みんなは「中等教育学校」という言葉を聞いたことがあるかな?正直この呼び名だとあまり馴染みがないかもしれませんね。「中学校」の正式名称と思った人もいるかもしれない。

実は「中等教育学校」と「中学校」は別の学校なんです。同じ「中」の字がついているのにややこしいよな。でも何が違うんでしょうな。

今回は、そんな「中等教育学校」と「中学校」の違いを、院卒日本語教師の"むかいひろき"と一緒に解説していきます。

ライター/むかいひろき

ロシアの大学で働く、日本で大学院修士課程までを修了した日本語教師。その経験を武器に言葉の違いや教育について分かりやすく解説していく。

日本の教育制度の「初等教育」「中等教育」「高等教育」

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「中等教育学校」と「中学校」は別の学校です。…とはいっても何が違うのか、よく分からないという人も多いのではないでしょうか。ここではその違いを理解するために、日本の教育制度において「初等教育」「中等教育」「高等教育」がどのように扱われているかを見ていきましょう。

「初等教育」:小学校

日本の教育で「初等教育」に該当するのは、小学校6年間での学習課程です。世界的に見ると「初等教育」は5~7歳で開始されることが多いですね。

言語の習得や読解、基礎計算などの人間としての社会生活能力の育成が重視され、多くの国で義務教育があり、無償教育となっています。日本でも給食費や修学旅行代金などは別途かかってしまいますが、公立の小学校の場合は無料で授業を受けられますよね。

「中等教育」:中学校+高校

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「初等教育」の課程を修了すると次は「中等教育」に進みます。日本で「中等教育」の課程に該当するのは、中学校と高校での計6年間の学習課程です。日本では「前期中等教育」を中学校が担い、「後期中等教育」を高校が担うのが一般的ですね。日本の高校は正式名称が「高等学校」であるため「高等教育」と勘違いされることがありますが、高校(高等学校)は「中等教育」の一環です

世界の他の国を見ると、日本と同様に「前期中等教育」までを義務教育にしている国(スペイン、中国、台湾など)と、「後期中等教育」まで含めた「中等教育」全体を義務教育にしている国(イタリアなど)に分かれます。

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「高等教育」:大学、大学院、高専、専門学校…

「中等教育」を修了すると、希望する人間は「高等教育」機関へ進学します。日本で「高等教育」の課程に該当するのは大学(学部)、大学院(修士課程、博士課程)、高等専門学校の教育課程と、修了者に専門士または高度専門士の称号が授与される専門学校の教育課程です。

日本では大学や大学院などの「高等教育」を日本語で受けられるのが当たり前のように考えられていますが、開発途上国では母語による「高等教育」が困難な場合も多く、英語やフランス語などを使用して「高等教育」を行っている場合も多いですね。

日本で「中等教育」を行う学校は中学校と高校(高等学校)が代表的な2つの学校です。「中等教育」は「前期中等教育」と「後期中等教育」の2つに分けることができ、「前期中等教育」を行うのが中学校、「後期中等教育」を行うのが高校というわけですね。

つまり「中等教育学校」は「中高一貫校」?

ここまで「初等教育」「中等教育」「高等教育」について見てきました。日本で「中等教育」に該当するのは中学校と高校の教育課程ですね。つまり「中等教育学校」は、中学校と高校の教育課程を教える学校…「中高一貫校」のことなのです。

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中学校と高校が一つになったのが「中等教育学校」

Tokyo Metropolitan Tachikawa Kokusai Secondary Education School.jpg
Tachidad2008 - 投稿者が同校校舎を公道より撮影, CC 表示 3.0, リンクによる

日本では中学校を卒業する年の1月~3月にかけて入学試験を受け、合格した高校に進学するのが一般的ですよね。小学校を卒業し「中等教育学校」に進学する場合は、公立の場合は学力試験はありません。ただ調査書や作文、面接などの試験があるのが一般的で、倍率も非常に高いそうです。

「中等教育学校」は第1学年~第3学年が中学校の教育課程に相当する「前期課程」第4学年~第6学年が高校の教育課程に相当する「後期課程」となっています。

1998年にスタートした新しい学校!

