この記事では政治と行政の違いについてみていきます。政治と行政の違いはずばり統治機構における役割であり、国の方針や方向性を決める役割と、決まった方針に向けて実際に運営する役割に分かれるようです。今回はそんな政治と行政の違いについて、三権分立や実際の行政機関についてまで政治学科卒ライターyukoと一緒に解説していきます。

ライター/yuko

工事会社勤務9年目現役OLライター。法学部政治学科を卒業。大学在学中は近代政治を中心に学んできた。自分の知らないルールのなかで、生きていくということに違和感を持ち、法律や政治制度について学びたいと思ったのが政治学科を選んだ理由。大学4年間での学びを活かしてわかりやすく解説していく。

政治と行政の違いは統治機構における役割

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政治と行政の違いは統治機構における役割にあり、日本の国の統治について例を挙げると、政治は国家の意思決定を行う役割を担い、行政はその意思決定を具体的に実現するために運用していく役割を担います。ここでは三権分立も参考にしながらさらにくわしくみていきましょう。

政治:国をはじめとする社会集団の意思の決定をおこなう

政治とは国や社会集団において、その集団を運営する上での利害を調整することや意思決定をおこなうことをいいます。社会集団とは、国の他にも、都道府県、区市町村や組合や会社などのこともさしていますね。日本の政治は三権分立。つまり、国会、行政、裁判所によってそれぞれ役割を分担している状態です。

選挙によって国民に選ばれた議員が国会において法律や予算などを議論し国の意思決定をしているという点で、政治の中心、国家意思の最高創造、決定機関は国会であるといえるでしょう

行政:国家の意思を具体的に実現していく

行政は政治で行われた意思決定を具体的に実現するために運用していくことをさし、三権分立において立法と司法にならぶ1役割を担っています。日本の行政機関は内閣府をはじめ2022年時点で1府11省2庁あり、各々の分野に分けて政治の意思決定のもと業務を担っているのです。読んで字のごとく、「政(まつりごと)を行う」のが行政の役割といえますね

議院内閣制:日本における国会と内閣の関係は?

日本の国会と内閣の関係は議院内閣制です。議院内閣制とは、内閣が存立するために議会の信任が必要であり、実質、議会において議席を多く持つ政党によって内閣を組織する制度のこと。

具体的には、内閣総理大臣は国会によって指名され、行政の長である内閣総理大臣は国会議員である必要があります。さらに、内閣の各国務大臣の過半数は国会議員でなければなりません。内閣は行政権を行使するにあたり国会に対して連帯責任を負うように、衆議院で内閣不信任決議が可決された場合には解散するか、解散しない場合には総辞職をしなくてはいけません。

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三権分立におけるそれぞれの役割

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日本の政治は、国会(立法)、内閣(行政)、裁判所(司法)がそれぞれの仕事を担う三権分立のもとで行われています。特に立法権をもつ国会は、国会議員が国民から直接選挙で選ばれていることから国権の最高機関だといわれていますね。

しかし、権力が1か所に集まってしまうと、権力の濫用の危険性が高まってしまうのも事実です。このような状態が起きないよう国会、内閣、裁判所のそれぞれが監視をし合い権力のバランスをとることに三権分立のメリットがあるといえるでしょう。ここからくわしくみていきましょう。

立法:国会

立法権とは、法律などの法規範を制定することができる権利のこと。日本では国会が立法権をもっています。国会は裁判所に対して、裁判官を辞めさせるかどうかを決める弾劾裁判所の設置権をもち、内閣に対しては内閣総理大臣を指名したり、衆議院によって内閣不信任決議を行うことが可能です。

行政:内閣

行政権を担う内閣は立法権と司法権を除いた幅広い権限を持つとされています。しかし、日本の場合は議院内閣制を採用しているため、内閣は国会の意思により成立し、国会に対して連帯責任をもつのが特徴といえるでしょう。内閣は、裁判所に対して最高裁判所長官の指名や裁判官の任命をすることができ、国会に対しては衆議院の解散権を行使することが可能です。

司法:裁判所

司法権とは、具体的な争いに対して法律などの規範をもとに解決に導く権利のこと。日本では裁判所がこの権利をもっています。裁判所は「憲法の番人」といわれており、国会が作る法律に対して違憲立法審査権をもち、内閣が行う政策や規則、処分の適法性を審査し、憲法に違反していないかを判断できる権利をもつのが特徴です。

日本の行政制度について

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日本の行政機関には、府、省、委員会、庁などがありますね。簡単に説明すると、内閣府設置法という法律で定められている内閣府と、国家行政組織法によって定められている省、さらにそれらに付随する行政委員会や庁のことをさしています。さらにくわしくみていきましょう。

日本の行政機関は1府11省2庁

日本の行政機関は2022年7月時点で、1府11省2庁内閣府、デジタル庁、復興庁、総務省、法務省、外務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省、防衛省となっています。2001年に施行された中央省庁等改革によって、それまで1府22省庁あったものをまずは1府12省庁に再編し、行政のスリム化を目指したことが今の体制のもととなっているんだそう。

