この記事では「包装」と「梱包」の違いについてみていきます。どちらも何か物を包むことを意味する言葉ですが、だからこそ違いに迷う人や、「梱」の字にいたっては普段なかなか目にしない字なので読み方すらわからない人もいて当然でしょう。今回はこれらの言葉について、国語の講師でもある空野キノコと一緒に解説していきます。

ライター/空野きのこ

大学在学中から文学・国文法や教育について本格的に学び、現在は小中学生に勉強を教えている講師。その知識と経験を活かし、言葉の雑学を中心に分かりやすく解説していく。

ざっくりした包装と梱包の違い

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「包装(ほうそう)」「梱包(こんぽう)」は、「包」の字が使われているようにどちらも何か物を包むことを意味する言葉です。しかし、この両者には違いがあります。ざっくり言うと、それは「包装」「見栄えをよくすること」を目的に行われるものだということに対し、「梱包」が、輸送や配達されたりするときに「物が壊れないようにすること」を目的にする行為であることです。今回はそれをていねいに説明していきましょう。

「装」は身なりをととのえること

「包装」の「装」の字は、「服装」や「装飾」などでも使われるように、「身なりをととのえる」ことや「着飾る」ことを意味します。ですので、「包装」という言葉は、一般的には、贈る相手に対して見栄えよく見せるために包むことを意味するのです。

「梱」は動かないように固定すること

一方、「梱包」の「梱」の字は木へんに「困」という字で構成されていますね。「困」の字が「こまる」意味だということはご存じかと思いますが、この字はもともと「木が、四方を囲まれて動くことができない」さまを表しており、「動くことができない」ことから「身動きがとれない」となり、「身動きがとれない」ので、「こまる」を意味するようになりました。ですので、木へんと「困」からなる「梱」の字は物が動かないように「しばる」ことや「たばねる」といった意味を持つのです。

このような意味を持つ「梱」と、「包」から成り立っているので、同じ包む行為でも「包装」とは違い、「梱包」という言葉は、物が動かないように固定する、つまり輸送や配送のときに物が傷ついたり、壊れることを防いで保護することに対して使います。

何で包むかにも違いがある!

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包装と梱包には、「見栄えをよくする」か「壊れたり傷ついたりするのを防ぐ」かという目的に違いがあることは説明しました。しかし、目的が違えば手段や方法も変わるもの。包装と梱包ではそれぞれ「何で包むか」についても違いがあります。それをここから説明していきましょう。

\次のページで「包装に使われるのは包装紙や袋など」を解説!/

包装に使われるのは包装紙や袋など

「包装」は、贈る相手に対して見栄えよく見せるために包むことでしたね。ですから、カラフルだったり目をひく柄などで装飾されている、包装に使われるための紙を包装紙と言います。

また、包装紙ではなく、簡易包装として中に入れるだけの見た目のよい袋などが使われることもありますね。これらは、目的が商品の保護ではなく、あくまで装飾なので、紙や袋など耐久性や中身を守るといった面ではあまり期待できないものが使われているのです。

梱包に使われるのはプチプチや段ボールなど

「梱包」は物を運ぶときに中身が壊れたり、傷つくことを防ぐのが目的なので、段ボールのような頑丈な箱や、プチプチやエアーキャップなどと呼ばれる緩衝材(かんしょうざい)などが使われます。ちなみに「緩衝材」とは衝撃を緩める(ゆるめる)ための素材のことです。

包装と梱包は英語ではなんと言う?

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次は、それぞれを英語で言うときにはどのような表現が使われているかを説明しましょう。

包装を英語で言うとwrapping

英語で「包装」を検索するといくつかの言葉がヒットするかと思いますが、私たちが他人にプレゼントする際に使うような「包装」という意味では、「ギフトラッピング」や「クリスマスラッピング」など、カタカナ語としても使われている「wrapping」を使います。

梱包を英語で言うとpacking

一方、「梱包」を英語で表現するときには、運ぶために箱や袋に入れることを意味する「packing」が用いられたりします。「包装」の英訳としても「packing」が使われることもありますが、その場合、プレゼントのための綺麗な包装ではありません。運送や配達など用の簡素な茶色い紙に包まれている場合に使われます。

\次のページで「包装と梱包の違いは外見と中身のどちらを重視するか」を解説!/

包装と梱包の違いは外見と中身のどちらを重視するか

「包装」が「見栄えをよくすること」を目的に包むことだということに対し、「梱包」は、輸送や配達されたりするときに物が壊れないように保護することを理解していただけたかと思います。つまり、私たちが普段使う意味での「包装」と「梱包」の違いは外見と中身のどちらに重きを置いているかの違いと言えるでしょう。

英語の勉強には洋楽の和訳サイトもおすすめです。
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雑学

簡単でわかりやすい!包装と梱包の違いとは?漢字の読み方や意味、英語まで現役塾講師がわかりやすく解説

包装に使われるのは包装紙や袋など

「包装」は、贈る相手に対して見栄えよく見せるために包むことでしたね。ですから、カラフルだったり目をひく柄などで装飾されている、包装に使われるための紙を包装紙と言います。

また、包装紙ではなく、簡易包装として中に入れるだけの見た目のよい袋などが使われることもありますね。これらは、目的が商品の保護ではなく、あくまで装飾なので、紙や袋など耐久性や中身を守るといった面ではあまり期待できないものが使われているのです。

梱包に使われるのはプチプチや段ボールなど

「梱包」は物を運ぶときに中身が壊れたり、傷つくことを防ぐのが目的なので、段ボールのような頑丈な箱や、プチプチやエアーキャップなどと呼ばれる緩衝材(かんしょうざい)などが使われます。ちなみに「緩衝材」とは衝撃を緩める(ゆるめる)ための素材のことです。

包装と梱包は英語ではなんと言う?

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次は、それぞれを英語で言うときにはどのような表現が使われているかを説明しましょう。

包装を英語で言うとwrapping

英語で「包装」を検索するといくつかの言葉がヒットするかと思いますが、私たちが他人にプレゼントする際に使うような「包装」という意味では、「ギフトラッピング」や「クリスマスラッピング」など、カタカナ語としても使われている「wrapping」を使います。

梱包を英語で言うとpacking

一方、「梱包」を英語で表現するときには、運ぶために箱や袋に入れることを意味する「packing」が用いられたりします。「包装」の英訳としても「packing」が使われることもありますが、その場合、プレゼントのための綺麗な包装ではありません。運送や配達など用の簡素な茶色い紙に包まれている場合に使われます。

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