日本で現行の「中等教育学校」が開校できるようになったのは1998年6月の制度改正からです。よって1999年に開校した「宮崎県立五ヶ瀬中等教育学校」が日本初の中等教育学校になります。2022年1月5日の段階で国立が4校、公立が34校、私立が18校の計56校が日本に存在していますね。

なお、戦後すぐや戦中、戦前にも「中等教育学校」や「中等学校」と総称される学校は日本に存在しましたが、現在の「中等教育学校」とは異なります。かつて「中等教育学校」や「中等学校」と総称された学校は「中学校(旧制)」「高等女学校」「実業学校」などが中心で、大半の学校が1948年の学制改革で現在の高校になりました。

実は違う学校だった!「中等教育学校」と「中学校」

今回は「中等教育学校」と「中学校」の違いについて解説しました。簡潔にまとめると「中等教育学校」は中学校と高校が合体した「中高一貫校」であり、「中学校」とは異なる学校です。そして「中等教育学校」が担う「中等教育」は、一般的には中学校と高校が担う教育のことを指します。

もし、この記事を読んでいる方やそのお子さんで「中等教育学校」の受験を考えている方がいらっしゃったら、頑張ってください!応援しています。

" /> 3分で簡単に分かる「中等教育学校」と「中学校」の違い!同じじゃない!?院卒日本語教師が分かりやすく解説 – Study-Z
雑学

3分で簡単に分かる「中等教育学校」と「中学校」の違い!同じじゃない!?院卒日本語教師が分かりやすく解説

みんなは「中等教育学校」という言葉を聞いたことがあるかな?正直この呼び名だとあまり馴染みがないかもしれませんね。「中学校」の正式名称と思った人もいるかもしれない。

実は「中等教育学校」と「中学校」は別の学校なんです。同じ「中」の字がついているのにややこしいよな。でも何が違うんでしょうな。

今回は、そんな「中等教育学校」と「中学校」の違いを、院卒日本語教師の”むかいひろき”と一緒に解説していきます。

ライター/むかいひろき

ロシアの大学で働く、日本で大学院修士課程までを修了した日本語教師。その経験を武器に言葉の違いや教育について分かりやすく解説していく。

日本の教育制度の「初等教育」「中等教育」「高等教育」

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「中等教育学校」と「中学校」は別の学校です。…とはいっても何が違うのか、よく分からないという人も多いのではないでしょうか。ここではその違いを理解するために、日本の教育制度において「初等教育」「中等教育」「高等教育」がどのように扱われているかを見ていきましょう。

「初等教育」:小学校

日本の教育で「初等教育」に該当するのは、小学校6年間での学習課程です。世界的に見ると「初等教育」は5~7歳で開始されることが多いですね。

言語の習得や読解、基礎計算などの人間としての社会生活能力の育成が重視され、多くの国で義務教育があり、無償教育となっています。日本でも給食費や修学旅行代金などは別途かかってしまいますが、公立の小学校の場合は無料で授業を受けられますよね。

「中等教育」:中学校+高校

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「初等教育」の課程を修了すると次は「中等教育」に進みます。日本で「中等教育」の課程に該当するのは、中学校と高校での計6年間の学習課程です。日本では「前期中等教育」を中学校が担い、「後期中等教育」を高校が担うのが一般的ですね。日本の高校は正式名称が「高等学校」であるため「高等教育」と勘違いされることがありますが、高校(高等学校)は「中等教育」の一環です

世界の他の国を見ると、日本と同様に「前期中等教育」までを義務教育にしている国(スペイン、中国、台湾など)と、「後期中等教育」まで含めた「中等教育」全体を義務教育にしている国(イタリアなど)に分かれます。

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