スマホやパソコンのブラウザに色々あるよな。特にパソコンではChromeを使うことも多いかもしれない。それと似た名前のChromiumというものがあるらしいのです。どちらもグーグルが関わっているようですが、なぜ同じ会社が2つもブラウザを扱っているのでしょう。ウェブの経験が長くブラウザにも詳しいプログラマでもあるライターのwoinaryと一緒に解説していきます。

ライター/woinary

某社で社内向け業務システムの開発、運用を30年近くやっていたシステム屋さん。現在はフリーランス。ウェブの経験も長くブラウザの仕組みや歴史にも詳しい。ガジェットやゲーム、ラノベが大好きなおっさんです。

ChromeはChromium?ちょっとややこしい両者の関係

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パソコンやスマホで欠かせないのがウェブブラウザです。そのブラウザで日本ではおよそ半数、世界でもおよそ3分の2を占めるのがChrome(クロム)ブラウザ。日本でも世界でも一番利用者が多いブラウザです。

そのChromeと名前が似ているChromium(クロミウム)というブラウザがあります。また、マイクロソフトのEdgeもchromiumが元になっていると聞いたことがあるかも。実はChormiumもChromeもどちらもグーグルが関わっています。この2つがどう関係し、何が違うのかを説明します。

Chromium:オープンソースのブラウザ

Chromiumはグーグルが主導しているオープンソースのブラウザです。オープンソースとはある会社の中だけで開発するのではなく、世界中の人が協力してつくるもの。全体はグーグルが管理していますが、不具合の修正や新機能の追加はルールを守れば誰でも可能プログラムが誰にでも公開されているので、自由に使うことができます

Chromiumとは金属のクロムのこと。日本語で金属のクロムは英語では「chromium」になります。少しややこしいですね。オープンソースは他の会社などが自由に使うことができます。そのため、マイクロソフトがChromiumを元にしてつくったのがEdgeです。他にも有名なものからあまり知られていないものまで、20個以上のブラウザがChromiumを元につくられています

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Chrome:Chromiumをもとにしたグーグル製品

オープンソースのChromiumから20個以上のブラウザがつくられていると説明しましたが、そのうちの1つがグーグルのChromeです。Chromiumもグーグルがつくっているのに、さらにChromeをつくるのは不思議ですよね。この理由は後で説明します。

Chromeは英語で、クロムメッキやクロム合金のこと。金属はクロムメッキすることで光沢がでたり、硬く耐久性がよくなります。ウェブブラウザというものをグーグルがメッキしたものがChromeブラウザということです。そのメッキに必要なのがChromiumブラウザになります。Chrome=Choromium+グーグル独自部分というわけです。同様にEdge=Chrimium+マイクロソフト独自部分になります。

どこが違う?ChromeとChromiumの相違点

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ChromeはChromiumを元につくっています。しかし、グーグル独自の部分があるため、まったく同じではありません。これは、兄弟関係にあるChromeとEdge、Chromeと他のChromiumベースのブラウザの見た目や機能が違うのと同じです。

なぜ違うかというと、Chromiumはブラウザとしては最低限の機能しかないため。それ以外の便利な機能は各社が自由に付け加えることができます。グーグルが便利と思うものを付け足したのがChromeです。その違いの中から主なものを3つ説明します。

セキュリティ万全!自動アップデート機能

ブラウザは今やパソコンやスマホに欠かせないものになっています。ブラウザを使わない日はないと言っても過言ではありません。そのブラウザに重大な問題点があり、悪用されたら困りますよね。そのためのアップデートは欠かせないもの。しかし、アップデートがあっても忘れていたら意味がないですよね。

そんな時のために、Chromeは自動的にアップデートがあるかチェックしています。最新版が見つかると自動的にアップデート可能です。アップデートし忘れることがなくなるので安全ですよね。Chromiumは自分でアップデートする必要があります。

もっと便利になる?問題報告機能

Chromeは十分注意して問題が出ないようにつくっています。それでも問題が発生、Chromeが異常終了することも。そのような時に、グーグルに異常が起きた時の情報を送信するのが問題報告機能です。また、Chromeのどの機能をよく使っているといった情報もグーグルに送られます。そのような異常時の情報や統計情報を使ってグーグルはChromeを改良するわけです。

ただ、個人情報は含まないとは言え、グーグルに情報を送ることをよく思わない人もいます。問題報告機能はオフにできます。しかし、Chromiumには元々問題報告機能はありません。そのため、Chromeではない他のChromiumベースのブラウザを使うこともあります。そのようなものの中には、グーグルに情報を送らないことが売りにしているものもあるのです。

すぐに使えない?Chromiumはソースコードのみ

Chromeはグーグルのウェブサイトからダウンロードしてくればすぐに使えます。独自機能とは少し違いますが、これもChromeとChromiumの違い。オープンソースのブラウザであるChromiumは、公式にはプログラムの元になっているソースコードというものだけパソコンやスマホで動かすものは自分でつくる必要があります。プログラマならばソースコードから動くものをつくることもできますが、そうでない人には大変です。

ただ、それでは不便なので、世の中には動くChromiumが用意されているところがいくつかあります。ただ、中には怪しいものもあるかも。必ずそれを公開しているものが信頼できるところなのか確認してください。少なくとも、グーグルがすぐに使えるように用意しているのはChromeだけです。

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なぜ分けている?ChromiumとChromeがある理由

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最後になぜグーグルはChromeとChromiumをわざわざ別々にしているのかを説明します。ただし、グーグル自体は公に理由を説明したことはありません。そのため、これから説明することも一般的にこういう理由からそうしているのではないかと言われているものです。公式見解ではないことに注意してください。

理由1.世界中の開発者の力を借り、社会貢献ができる

一番大きいのはオープンソースが優れた開発方法であるためです。グーグルは自社で多くの優秀な技術者を抱えています。ただ、世界の開発者の数はそれよりも多くグーグル社内だけでは得られない知見を得ることもあります。

また大企業は社会貢献が求められていますオープンソースに協力することも社会貢献です。マイクロソフトはかつては自社製品を秘密にしてきましたが、今ではオープンソースに協力しています。グーグルも同様に多くのオープンソースで社会貢献しているのです。

理由2.ブラウザではなく広告で儲けたい

グーグルはChromeブラウザの他にも、グーグル検索やスマホのアンドロイドOSなど多くのものをつくっています。しかし、元々はウェブ広告の会社多くの人がウェブを使い、そこで広告を見ることで、広告主から広告料をもらいます

そのため、ウェブを快適に使うための環境を整えることはグーグルが儲けるために必要なことなのです。そのため、ブラウザを売って利用料で儲けようとは思っていません。便利なブラウザを使ってもらうことで、ウェブ広告を見てもらいたいわけです。

理由3.ブラウザでの表示方法が統一されていればよい

今でこそブラウザメーカーは協力してウェブを便利なものにしています。ただ、かつてブラウザ戦争と呼ばれるものが2回ありました。最初は1990年代、そして2回目は2010年前後の10年ほど。どちらもブラウザメーカーがシェア獲得のために激しく競い合いました。この時、お互いに自社製品が便利だと主張するために、それぞれが独自に機能追加したのです。そのため、ウェブ開発者や利用者は大混乱

その反省から、今は話し合いで協力して進めています。ただ、またいつ第3次ブラウザ戦争が起きるかわかりません。その時、仲間が多い方がよいですよね。Chromiumというものを協力して開発し、それを元にしたブラウザが広がればグーグルだけで戦わずに済みます。これはアンドロイドOSの考え方と同じですね。仲間を増やしてライバルに対抗しているのです。

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Chromiumはミールキット、グーグルが調理した見本がChrome

グーグルが主導してオープンソースで世界中の人が協力してつくっているのがChromiumです。それにグーグルが独自部分を追加して提供しているのがChromeブラウザ。世界で一番使われているブラウザです。

このChromiumはミールキットみたいなもの。ミールキットはあらかじめ材料や調味料がセットされて、作り方もついてきます。食材もあらかじめ必要なサイズにカットしてあることが多く、下ごしらえが済んでいるものも。あとは作り方に沿ってつくるだけです。Chromiumを元に各社が実際に作った料理がグーグルのChromeやマイクロソフトのEdgeなど。同じ材料で同じようにつくっていますが、独自アレンジがあるのでちょっと違ったものができるのです。

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IT・プログラミング雑学

簡単でわかりやすい!ChoromiumとChromeの違いとは?違いから戦略までプログラマーがわかりやすく解説

スマホやパソコンのブラウザに色々あるよな。特にパソコンではChromeを使うことも多いかもしれない。それと似た名前のChromiumというものがあるらしいのです。どちらもグーグルが関わっているようですが、なぜ同じ会社が2つもブラウザを扱っているのでしょう。ウェブの経験が長くブラウザにも詳しいプログラマでもあるライターのwoinaryと一緒に解説していきます。

ライター/woinary

某社で社内向け業務システムの開発、運用を30年近くやっていたシステム屋さん。現在はフリーランス。ウェブの経験も長くブラウザの仕組みや歴史にも詳しい。ガジェットやゲーム、ラノベが大好きなおっさんです。

ChromeはChromium?ちょっとややこしい両者の関係

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パソコンやスマホで欠かせないのがウェブブラウザです。そのブラウザで日本ではおよそ半数、世界でもおよそ3分の2を占めるのがChrome(クロム)ブラウザ。日本でも世界でも一番利用者が多いブラウザです。

そのChromeと名前が似ているChromium(クロミウム)というブラウザがあります。また、マイクロソフトのEdgeもchromiumが元になっていると聞いたことがあるかも。実はChormiumもChromeもどちらもグーグルが関わっています。この2つがどう関係し、何が違うのかを説明します。

Chromium:オープンソースのブラウザ

Chromiumはグーグルが主導しているオープンソースのブラウザです。オープンソースとはある会社の中だけで開発するのではなく、世界中の人が協力してつくるもの。全体はグーグルが管理していますが、不具合の修正や新機能の追加はルールを守れば誰でも可能プログラムが誰にでも公開されているので、自由に使うことができます

Chromiumとは金属のクロムのこと。日本語で金属のクロムは英語では「chromium」になります。少しややこしいですね。オープンソースは他の会社などが自由に使うことができます。そのため、マイクロソフトがChromiumを元にしてつくったのがEdgeです。他にも有名なものからあまり知られていないものまで、20個以上のブラウザがChromiumを元につくられています

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