最近K-popや韓流ドラマの人気によって「韓国語」を学ぶ人が増えているそうです。外国語を勉強することはとてもいい事です。ところで「韓国語」と似たような言葉で「朝鮮語」というのがある。みんなはこの2つの違いが分かるかな。そもそも違いがあるのか…

実は違いはないと言えばないし、あると言えばある…という少しややこしいものなんです。

今回はそんな「朝鮮語」と「韓国語」の違いを、言葉や言語に詳しい院卒日本語教師の"むかいひろき"と一緒に解説していきます。

ライター/むかいひろき

ロシアの大学に再就職した、日本で大学院修士課程修了の日本語教師。その経験を武器に言葉や言語について分かりやすく解説していく。

本来はどちらも「朝鮮語」?

image by iStockphoto

「韓国語」と「朝鮮語」という言葉、どちらも聞いたことがあるという人が多いでしょう。ただ、その違いをご存じですか?実は言語学的には、韓国で使用されている言語も北朝鮮で使用されている言語も、どちらも「朝鮮語」なのです。

朝鮮民族(韓国人・北朝鮮人)の言語である「朝鮮語」

言語学的には「韓国語」と「朝鮮語」の区別は存在せず、朝鮮民族(韓国人・北朝鮮人)を中心に話されている言語は「朝鮮語」と呼ばれます。つまり方言レベルの差異は存在しても、韓国と北朝鮮で話されている言語は基本同じであるということですね。

この「朝鮮語」は朝鮮半島を中心に約6500万人が使用しています。ハングル文字が特徴的な言語ですが、このハングル文字は15世紀半ばに当時の朝鮮国王・世宗(セジョン)によって考案・公布された文字です。

「朝鮮語」と「韓国語」の使い分けとその違い!

image by iStockphoto

では、「朝鮮語」と「韓国語」が使い分けられる場合はあるのでしょうか?答えは「使い分けられる場合はあります」です。日本では言語学的には同じ朝鮮語でも、北朝鮮の公用語は「朝鮮語」韓国の公用語は「韓国語」と区別して表現しています。そしてこの「朝鮮語」と「韓国語」、実は少し違いがあるのです。その違いをここで見ていきましょう。

「朝鮮語」:北朝鮮の公用語!

北朝鮮の公用語である「朝鮮語」。こちらはニュースで目にすることが多い言語ですよね。「朝鮮語」の特徴としては、ソ連の影響によりロシア語由来の外来語が多い点、それ以外の外来語は出来るだけ使わずに昔ながらの言葉を使用している点が挙げられます。よって「朝鮮語」と「韓国語」で単語レベルの違いもいくらか発生していますね。

\次のページで「「韓国語」:韓国の公用語!」を解説!/

「韓国語」:韓国の公用語!

一方の韓国の公用語である「韓国語」。近年では日本に限らず世界中で学習する人が増えている言語です。

その「韓国語」にあって「朝鮮語」にないのは「頭韻法則」という発音の変化言葉の先頭Rの部分の発音が「韓国語」では「朝鮮語」と比べて変化している場合が多いそうです。たとえば北朝鮮の「朝鮮語」で「来年」は「년(ニョン)」ですが、「韓国語」では「년(ニョン)」に変化しています。

そして、私たち外国人が言語学でいう「朝鮮語」を学ぶ場合、それは韓国の「韓国語」であることがほとんどですね。

本来は1つの国だった韓国と北朝鮮。第二次世界大戦後に国が分断されてしまったことにより、もともと1つだった「朝鮮語」も、それぞれの国でそれぞれの発展を遂げていきました。北朝鮮の「朝鮮語」はロシア語の影響を受けながらも古き伝統を保っており、韓国の「韓国語」は英語や漢語の影響を受けながら新しく変化していった…と言えるでしょう。

ただ、「朝鮮語」も「韓国語」も言語学的には同じ「朝鮮語」であるため、基本的な意思疎通は北朝鮮の「朝鮮語」話者と韓国の「韓国語」話者が話す場合に、通訳なしですることはできます。

朝鮮半島以外にも「朝鮮語」を使う人たちがいる!?

image by iStockphoto

今回ご紹介した言語学的な意味での「朝鮮語」。実は話されている場所は朝鮮半島だけではありません。日常的に「朝鮮語」を使用する人たちは他の国にもいます。どのような人たちなのか、見ていきましょう。

中国の朝鮮族

中国の東北地方の吉林省には「朝鮮族自治州」という地域があり、そこには韓国人や北朝鮮人と同じルーツを持った朝鮮族が暮らしています。この「朝鮮族自治州」の公用語は中国語と「朝鮮語」家族内の会話は「朝鮮語」がメインで、学校では中国語と「朝鮮語」どちらも学びます。そして、中学校からは日本語の学習を開始する学校もあり、日本語学習者が多い地域であることも特徴です。

