
3分で簡単にわかるゼロと零の違い!同じ0でもなぜ読み方が違う?工学系院卒ライターが分かりやすく解説


解説/桜木建二
「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。
ライター/through-time
工学修士で、言葉や文学も大好きな雑食系雑学好きWebライター。理系の知識を交えつつ、零とゼロの違いについて解説していく。
ゼロと零の違い

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どちらも同じ0の意味がある、ゼロと零。前者が英語、後者が日本語(漢字)ということ以外、違いはないように思われますが、報道などではきちんとした使い分けがされています。
ゼロ:全くない、存在しない
ゼロ(zero)は数字の「0」そのものを意味し、「死亡事故ゼロ」「ゼロ成長」など、まったくない、存在しないという意味を強調したいとき、もしくは固有の読みが決まっているときに使われます。「ゼロからのスタート」と、始まりの意味で用いられることも。
零:全くないか、わずかにある

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零(れい)は0の意味のほかに、「あまり」や「わずか」などの意味を持つ言葉です。たとえば「零細」は数量や規模のきわめて小さいさまを指し、「零細企業」などと使います。また、テレビやラジオの天気予報において、降水確率0%を「れいパーセント」と読みますが、これは雨が降る確率がゼロではないからです。
降水確率が5%未満のこと。降水確率は1mm以上の降水を対象にしているので、1mm未満の降水予想である場合は「降水確率0%」でもよい。ただし、実用上の見地からは雨または雪の降りにくい状態に用いることが好ましい。
出典:気象庁HP 予報の名称に関する用語「降水確率0%」
「0時」を「零時」、「摂氏0度」を「摂氏零度」などとするのは、これらの0はあくまで基準や境目としての0であり、存在しないわけではないからと言われています。しかし、後ろにつく日本語の「時」や「度」に合わせているという説もあり、理由はさだかではありません。また、零には「しずくが落ちる」「落ちぶれる」という意味もあります。
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漢数字の「〇」は漢字ではなく記号として扱われます。熟語では使用しません。
「ゼロ」「れい」どちらで読む?
数字の「いち、に、さん…」の読み方は、当時の中国語の発音で「一、二、三…」と読んだのを日本語に取り入れたものです。これを漢語といい、零(れい)もこの漢語に当たります。対してゼロ(zero)は英語で、漢語に英語を混ぜるのは好ましくないという理由から、テレビやラジオの放送で電話番号などの数字を読み上げるときは「ゼロ」ではなく「れい」を使うようにしているのです。
ただし、聞き取りやすさは「れい」より「ゼロ」の方が上のため、より正確に伝えるために「ゼロ」を用いて言い直すことがあります。
また、算数や数学などで数値を読む場合も「れい」を使い、「0.01」は「れいてんれいいち」です。

結局のところ、意味のほかにも語感や言いやすさで読み方が決まることがあり、明確なルールがないのが実情だ。
現在当たり前のように使われている0だが、古代において0は数として扱われなかったり、概念自体を否定されたりしていた。次からは、無の存在を表す0がどのように生まれ、数として認識されていったか、そのルーツをたどっていこう。
0の起源
そもそも「数」はものの個数を数えるために生まれたと考えられています。そのため、昔の人は「ないものは数えられない」と、0を数とみなしていませんでした。それでは、どのような経緯で0が数と定義されたのでしょうか。
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