日本茶を入れる茶器として「急須」と「土瓶」がありますが、その違いは分かるでしょうか?持っているのは急須だけという家庭も多そうです。急須と土瓶の違いはずばり「造り」と「淹れるのに適したお茶」です。さっそく学芸員ライターkuroakaと一緒に解説していきます。

ライター/kuroaka

博物館・美術館好きで学芸員の資格を持つWebライター。お茶も大好きで執筆中は必ず温かいお茶をお供にする。最近はお茶摘み体験が気になっている。

「急須」と「土瓶」のざっくりした違いは?

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「急須」と「土瓶」どちらもお茶を入れる道具です。しかし、その2つがどう違うかわからない方も多いのではないでしょうか?恐らく多くの人がお茶を入れる時は急須を使っているかと思います。最近ですと1杯分を簡単に淹れられるティーバッグも数多く売れているため、このような茶器を持っていない方もいるかもしれませんね。

この記事を読めば「急須」と「土瓶」がわかり、さらにはどちらも欲しくなるかもしれません。まずは2つのざっくりした違いをみていきましょう。

1.持ち手の造り

「急須」と「土瓶」の一番わかりやすい違いは持ち手の造りです。急須は胴体と持ち手が同じ素材でできており、持ち手が胴体の横についています。一方、土瓶は持ち手が胴体とは異なる素材(主に竹や籐とう)でできており、上についているのが特徴です。

2.素材

次にそれぞれの素材についてみていきましょう。急須は主に陶器や磁器でできており、中にはガラス製のものもあります。素材は特に問いません。

一方土瓶は名前の通り土でできたものなので、陶器や磁器に限られます。土瓶の使用法として直火にかけることがありますが、陶器製は直火OKなものがある一方、磁器製は基本火にかけられません。購入前に火にかけていいものかどうか、しっかり確認してください。

やかん・鉄瓶との違いは?

急須・土瓶と似たような道具で「やかん」と「鉄瓶」がありますよね。この違いは何でしょうか?

やかんは造りは土瓶と一緒で、取っ手が上についています。違いは金属でできていること。一方鉄瓶はお湯を沸かす道具で、名前の通り鉄製です。内側がホーロー加工されていない鉄瓶はお湯を沸かすことで内部の鉄が溶けだし、鉄分補給できる点が魅力。岩手県を代表する特産品として南部鉄瓶が有名です。

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「急須」と「土瓶」に適したお茶は?

「急須」と「土瓶」は、淹れるのに適したお茶でも違います。それぞれ詳しくみていきましょう。

急須:玉露・煎茶・茎茶

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急須に適したお茶は玉露・煎茶・茎茶などです。湯温70~80℃の低温でじっくり淹れることで茶葉のうま味や甘みが出て美味しく淹れられます。そのため急須は比較的小ぶりのものが多く造られています。

土瓶:ほうじ茶・玄米茶

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Haragayato - 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 4.0, リンクによる

土瓶に適したお茶はほうじ茶・玄米茶です。土瓶はもともと直火にかけて使うもので、熱湯の中で煎じる中国茶・漢方薬などに適しています。そのためたっぷりの熱湯で一気に茶葉のうま味が出るタイプのお茶がぴったり。その特徴から、土瓶は大きめのサイズが多いです。

土瓶は料理でも使用できる

土瓶はお茶だけでなく料理にも使われています。土瓶と聞いて「土瓶蒸し」を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか?土瓶蒸しは土瓶の中にキノコや白魚・エビ・鶏肉・銀杏・三つ葉などを入れ、だし汁で蒸す料理です。すだちが添えられるのも特徴。こちらに適した土瓶は、具材が出し入れしやすい大きな口のものです。火にかけて調理するので、直火対応のものを選ぶ必要があります。

「急須」と「土瓶」の歴史は?

急須と土瓶の違いがわかったところで、次はそれぞれの歴史をみていきましょう。

\次のページで「急須:中国で発明」を解説!/

急須:中国で発明

急須の原型は中国で発明されました。中国では湯沸かしや酒を温めるのに使っています。日本では昔「急焼(きびしょ)」と呼ばれ、お茶を淹れる道具に変えて江戸時代に文化人の間で使用されていました。庶民の間で広く使われるようになったのは、江戸末期から明治初期にかけてとなります。

土瓶:江戸時代では生活の一部

土瓶は江戸時代には生活で一般的に使われていました。当時庶民の間では土瓶の中に茶葉を入れ、火にかけて煮出す方法が主流だったと言います。「汽車土瓶」と言って、大正〜昭和半ばまでは駅弁と一緒に購入するお茶の入れ物として土瓶が活躍していました。昔は土瓶が人々の身近な道具だったことがうかがえます。

「急須」と「土瓶」好みのお茶によって使い分けよう

「急須」は取っ手が横についており、低温でじっくり抽出する玉露・煎茶・茎茶に適したもの。「土瓶」は取っ手が本体とは違う素材で上についており、たくさんの熱湯で一気に抽出するほうじ茶・玄米茶が適しているとわかりました。最近では簡単に美味しく淹れられるティーバッグも人気ですが、それぞれの茶葉に合わせてより美味しく楽しめる急須と土瓶にも手を伸ばしてみてはいかがでしょうか。

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3分で簡単にわかる!「急須」と「土瓶」の違いとは?使い方や歴史を学芸員ライターがわかりやすく解説

日本茶を入れる茶器として「急須」と「土瓶」がありますが、その違いは分かるでしょうか?持っているのは急須だけという家庭も多そうです。急須と土瓶の違いはずばり「造り」と「淹れるのに適したお茶」です。さっそく学芸員ライターkuroakaと一緒に解説していきます。

ライター/kuroaka

博物館・美術館好きで学芸員の資格を持つWebライター。お茶も大好きで執筆中は必ず温かいお茶をお供にする。最近はお茶摘み体験が気になっている。

「急須」と「土瓶」のざっくりした違いは?

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「急須」と「土瓶」どちらもお茶を入れる道具です。しかし、その2つがどう違うかわからない方も多いのではないでしょうか?恐らく多くの人がお茶を入れる時は急須を使っているかと思います。最近ですと1杯分を簡単に淹れられるティーバッグも数多く売れているため、このような茶器を持っていない方もいるかもしれませんね。

この記事を読めば「急須」と「土瓶」がわかり、さらにはどちらも欲しくなるかもしれません。まずは2つのざっくりした違いをみていきましょう。

1.持ち手の造り

「急須」と「土瓶」の一番わかりやすい違いは持ち手の造りです。急須は胴体と持ち手が同じ素材でできており、持ち手が胴体の横についています。一方、土瓶は持ち手が胴体とは異なる素材(主に竹や籐とう)でできており、上についているのが特徴です。

2.素材

次にそれぞれの素材についてみていきましょう。急須は主に陶器や磁器でできており、中にはガラス製のものもあります。素材は特に問いません。

一方土瓶は名前の通り土でできたものなので、陶器や磁器に限られます。土瓶の使用法として直火にかけることがありますが、陶器製は直火OKなものがある一方、磁器製は基本火にかけられません。購入前に火にかけていいものかどうか、しっかり確認してください。

やかん・鉄瓶との違いは?

急須・土瓶と似たような道具で「やかん」と「鉄瓶」がありますよね。この違いは何でしょうか?

やかんは造りは土瓶と一緒で、取っ手が上についています。違いは金属でできていること。一方鉄瓶はお湯を沸かす道具で、名前の通り鉄製です。内側がホーロー加工されていない鉄瓶はお湯を沸かすことで内部の鉄が溶けだし、鉄分補給できる点が魅力。岩手県を代表する特産品として南部鉄瓶が有名です。

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