
3分で簡単にわかる臨済宗と曹洞宗の違い!教えや広がり方、おすすめの寺院も寺社仏閣好きライターがくわしく解説


解説/桜木建二
「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

ライター/ザツガクマナブ
寺社仏閣と城巡りを愛する日本史にくわしい元塾講師WEBライター。好きな寺院は浅草寺。得意ジャンルは日本史・世界史・地理。
簡単な仏教の流れ
不明 – http://en.wikipedia.org/wiki/Image:DogenP2.JPG, パブリック・ドメイン, リンクによる
仏教の教えはリレーのように人から人へと受け継がれていき、そこから枝分かれするように新しい宗派が生まれていきました。まずは臨済宗と曹洞宗がいつ頃に始まったのかを、簡単な日本仏教の流れとともに見ていきます。歴史のおおまかな流れをつかむと宗派の違いが理解しやすくなるでしょう。
飛鳥時代に日本仏教が形づくられる
仏教は最初にインドで始まり、それが中国に伝わり、さらに朝鮮を経て西暦538年に日本へと伝えられました。そして飛鳥時代(590~710年)に日本の仏教が形づくられていきます。仏教を中心とした国づくりを行ったのが聖徳太子です。
さらに平安時代(796~1184年)になると、最澄と空海という人物が唐で学んだ仏教をそれぞれ日本で広めていきます。最澄は天台宗を開き、空海は真言宗を開きました。
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インドで仏教を生み出したのがお釈迦様(ブッダ)で中国に仏教を伝えたのが達磨大師だ。みんながよく知っている、赤くて丸い置き物のだるまはこの達磨大師を表しているぞ。日本に仏教が伝わったのは538年。百済の聖明王という人物の使者が日本に仏像と経典を送ったんだ。
鎌倉時代に新しい仏教が生まれる
鎌倉時代(1185~1333年)になると、新しい宗派が生まれていきます。天台宗の総本山である比叡山で修業をした僧侶たちが、そこから離れて独自の教えを広めていきました。新しく生まれた宗派が、浄土宗・浄土真宗・時宗・日蓮宗・臨済宗・曹洞宗です。これらの宗派を鎌倉新仏教と呼びます。つまり臨済宗と曹洞宗は、鎌倉時代に生まれた新しい宗派のひとつなのです。
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観光地で有名な鎌倉にはこの鎌倉時代に生まれた宗派のお寺がたくさんあるぞ。鎌倉大仏でおなじみの長谷寺は真言宗の寺院だ。臨済宗の円覚寺も素晴らしいお寺だ。ぜひ一度訪れてみてほしい。
臨済宗と曹洞宗の教えの違い
曾我蛇足 Soga Jasoku (fl. c. 1300) – http://www.dabase.org/linchi.htm, パブリック・ドメイン, リンクによる
臨済宗と曹洞宗はどちらも禅宗という、座禅することに最も重きを置いている宗派のひとつです。臨済宗と曹洞宗では、その座禅のあり方に違いがあります。ここではその座禅のとらえ方の違いを見ていきましょう。
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座禅によって悟りを開くのが禅宗で、臨済宗と曹洞宗が禅宗だ。それに対して浄土宗・浄土真宗・時宗は南無阿弥陀仏と念仏を唱える。南無妙法蓮華経と法華経を唱えるのが日蓮宗だ。
臨済宗の座禅は手段である
臨済宗では座禅を悟りに達するための手段と考えています。悟りに達するという目的があり、その目的を達成するための手段が座禅です。また、臨済宗では座禅をしながら「公案」という禅問答について思いを巡らせなければなりません。この座禅のあり方を「公案禅」と言います。

公案とは簡単にいえば昔の人が考えた禅に関するなぞなぞみたいなものだ。また座禅の特徴として臨済宗は人と向き合って座るのに対し、曹洞宗は壁に向かって座るのが一般的だ。
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