

土木工事には欠かせない!現場の施工管理技士

土木施工管理技士の受験資格に経験年数が重要視されたり、卒業学科によって受験資格が細かく分かれている点からも想像できるように、土木業界は知識と経験を持っている人材が大変重宝される業界になってきます。工事の現場はそれだけ危険やイレギュラーが起こりやすく、管理する者の知識や経験が必要だということですね。

それでも、令和3年の制度改正で、入口の部分である土木施工管理技士2級第一次試験を受験する規制は緩和され挑戦しやすくなってきました。また、建設業界は人手不足が大きな問題として取り上げられています。少しでも建設業界や土木の仕事に興味を持つ方は、まずは知識を身につけその後で経験を積む、そんな目標を掲げて土木施工管理技士資格に挑戦してみるものよいかもしれません。

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