今回のテーマは「舞妓」と「芸子」の違いについてです。「舞妓」は京都の着付け体験で名前が通っているイメージがありますが、芸子とはどのようなものでしょうか?実は舞妓を卒業してステップアップしたものが芸子です。詳しくは学芸員ライターkuroakaと一緒に解説していきます。

ライター/kuroaka

博物館・美術館好きで学芸員の資格を持つWebライター。好奇心旺盛で、雑学好き。たくさん仕入れた雑学をわかりやすく伝えられるよう日々鍛錬している。

「舞妓」と「芸子」のざっくりした違い

image by iStockphoto

「舞妓」と「芸子」、聞いたことはあるけれど違いがわからない、という人は多いのではないでしょうか?それもそのはず、どちらも唄や舞・三味線など芸でお客様を楽しませる仕事という意味では同じものだからです。では、この2つの違いはなんなのでしょうか?これを読めば「舞妓」と「芸子」の違いや特徴がわかってきます。まずは2つのざっくりした違いをみていきましょう。

違いは一人前かどうか

「舞妓」は芸子の見習い期間中のことで、若い女性が就くものです。修行を積み、一人前になると「芸子」になります。辞典によっては舞妓は「京都の言葉である」と書かれているものも。これは、舞妓や芸子は地域によって呼び方が異なるためです。それぞれの似た言葉を確認してみましょう。

「舞妓」と「芸子」の地域別の呼び方

「舞妓」と「芸子」、同じ意味の言葉と、使われている地域は以下の通りです。

・修行中
舞妓・舞子(まいこ) →京都
半玉(はんぎょく)、御酌(おしゃく) →関東

・一人前
芸子・芸妓(げいこ) →岐阜・愛知県以西
芸者 →上記以外の地域

「舞妓」と「芸子」の詳しい違い

image by iStockphoto

舞妓は修行中の身、芸子は一人前ということがわかりました。では他の違いはなんでしょうか?正解は見た目にあるようです。両者の違いをさらに詳しく解説していきます。

1.髪型

舞妓と芸子でぱっと目が行くのが白いお化粧と日本髪。特に髪型は舞妓と芸子で違いがあるんです。

舞妓は自分の髪で結い上げるため、髪を長く伸ばします。一度結うと1週間はその髪型を維持するため、寝るときは髪型を崩さないように高枕を使用。休みの日も日本髪で過ごすことになるので、服選びが大変そうですね。経験年数によって髪型が変わっていき、祇園祭りなど大事な行事の時にする特別な髪型もあります。四季折々の華やかなかんざしをいくつも付けるのも特徴です。

芸子は「島田」と呼ばれるかつらを被るため、髪は短くても問題ありません。また髪飾りはほとんど付けないため、舞妓と比べシンプルです。

2.着物

着物も基本的に舞妓は華やか、芸子はシンプルなものを身に着けます。舞妓はピンクや赤色で柄の入った着物に、長い帯を垂れさせた「だらり帯」が特徴です。だらり帯は全長5m以上にも及び、かなり重いものになっています。一方、芸子が身に着けるのは黒色メインで無地の落ち着いた着物です。帯は、一般的に最も広く用いられている帯結び、「お太鼓」で締めます。

\次のページで「3.履物」を解説!/

3.履物

舞妓は高さ約10cmの「ぽっくり」や「おこぼ」と呼ばれる履物を履きます。不安定のためかなり歩きにくいようです。もともとは幼女や嫁入り前の女性が晴れ着に合わせて履く草履でした。一方、芸子は普通の草履を履きます

舞妓は京都の祇園を歩いていると時々見かけますが、観光客が着付け体験している可能性が高いようです。芸子は白塗りをしていないと一般の着物の女性とほとんど変わらない見た目のため、道ですれ違ってもすぐにはわからないかもしれませんね。

「舞妓」から「芸子」になるには

image by iStockphoto

「舞妓」と「芸子」の違いがわかったところで、舞妓になるためにはどうすればいいのでしょうか?また、舞妓から芸子になるためには?この章では舞妓・芸子になる流れを解説していきます。まずは舞妓になる方法ですが…現代的で意外な方法です。

「仕込み」から舞妓へ

舞妓になるための修行は中学卒業後の15歳ごろから始まります。昔はつてを頼って舞妓が所属する置屋(おきや)に紹介してもらっていました。現在は置屋のホームページに掲載の連絡先を頼りに直接問い合わせします。

置屋に入って約1年は「仕込み」といわれる教育期間です。踊りや着付け・茶道・華道・礼儀作法・お座敷マナーを身に着けます。関東などからの希望者もいるため、京言葉を覚えるのも大切な仕込みの一環です。その後実際のお座敷の場で見習い期間を積み、舞妓としてデビュー、「店出し」します。

