雑学

簡単でわかりやすい!実状と実情の違いとは?漢字の意味から実態や現状などとの違いまで現役塾講師がわかりやすく解説

よぉ、桜木建二だ。この記事では「実状」と「実情」の違いについてみていくぞ。どちらも「じつじょう」と読み、意味も非常に似通っているがゆえに、これらの言葉は使い分けに迷う人もいて当然だろう。今回はその違いについて、国語の講師でもある空野キノコと一緒に解説していくぞ。

解説/桜木建二

「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

ライター/空野きのこ

大学在学中から文学・国文法や教育について本格的に学び、現在は小中学生に勉強を教えている講師。その知識と経験を活かし、言葉の雑学を中心に分かりやすく解説していく。

実状も実情も大まかな意味は同じ!

image by iStockphoto

まずは実状と実情のおおまかな意味を確認するためコトバンクを参照すると、両者は

【実情・実状】
1 物事の実際の事情・情況。
2 (実情)偽りのない心情。真情。まごころ。

(出典:コトバンク)

とまとめて説明されています。このように、「実状」も「実情」も、物事において実際の状況や様子をあらわしその意味で使うぶんには、どちらを使っても間違いとは言い切れませんしかし、この二つの言葉には微妙なニュアンスの違いがあります。それでは、そのことについて詳しく説明していきましょう。

「状」はものごとの外面をあらわす

image by iStockphoto

まず、「実状」について説明しましょう。「実状」の「実」は「真実」や「実際」などに使われるように、「嘘偽りのない、本当の様子」のことを指し示します。

「状」の字は、右側に「犬」の字が使われているように、もともとは犬の姿や形をあらわすものでしたが、それがやがて犬だけではなく物の姿や形を意味するようになりました。ですから「状」という字はもともと物の姿や形、つまり外面的なことをあらわす言葉です。

つまり、これらの字から構成される「実状」という単語は、物事における「実際(=実)」の「外面(=状)」を意味します。ですから「実状」は「実状」よりも「一見したところで誰でもわかる客観的な状態や様子」といったニュアンスを含んでいるのです。

「情」は内面をあらわす

つぎは、「実情」について説明していきましょう。「実情」の「実」という字は「実状」の場合と同じように「嘘偽りのない、本当の様子」のことです。

次に「情」という字は「心情」や「愛情」といった単語に使われるように、心や気持ち、つまり内面的なものを表します。ですので、これらの字から構成される「実情」という単語は、物事における「実際(=実)」の「内面(=情)」を意味するのです。

また、人の心情や心の内というのは外からは見ることができず、その本人しかわからないものですよね。ですから「実情」とは「一見したところではわからない本当の状態や様子」だったり、「主観的な実際の状態や様子」といったニュアンスも含まれている言葉です。

本当の気持ちを意味するのは「実情」だけ!

「状」という字がものごとの外面、「情」が内面である人の心や気持ちをあらわすことは説明しましたね。ですからコトバンクに書かれていたように、「じつじょう」という言葉を「偽りのない心情。真情。まごころ。」といった意味で使う場合には「実情」の方を使います。

no-img2″>
 <figcaption class=桜木建二

ほぼ同じような意味の単語で使われていて、「ジョウ」という音読みも同じ「状」と「情」だが、その意味には正反対と言えるほど大きな違いがあるんだ。

その他の似ている言葉との違いは?

ここからは「実情」や「実情」と意味が近く、使い方に迷いがちな「実態」や「現状」といった言葉について説明したいと思います。これらの言葉に違いがあるのか、また使い分けの仕方などについてくわしく見ていきましょう。

「実態」との違い

まずは「実態」という言葉について見ていきましょう。「実」の字は「実状」などと同じく「嘘偽りのない、本当の様子」のことを指し示します。

「態」の字は、能力の「能」の下に「心」が書かれていますが、能力があって、何かを成す心もそなわっている様子、つまり心がまえができている様子をあらわしているので、「物の姿や形、様子」「こころがまえ」などの意味があるのです。

よって、「実態」は単なる外面的な様子ではなく、人の内面を表す「心」のように、「一見したところではわからないものの本当の状態や様子」を意味します。「実情」についても「一見したところではわからない、本当の状態や様子」という意味だと説明しましたが、「実態」と「実情」は非常に意味が近く、ほぼ同じと考えて問題ないでしょう。

「現状」との違い

image by iStockphoto

つぎに「現状」についてみてみましょう。現状の「現」という字は「現在」という単語で使うように、「今の」といった時間的なニュアンスを含んでいます。ですから、「現状」という言葉も「ものごとの今現在の状態や様子」という意味であり、「実情」「実状」などと比べると「今現在の」といった時間的ニュアンスが加わっているのです。

\次のページで「実状は客観的で外面的、実情は主観的で内面的」を解説!/

次のページを読む
1 2
Share: