日本の非核三原則は矛盾している?歴史や今後の課題などを行政書士試験合格ライターが簡単にわかりやすく解説
「持ち込ませず」が守られなかったという疑惑
「日本に核が持ち込まれていた」とする疑惑は、昭和の時代より何度も浮上していました。そのたびに、当時の政府が密約の存在を否定しています。しかし、2009(平成21)年に民主党の鳩山由紀夫内閣が誕生すると、その対応が変わりました。岡田克也外務大臣が、外務省に核に関する密約があったかどうかを調査させたのです。
調査の結果、密約があったことを確証する文書は見つかりませんでした。しかし、日米間で暗黙の了解があったと結論付けたのです。歴代内閣は、非核三原則を遵守すると声明を出し続けていました。ですが、核について暗黙の了解があった限りは、これまで日本に核は持ち込まれていないと断言できないでしょう。
日本は核兵器禁止条約に不参加
核兵器禁止条約は、2017(平成29)年に国連で採択されると、2020(令和2)年に批准国が50に到達。条約が発効する基準に達しました。それ以降も、核兵器禁止条約に批准する国が着々と増え続けています。しかし、日本は依然として核兵器禁止条約に参加していません。
日本はNPT(核拡散防止条約)の枠組みで核軍縮に努めるという方針を取っています。もちろん、核の傘に守られているという事実があることもその原因です。確かに、核兵器禁止条約に核保有国が参加していないなどの事情も関係しているでしょう。それでも、日本が核兵器禁止条約にオブザーバーとして参加することを模索すべきかもしれません。
原発から核を製造することはありえない
日本は核兵器の製造が可能な国であるという認識もあります。なぜなら、日本は核兵器の材料となるプルトニウムを保有しているからです。原発の使用済み核燃料から取り出して再利用するという目的があるために、プルトニウムを保有してます。決して核兵器を製造するためのものではありません。
確かに日本は核兵器を作る能力があるのでしょう。しかし、原子力基本法では、原子力利用を「平和の目的」に限定しています。また、日本が批准している核不拡散条約では非保有国の核兵器製造や取得を禁じているため、日本で核兵器を製造することはありえません。たとえ製造能力があったとしても、法律や条約で核の製造は禁止されているのです。
こちらの記事もおすすめ
プルトニウムとはどのような物質?核分裂連鎖反応と関係がある?現役理系学生ライターが5分でわかりやすく解説
東日本大震災以降は原発の稼働が慎重に
2011(平成23)年の東日本大震災により福島第一原発事故が発生して、原発の稼働はより慎重になりました。2012(平成24)年に環境省の外局として原子力規制委員会が設置され、原子力利用の安全確保が図られます。また、震災前よりも厳格な規制基準が設けられました。
震災直後に日本のすべての原発は運転を停止。審査基準を満たしたものから再稼働する運びとなりましたが、地元自治体の反対などもあり、震災前と同様の電力量を確保するまでに至っていません。2022年までに10基の原発が再稼働した一方で、それ以上の数の原発が廃炉となったのです。
\次のページで「日本の核政策と非核三原則の今後考えられる課題」を解説!/