文化・歴史雑学

3分で簡単にわかる薙刀と槍の違い!どっちが強い?矛との違いは?刀剣大好きライターが詳しく解説

薙刀は薙ぎ払うための武器です。攻撃範囲が広く、南北朝時代~室町時代中期頃、馬上での一騎打ちで活躍しました。その後、一部は薙刀直しに。少ない力で攻撃ができるという特徴があり、女性が扱う武器としても浸透していきます。

槍は突き刺すための武器です。攻撃範囲は直線的で、室町時代後期から、足軽による集団戦で活躍しました。訓練を積んでいないものでも簡単に扱えるという特徴があります。

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戦場での主要武器が薙刀から槍へ変わった背景には、馬上での一騎打ちから集団戦へという戦い方の変化がある。薙刀は槍よりも扱い方が難しい反面、少ない力で扱えることから後の時代にも女性の武器として使われているんだな。薙刀の歴史には槍の存在が深くかかわっているともいえそうだ。

ここまで薙刀と槍の違いについてみてきたが、じつは、両者に似ている武器はまだいくつか存在しているんだ。次に、「薙刀と長巻」「槍と矛」の違いについて、詳しく見ていくぞ。

薙刀と長巻の違いは?

薙刀と似た武器はいくつか存在しますが、とくに似ているものが「長巻(ながまき)」です。長巻は大太刀から発展した武器と考えられているため、大きな太刀の柄を長く伸ばして、刀身と同じ長さにしたものをイメージしていただくとわかりやすいと思います。

銃刀法では薙刀に分類されており、薙刀との違いに明確な定義はありません。しかしまったく同じものではなく、いくつか違いが存在しています。たとえば、反り方の違い。薙刀は切っ先の反り具合が深いのに対し、長巻は浅くなっています。

また、薙刀は柄が刀身よりも長いのに対し、長巻は柄と刀身の長さがほぼ同じ。長巻はとても重いため薙刀のように振り回して攻撃することはできず、うまく扱うには訓練が必要でした。

槍と矛の違いは?

image by iStockphoto

「矛(ほこ)」は日本だけでなく、世界中で使用された武器です。日本神話にも登場するほど古くから存在しており、槍や薙刀のもとになったものであるといわれています。両刃に長い柄、という点では槍とよく似ていますが、両者には明確な違いがありますよ。

たとえば、構造の違い。どちらも長い棒と刃からなる武器ですが、槍が刀身の根元を柄に差して固定するのに対し、矛は刀身の根元が袋状になっており、そこに柄を差して固定します。柄に刃を差すのが槍、刃に柄を差すのが矛、というわけですね。

また「矛盾」という言葉の通り、矛は片手で使用し、もう一方の手に盾を持って戦うことがあったようです。それに対し、槍は両手で使用することが基本でした。さらに、槍が突き刺す武器であるのに対し、矛は斬る武器。矛の刀身は槍よりも丸みを帯びており、厚みがあります。

薙刀は切っ先の反りが深く、柄が刀身よりも長い形状。振り回して使用することが可能です。長巻は切っ先の反りが浅く、柄と刀身の長さがほぼ同じ。振り回して使用することは不可能です。ただし、薙刀と長巻の違いについて明確な定義はありません。

槍は柄に刀身の根元を差して固定します。基本的には両手で使用し、突き刺すための武器です。矛は刀身の根元に柄を差して固定します。基本的には片手で使用し、斬るための武器です。

薙刀も槍も強力な武器

今回は薙刀と槍の違いについて見ていきました。ともに長い柄と刃を持つ強力な武器ですが、個人戦か集団戦かという戦いの状況に応じて適している武器は変わります。そのため、どちらの方がより優れているか一概に判断することは難しいでしょう。

日本の歴史では薙刀が槍にとって代わられた形となっていますが、少ない力で強力な攻撃を加えられる薙刀は、その後女性が扱う武器として浸透していきました。

現代において、薙刀術や槍術は「なぎなた」「槍道」として受け継がれています。また、薙刀や薙刀直し、槍は博物館などで鑑賞することができますよ。打刀や太刀などの日本刀とはまた違った、長柄武器ならではの魅力を味わってみるのもおすすめです!

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