「襟替え」で舞妓卒業

舞妓として5、6年過ごし一人前の働きができるようになり、置屋の女将や組合から認められると、舞妓を卒業です。舞妓から芸子になることを「襟替え(えりがえ)」と言います。これは舞妓の赤襟から芸子の白襟に変わるためです。襟替えが近くなると「先笄(さっこ)」と呼ばれる髪型に結い、歯をお歯黒にし、舞妓を卒業することを周りに知らせます。

芸子には「定年」がない

芸子になることは、それまでお世話になった置屋から自立することです。己の芸事で稼ぐことになるので、より一層芸を磨いていかなければなりません。芸子になった後は特に定年などなく、生涯現役で90を過ぎても活躍している人もいます。

\次のページで「「舞子」は修行中、「芸子」は一人前」を解説!/

「舞子」は修行中、「芸子」は一人前

「舞妓」は修行中の身で、華やかな姿の若い女性がお座敷を盛り上げます。一人前になると襟替えをして「芸子」に。芸子はシンプルな格好の大人の女性です。京都に行って憧れるのは舞妓の衣装ですが、その舞妓が憧れるのが芸子。舞妓・芸子に会えるお座敷は一見様お断りです。つまり、馴染み客の紹介が無いと行けません。一度は本物の舞妓・芸子さんでお座敷体験してみたいですね。

" /> 3分で簡単にわかる!「舞妓」と「芸子」の違いとは?特徴や舞妓・芸子になる流れを学芸員ライターがわかりやすく解説 – Study-Z
雑学

3分で簡単にわかる!「舞妓」と「芸子」の違いとは?特徴や舞妓・芸子になる流れを学芸員ライターがわかりやすく解説

今回のテーマは「舞妓」と「芸子」の違いについてです。「舞妓」は京都の着付け体験で名前が通っているイメージがありますが、芸子とはどのようなものでしょうか?実は舞妓を卒業してステップアップしたものが芸子です。詳しくは学芸員ライターkuroakaと一緒に解説していきます。

ライター/kuroaka

博物館・美術館好きで学芸員の資格を持つWebライター。好奇心旺盛で、雑学好き。たくさん仕入れた雑学をわかりやすく伝えられるよう日々鍛錬している。

「舞妓」と「芸子」のざっくりした違い

image by iStockphoto

「舞妓」と「芸子」、聞いたことはあるけれど違いがわからない、という人は多いのではないでしょうか?それもそのはず、どちらも唄や舞・三味線など芸でお客様を楽しませる仕事という意味では同じものだからです。では、この2つの違いはなんなのでしょうか?これを読めば「舞妓」と「芸子」の違いや特徴がわかってきます。まずは2つのざっくりした違いをみていきましょう。

違いは一人前かどうか

「舞妓」は芸子の見習い期間中のことで、若い女性が就くものです。修行を積み、一人前になると「芸子」になります。辞典によっては舞妓は「京都の言葉である」と書かれているものも。これは、舞妓や芸子は地域によって呼び方が異なるためです。それぞれの似た言葉を確認してみましょう。

「舞妓」と「芸子」の地域別の呼び方

「舞妓」と「芸子」、同じ意味の言葉と、使われている地域は以下の通りです。

・修行中
舞妓・舞子(まいこ) →京都
半玉(はんぎょく)、御酌(おしゃく) →関東

・一人前
芸子・芸妓(げいこ) →岐阜・愛知県以西
芸者 →上記以外の地域

「舞妓」と「芸子」の詳しい違い

image by iStockphoto

舞妓は修行中の身、芸子は一人前ということがわかりました。では他の違いはなんでしょうか?正解は見た目にあるようです。両者の違いをさらに詳しく解説していきます。

1.髪型

舞妓と芸子でぱっと目が行くのが白いお化粧と日本髪。特に髪型は舞妓と芸子で違いがあるんです。

舞妓は自分の髪で結い上げるため、髪を長く伸ばします。一度結うと1週間はその髪型を維持するため、寝るときは髪型を崩さないように高枕を使用。休みの日も日本髪で過ごすことになるので、服選びが大変そうですね。経験年数によって髪型が変わっていき、祇園祭りなど大事な行事の時にする特別な髪型もあります。四季折々の華やかなかんざしをいくつも付けるのも特徴です。

芸子は「島田」と呼ばれるかつらを被るため、髪は短くても問題ありません。また髪飾りはほとんど付けないため、舞妓と比べシンプルです。

2.着物

着物も基本的に舞妓は華やか、芸子はシンプルなものを身に着けます。舞妓はピンクや赤色で柄の入った着物に、長い帯を垂れさせた「だらり帯」が特徴です。だらり帯は全長5m以上にも及び、かなり重いものになっています。一方、芸子が身に着けるのは黒色メインで無地の落ち着いた着物です。帯は、一般的に最も広く用いられている帯結び、「お太鼓」で締めます。

\次のページで「3.履物」を解説!/

次のページを読む
1 2 3
Share: