この記事では爆発と燃焼の違いについてみていきます。爆発と言えば大きな音とともに火が飛び散るイメージがあるよな。しかし、燃焼をともなわない爆発もあり、爆発と燃焼は違う現象だという。今回はそんな爆発と燃焼の違いを、メカニズムと定義を確認しつつ、理系ライターの斉藤佳人と一緒に解説していきます。

ライター/斉藤佳人

お米農家、メカエンジニア、ロボット教室講師、スポーツトレーナーと複数の仕事をこなすマルチワーカー。豊富な知識と経験をもとにライター業にも取り組んでいる。

爆発と燃焼の違いとは?

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爆発と燃焼は、似ているようで同じというわけではありません。爆発は圧力の変化や気体の膨張によって引き起こされます。燃焼は物質が酸素と結びつく「酸化」が起きたときに、熱や光を発生する現象のこと。爆発の中には燃焼によって引き起こされるものもありますが、燃焼をともなわない爆発もあります。

燃焼の定義

一般的に燃焼は、光や熱を発生させながら物質が酸素と結合する現象のことをさします。物質が酸素と結合することが酸化。鉄が錆びることも酸化ですが、激しい熱や光を発することはなくゆっくりと進行するので、鉄が錆びることを燃焼とは呼びません。酸素がなくても燃焼が起こる場合もあります。フッ素や塩素という物質は、硝酸塩や過酸化水素塩という物質によって酸化が起こり燃焼するのです。

燃焼に必要な要素

もう少し詳しく燃焼を見ていきましょう。物質が酸化反応するときに熱や光を発生する現象を燃焼とご紹介しました。このとき、燃料となる物質を可燃性物質、酸化剤の役割をはたす物質を支燃性物質と呼びます。

しかし、可燃性物質と支燃性物質があるからといって必ず燃焼するわけではありません。燃焼が起こるためにはもう1つの重要な要素があり、それは発火点以上の温度。マッチで紙に火をつける場面をイメージしてください。マッチを着火するときは箱にこすりつけますね。こすることによって摩擦熱が発生しマッチが「燃焼」するのです。

燃焼しているマッチを紙に近づけると今度は紙がマッチからの熱で加熱され発火点以上になると紙も燃焼し始めます。

\次のページで「燃焼の種類は3つ」を解説!/

燃焼の種類は3つ

燃焼は燃料となる物質によって3つに分けられます。まずは気体燃料。気体の燃料と酸化剤により燃焼が起こります。あらかじめ燃料と酸化剤を混合して燃焼効率を高める方法を予混合燃焼。つぎに液体燃料です。液体燃料が液面から蒸発して気体となったものが燃焼しているのです。アルコールランプは燃えていても芯材は燃えていませんね。

最後に固体燃料。ろうそくは固体ですが、蒸発して発生したガスが燃焼します。木材が燃焼するときも熱分解によって可燃性のガスが発生してガスが燃焼しているのです。

宇宙で燃焼は起こるのか?

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燃焼は燃料となる可燃性物質と酸化を誘発する支燃性物質によって起こり、激しく熱や光を発生する現象のことでした。では、酸素の無い宇宙で燃焼は起こるのでしょうか?宇宙ロケットはエンジンで燃料を「燃焼して」推進力を得ています。酸素がない宇宙空間なのに不思議ですね。

実は宇宙ロケットは燃料とともに、酸素を極低温にした液体酸素を積み込んでいるのです。燃料と酸素を混ぜることで、酸素の無い宇宙空間でも燃焼によって発生したエネルギーを推進力として利用しているんですね。

爆発は圧力変化がカギ

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爆発は、なんらかの理由により圧力が急激に上昇したり、反対に圧力が急激に低下したときに発生します。そのとき、熱や光、そして音が発生するんですね。

炭酸水が入ったペットボトル容器を思い浮かべてみましょう。落としたり振ったりした炭酸飲料のペットボトルのキャップを一気に開けると、液体が勢いよく吹き出しますね。これも爆発の一種。

炭酸水は水に二酸化炭素を加えて圧力をかけ液体の中に溶け込ませたものです。圧力の影響がなくなると、時間経過とともに水と二酸化炭素に分離して液体の中から気泡が発生。気体に戻った二酸化炭素は体積が大きくなるため、ペットボトルの内部の圧力は次第に上昇していきます。圧力が高まったところで、一気にキャップが開けられると爆発が発生するんですね。

1.物理的な爆発

風船に空気を送りこむと膨らんでいきますが、ゴムがこれ以上膨らむことができなくなったり、とがったものを突き刺したりすると破裂しますね。これが物理的な爆発。

同様に高圧のガスが入っている容器に傷がつくなどして、容器が圧力に耐えられなくなり容器が破裂したときの破裂が物理的な爆発です。高圧のガスが耐圧力の低い容器に流入した時にも容器が耐えられなくなると破裂しますね。また、容器内に入っている気体や液体が加熱されて膨張した時にも起こります。

\次のページで「2.化学的な爆発 その1」を解説!/

2.化学的な爆発 その1

物質の化学的な変化をともなう爆発もあります。1つ目は燃焼によって起こる爆発。ガス爆発、粉塵爆発などがあります。ガス爆発は空気中の可燃性の気体に引火して急速に膨張することで起こり、連鎖的に反応が進んで大きな爆発となるのです。

粉塵(ふんじん)爆発は固体である粉末によって起こる爆発。空気中にただよう粉塵がある濃度以上のときに火の粉などによって引火して爆発がおこります。粉で爆発が起こるというのも不思議ですね。

3.化学的な爆発 その2

燃焼以外の化学的な反応によって起こる爆発もあります。その1つが核爆発。核爆発は放射性物質であるウランやプルトニウム原子に、中性子をぶつけることで核分裂を起こして大きなエネルギーを発生させたもの。この核分裂が連鎖的に非常に短い時間に発生することで爆発が起こるのです。同様に核融合反応が起こるときにも大きなエネルギーが発生するため爆発が起こるのですね。

燃焼しなくても爆発は起こる?

これまで見てきた通り、燃焼をともなわない爆発もあります。物理的な爆発と核爆発がそうでした。爆発の要因の1つに燃焼がありますが、燃焼と爆発がイコールではないということがわかりましたね。

爆発と燃焼は似ているようで仕組みが違う

爆発と燃焼はメカニズムが違うということがわかりました。燃焼によって発生する熱は料理や暖房として必要。また、爆発は危険ではありますが制御することでビルの解体や、鉱山開発に有効活用されている側面もあります。どちらも安全に気を付けて活用していきたいですね。

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雑学

3分で簡単にわかる爆発と燃焼の違い!メカニズムや定義も理系ライターがわかりやすく解説

この記事では爆発と燃焼の違いについてみていきます。爆発と言えば大きな音とともに火が飛び散るイメージがあるよな。しかし、燃焼をともなわない爆発もあり、爆発と燃焼は違う現象だという。今回はそんな爆発と燃焼の違いを、メカニズムと定義を確認しつつ、理系ライターの斉藤佳人と一緒に解説していきます。

ライター/斉藤佳人

お米農家、メカエンジニア、ロボット教室講師、スポーツトレーナーと複数の仕事をこなすマルチワーカー。豊富な知識と経験をもとにライター業にも取り組んでいる。

爆発と燃焼の違いとは?

image by iStockphoto

爆発と燃焼は、似ているようで同じというわけではありません。爆発は圧力の変化や気体の膨張によって引き起こされます。燃焼は物質が酸素と結びつく「酸化」が起きたときに、熱や光を発生する現象のこと。爆発の中には燃焼によって引き起こされるものもありますが、燃焼をともなわない爆発もあります。

燃焼の定義

一般的に燃焼は、光や熱を発生させながら物質が酸素と結合する現象のことをさします。物質が酸素と結合することが酸化。鉄が錆びることも酸化ですが、激しい熱や光を発することはなくゆっくりと進行するので、鉄が錆びることを燃焼とは呼びません。酸素がなくても燃焼が起こる場合もあります。フッ素や塩素という物質は、硝酸塩や過酸化水素塩という物質によって酸化が起こり燃焼するのです。

燃焼に必要な要素

もう少し詳しく燃焼を見ていきましょう。物質が酸化反応するときに熱や光を発生する現象を燃焼とご紹介しました。このとき、燃料となる物質を可燃性物質、酸化剤の役割をはたす物質を支燃性物質と呼びます。

しかし、可燃性物質と支燃性物質があるからといって必ず燃焼するわけではありません。燃焼が起こるためにはもう1つの重要な要素があり、それは発火点以上の温度。マッチで紙に火をつける場面をイメージしてください。マッチを着火するときは箱にこすりつけますね。こすることによって摩擦熱が発生しマッチが「燃焼」するのです。

燃焼しているマッチを紙に近づけると今度は紙がマッチからの熱で加熱され発火点以上になると紙も燃焼し始めます。

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