中国語、「朝鮮語」、日本語を操ることができる人が複数いるのが、中国の朝鮮族の特徴かもしれませんね。

ロシア・旧ソ連諸国の高麗人

高麗人は19世紀後半~20世紀前半にかけて、ロシア帝国やソ連に移住した朝鮮民族の子孫です。朝鮮半島は1860年代後半から、日本や中国、ロシアが勢力を伸ばし始め動乱の舞台となります。その混乱を避けるために一部の朝鮮民族がロシア帝国やソ連に移住しました。

高麗人はかつてスターリン時代に「朝鮮語」が禁止された影響で「朝鮮語」を全く話せない人もいます。一方で「朝鮮語」を話す高麗人についても、その言語は本来の「朝鮮語」からは大きく変化した「コリョマル(高麗語)」になっており、韓国人や北朝鮮人と意思疎通を図るのには困難をともなうそうです。

\次のページで「本当は同じ言葉!でも少しの違いと使い分けがある!」を解説!/

本当は同じ言葉!でも少しの違いと使い分けがある!

今回は「朝鮮語」と「韓国語」の違いについて解説しました。「朝鮮語」も「韓国語」も本来は朝鮮半島で話されている「朝鮮語」という1つの言語です。ただ、日本では北朝鮮で話されている朝鮮語は「朝鮮語」、韓国で話されている朝鮮語は「韓国語」として区別しています。そして北朝鮮の「朝鮮語」と韓国の「韓国語」では、微妙な違いが生じていることも見てきました。

北朝鮮の「朝鮮語」も韓国の「韓国語」も、どちらも勉強してみると面白いかもしれませんね!

" /> 3分で簡単に分かる「朝鮮語」と「韓国語」の違い!実は同じ言葉?院卒日本語教師が分かりやすく解説 – Study-Z
雑学

3分で簡単に分かる「朝鮮語」と「韓国語」の違い!実は同じ言葉?院卒日本語教師が分かりやすく解説

最近K-popや韓流ドラマの人気によって「韓国語」を学ぶ人が増えているそうです。外国語を勉強することはとてもいい事です。ところで「韓国語」と似たような言葉で「朝鮮語」というのがある。みんなはこの2つの違いが分かるかな。そもそも違いがあるのか…

実は違いはないと言えばないし、あると言えばある…という少しややこしいものなんです。

今回はそんな「朝鮮語」と「韓国語」の違いを、言葉や言語に詳しい院卒日本語教師の”むかいひろき”と一緒に解説していきます。

ライター/むかいひろき

ロシアの大学に再就職した、日本で大学院修士課程修了の日本語教師。その経験を武器に言葉や言語について分かりやすく解説していく。

本来はどちらも「朝鮮語」?

image by iStockphoto

「韓国語」と「朝鮮語」という言葉、どちらも聞いたことがあるという人が多いでしょう。ただ、その違いをご存じですか?実は言語学的には、韓国で使用されている言語も北朝鮮で使用されている言語も、どちらも「朝鮮語」なのです。

朝鮮民族(韓国人・北朝鮮人)の言語である「朝鮮語」

言語学的には「韓国語」と「朝鮮語」の区別は存在せず、朝鮮民族(韓国人・北朝鮮人)を中心に話されている言語は「朝鮮語」と呼ばれます。つまり方言レベルの差異は存在しても、韓国と北朝鮮で話されている言語は基本同じであるということですね。

この「朝鮮語」は朝鮮半島を中心に約6500万人が使用しています。ハングル文字が特徴的な言語ですが、このハングル文字は15世紀半ばに当時の朝鮮国王・世宗(セジョン)によって考案・公布された文字です。

「朝鮮語」と「韓国語」の使い分けとその違い!

image by iStockphoto

では、「朝鮮語」と「韓国語」が使い分けられる場合はあるのでしょうか?答えは「使い分けられる場合はあります」です。日本では言語学的には同じ朝鮮語でも、北朝鮮の公用語は「朝鮮語」韓国の公用語は「韓国語」と区別して表現しています。そしてこの「朝鮮語」と「韓国語」、実は少し違いがあるのです。その違いをここで見ていきましょう。

「朝鮮語」:北朝鮮の公用語!

北朝鮮の公用語である「朝鮮語」。こちらはニュースで目にすることが多い言語ですよね。「朝鮮語」の特徴としては、ソ連の影響によりロシア語由来の外来語が多い点、それ以外の外来語は出来るだけ使わずに昔ながらの言葉を使用している点が挙げられます。よって「朝鮮語」と「韓国語」で単語レベルの違いもいくらか発生していますね。

\次のページで「「韓国語」:韓国の公用語!」を解説!/

次のページを読む
1 2 3
Share: