みんなは「拉致」と「誘拐」の違いが分かるか?どちらも「人をさらう」という意味では共通していますね。たですぜ2つの言葉が存在しているんでしょうなぁ。

この記事では、そんな「拉致」と「誘拐」の違いについて見ていく。実は使い分けがあるんです。

今回はその「拉致」と「誘拐」の違いについて、院卒日本語教師の"むかいひろき"と一緒に解説していきます。

ライター/むかいひろき

ロシアの大学に再就職した、日本で大学院修士課程修了の日本語教師。その経験を武器に「言葉」について分かりやすく解説していく。

どちらも「人を連れ去る」という点では共通

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「拉致(らち)」と「誘拐(ゆうかい)」という言葉、ニュースなどで一度は聞いたことがあるでしょう。どちらも「人を連れ去る」「人をさらう」という意味では共通しています。では、この2つの言葉のどこが違うのか、まずは辞書の意味から確認していきましょう。

「拉致」:無理矢理連れ去る

最初に「拉致」の意味を見ていきましょう。「拉致」については国語辞典に次のような意味が掲載されています。

むりに連れていくこと。らっち。
「証人が何者かにーされる」

出典:明鏡国語辞典 第二版(大修館書店)「ら‐ち【拉致】」

国語辞典を参照すると、「拉致」は「人を無理矢理連れ去る」という意味の言葉です。つまり、嫌がっている人や抵抗している人に対し、暴力などを行使して無理矢理にさらうというニュアンスが出てきます。卑劣な犯罪行為であることは間違いありません。

「誘拐」:だまして連れ去る

続いて、もう一方の「誘拐(ゆうかい)」の意味を確認していきましょう。「誘拐」については国語辞典に次のような意味が掲載されています。

\次のページで「「拉致」と「誘拐」はどちらも犯罪だけど…」を解説!/

人をだまして連れ去ること。
「子供をーする」「ー事件」

出典:明鏡国語辞典 第二版(大修館書店)「ゆう‐かい【誘拐】」

一方の「誘拐」は、辞書によると「人をだまして連れ去る」という意味の言葉です。たとえば、子どもに対して「おじさんの家に来たらほしいゲームをあげるよ」「お金をあげるよ」などと噓を言い、言葉巧みにだまして連れ去ることを「誘拐」と言います。こちらも卑劣な犯罪であることは間違いありません。

辞書に掲載されている”言葉の意味”という視点からは、「無理矢理連れ去る」のが「拉致」、「だまして連れ去る」のが「誘拐」という違いがあります。つまり連れ去り方で言葉の意味を区別しているわけですね。ただ、実際の言葉の使われ方は本来の意味とずれている部分があるのです。次の章で確認しましょう。

「拉致」と「誘拐」はどちらも犯罪だけど…

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「拉致」も「誘拐」も、どちらも「人を連れ去る」犯罪であることは間違いありません。ただ、実際の「拉致」と「誘拐」の使用場面を見ていると、意味以外にも使い分けがあるように感じられます。実際にはどのように「拉致」と「誘拐」が使い分けられているのか、ここで確認してみましょう。

大人が被害者の場合が多いのが「拉致」

基本的に大人が他者から連れ去られた事件の場合は「拉致」が使用されることが多いです。たとえば、加害者から「お金を返すから車に乗ってくれ」と言われて、被害者(大人)が自ら進んで車に乗って連れ去られてしまった場合でも「拉致」が使われることが多いでしょう。

つまり被害者が大人の場合は、言葉の意味から判断すると「誘拐」であっても、実際には「拉致」が使用されることが多い…ということですね。

子どもが被害者の場合が多いのが「誘拐」

基本的に子供が他者から連れ去られた事件の場合は「誘拐」が使用されることが多いです。たとえば、加害者が子どもを連れ去る際に、子どもが泣き叫んで暴れて抵抗をしたとしても、「誘拐」が使用されることが多いでしょう。つまり被害者が子どもの場合は、言葉の意味から判断すると「拉致」であっても、実際には「誘拐」が使用されることが多い…ということですね。

\次のページで「もし「拉致」や「誘拐」が疑われる場合は…」を解説!/

もし「拉致」や「誘拐」が疑われる場合は…

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人が無理矢理連れ去られたり、子どもがお父さんやお母さん以外の大人から声をかけられたりしている場面を目にすることは、そんなに多くはないかもしれません。しかし、もし目撃した場合は、その後の貴方の行動が被害者の運命を左右しかねません。

悩まずに警察や近くの係員へ!

もし車などに人が無理やり押し込まれるところを道で目撃したら、迷わずに警察に通報しましょう。その際、車の特徴や人の特徴、できれば車のナンバーも一緒に報告できれば尚いいです。

また、スーパーやデパートなどで子どもが不審に見える大人に話しかけられている場面を目撃した場合は、近くの店員・係員にまずは相談するのが良いでしょう。ただ、子どもが必死に抵抗しているなど、ほぼ100%「誘拐」が疑われるような場合は、すぐに警察に通報しましょう。

「拉致」と「誘拐」の違いは…”連れ去り方”と”被害者の年齢”!

今回は「拉致」と「誘拐」の違いについて解説しました。言葉の意味の上では「拉致」は「無理矢理連れ去る」、「誘拐」は「だまして連れ去る」という”連れ去り方”が焦点となる違いがあります。一方、実際にどのように使い分けられているかを見てみると、大人が被害者の場合は「拉致」、子どもが被害者の場合は「誘拐」という使い分けが見えてきますね。

ただ、「拉致」も「誘拐」も卑劣な犯罪です。見かけた場合は迷わず警察に通報しましょう。

" /> 簡単に分かる「拉致」と「誘拐」の違いとは?意味や使い分けも院卒日本語教師が分かりやすく解説 – Study-Z
雑学

簡単に分かる「拉致」と「誘拐」の違いとは?意味や使い分けも院卒日本語教師が分かりやすく解説

みんなは「拉致」と「誘拐」の違いが分かるか?どちらも「人をさらう」という意味では共通していますね。たですぜ2つの言葉が存在しているんでしょうなぁ。

この記事では、そんな「拉致」と「誘拐」の違いについて見ていく。実は使い分けがあるんです。

今回はその「拉致」と「誘拐」の違いについて、院卒日本語教師の”むかいひろき”と一緒に解説していきます。

ライター/むかいひろき

ロシアの大学に再就職した、日本で大学院修士課程修了の日本語教師。その経験を武器に「言葉」について分かりやすく解説していく。

どちらも「人を連れ去る」という点では共通

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「拉致(らち)」と「誘拐(ゆうかい)」という言葉、ニュースなどで一度は聞いたことがあるでしょう。どちらも「人を連れ去る」「人をさらう」という意味では共通しています。では、この2つの言葉のどこが違うのか、まずは辞書の意味から確認していきましょう。

「拉致」:無理矢理連れ去る

最初に「拉致」の意味を見ていきましょう。「拉致」については国語辞典に次のような意味が掲載されています。

むりに連れていくこと。らっち。
「証人が何者かにーされる」

出典:明鏡国語辞典 第二版(大修館書店)「ら‐ち【拉致】」

国語辞典を参照すると、「拉致」は「人を無理矢理連れ去る」という意味の言葉です。つまり、嫌がっている人や抵抗している人に対し、暴力などを行使して無理矢理にさらうというニュアンスが出てきます。卑劣な犯罪行為であることは間違いありません。

「誘拐」:だまして連れ去る

続いて、もう一方の「誘拐(ゆうかい)」の意味を確認していきましょう。「誘拐」については国語辞典に次のような意味が掲載されています。

\次のページで「「拉致」と「誘拐」はどちらも犯罪だけど…」を解説!/

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