復興庁は2011年の東日本大震災を背景に、その復興を目的に2031年までの期限を設けてつくられました。またデジタル庁は2021年に発足した新しい組織で、コロナウイルスの流行で浮き彫りになった行政システムのデジタル化の遅れを注視し設立に至ったという。

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地方公共団体や地方行政の役割

地方公共団体とは、都道府県や市区町村の行政機関のことをいい、主にその地域に暮らす住民の生活基盤を保つ役割を担っています。具体的には、戸籍の登録や、住民票など諸々の証明書の発行業務、ごみの回収や処理、上下水道や公園、街づくり全般の整備、公立学校や図書館の運営なども行っており、さらに広域になると、道路や河川管理、義務教育や社会福祉の分野でも各々の水準を守るために行政サービスを提供する役目を担っていますね。

生活する上で具体的に活用し、1番身近に感じる行政は地方公共団体の行政サービスであるといえるでしょう。地方公共団体によって、子育て育児支援、医療、介護支援などサービスの充実度に個性があるのが特徴です。

政治で国家の意思を定めて、行政機関が実現を目指す!

政治とはある社会集団の意思決定を行い、行政とは政治で決められた意思決定を実現するために実際に運営していくことをさしていました。そして日本の場合は三権分立を採用しており、政治の権力が1か所に集中しないよう権力を3つに分散し、お互いに監視し抑制しあっています。さらに、議院内閣制という制度からもわかるように、立法権と行政権が非常に近しい関係にあるのが、日本の政治体制の特徴であるといえるでしょう。これは、立法権を担う国会の構成要員である国会議員が国民の選挙で選ばれていることから「国会は国権の最高機関」と考えられていることが1つの要因になっていると言えそうです。

また、地方公共団体の行政サービスはさらに身近に感じることができるではないでしょうか。ぜひ、政治と行政の関係性を理解した上で、政治の動きにも関心を向けながら上手に行政サービスを利用していきましょう

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公民雑学

簡単でわかりやすい!政治と行政の違いとは?三権分立や実際の行政機関も政治学科卒ライターがくわしく解説

この記事では政治と行政の違いについてみていきます。政治と行政の違いはずばり統治機構における役割であり、国の方針や方向性を決める役割と、決まった方針に向けて実際に運営する役割に分かれるようです。今回はそんな政治と行政の違いについて、三権分立や実際の行政機関についてまで政治学科卒ライターyukoと一緒に解説していきます。

ライター/yuko

工事会社勤務9年目現役OLライター。法学部政治学科を卒業。大学在学中は近代政治を中心に学んできた。自分の知らないルールのなかで、生きていくということに違和感を持ち、法律や政治制度について学びたいと思ったのが政治学科を選んだ理由。大学4年間での学びを活かしてわかりやすく解説していく。

政治と行政の違いは統治機構における役割

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政治と行政の違いは統治機構における役割にあり、日本の国の統治について例を挙げると、政治は国家の意思決定を行う役割を担い、行政はその意思決定を具体的に実現するために運用していく役割を担います。ここでは三権分立も参考にしながらさらにくわしくみていきましょう。

政治:国をはじめとする社会集団の意思の決定をおこなう

政治とは国や社会集団において、その集団を運営する上での利害を調整することや意思決定をおこなうことをいいます。社会集団とは、国の他にも、都道府県、区市町村や組合や会社などのこともさしていますね。日本の政治は三権分立。つまり、国会、行政、裁判所によってそれぞれ役割を分担している状態です。

選挙によって国民に選ばれた議員が国会において法律や予算などを議論し国の意思決定をしているという点で、政治の中心、国家意思の最高創造、決定機関は国会であるといえるでしょう

行政:国家の意思を具体的に実現していく

行政は政治で行われた意思決定を具体的に実現するために運用していくことをさし、三権分立において立法と司法にならぶ1役割を担っています。日本の行政機関は内閣府をはじめ2022年時点で1府11省2庁あり、各々の分野に分けて政治の意思決定のもと業務を担っているのです。読んで字のごとく、「政(まつりごと)を行う」のが行政の役割といえますね

議院内閣制:日本における国会と内閣の関係は?

日本の国会と内閣の関係は議院内閣制です。議院内閣制とは、内閣が存立するために議会の信任が必要であり、実質、議会において議席を多く持つ政党によって内閣を組織する制度のこと。

具体的には、内閣総理大臣は国会によって指名され、行政の長である内閣総理大臣は国会議員である必要があります。さらに、内閣の各国務大臣の過半数は国会議員でなければなりません。内閣は行政権を行使するにあたり国会に対して連帯責任を負うように、衆議院で内閣不信任決議が可決された場合には解散するか、解散しない場合には総辞職をしなくてはいけません。

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