日本の非核三原則は矛盾している?歴史や今後の課題などを行政書士試験合格ライターが簡単にわかりやすく解説
唯一の被爆国である日本のリーダーシップ
日本は憲法で戦争を永久に放棄すると宣言しました。自衛隊を組織していますが、建前上は戦争のための戦力を持っていません。そのため、国連平和維持活動(PKO)は、交戦するおそれがない場所でのものに限られます。また、軍隊を持たないと宣言したため、アメリカに国防を依存しているのも仕方のないことでしょう。
しかし、唯一の被爆国で非核三原則を提唱した日本だからこそ、国際社会でリーダーシップを発揮すべきではないでしょうか。核の脅威を外交などのカードに利用する国が見受けられますが、それは核の脅威を知っているからに違いありません。日本には、国際社会に核の脅威を正しく理解させる役目があって然るべきです。
核共有を認めるか否か
2022(令和4)年から、日本でも核共有に関する議論が高まりました。核共有とは、核を保有していない国が核保有国と共同で核を運用することです。一例として、ドイツ・イタリア・オランダ・ベルギー・トルコの5カ国は、自国内にアメリカが保有する核兵器を受け入れています。
岸田文雄首相は、国会答弁などで「非核三原則や原子力基本法などから核共有を認めるのは難しい」とする見解を示しました。非核三原則を歴代内閣が非核三原則を継承し、なおかつ岸田首相が被爆地である広島を地元とするならば、そのような立場を取るのは当然でしょう。その一方で、日本が核の脅威に対する備えを急がねばならないのも事実といえます。
非核三原則について議論の余地はある
非核三原則は唯一の被爆国である日本から生まれ、提唱した佐藤栄作にはノーベル平和賞が贈られました。日本の核政策は非核三原則に則ったものが踏襲されていますが、その一方で日本が核の傘に頼っているなど、矛盾があると言わざるをえません。原発の再稼働や核共有など、核政策を見直すべきとする意見もあります。現状では、非核三原則について議論の余地があるといえるでしょう。