この記事ではDVD-RとDVD-RWの違いについて掘り下げていきます。どちらも書き込みができる記録型DVDですが、書き込める回数以外にも、使われる材料や記録の仕方が異なるようです。今回はこの2つのDVDの違いのほか、DVDの特徴などについても、大学で記録媒体の研究をしていたライターthrough-timeと一緒に解説していきます。

ライター/through-time

工学修士で、言葉や文学も大好きな雑食系雑学好きWebライター。学生時代に学んだ記録媒体の知識を生かし、DVD-RとDVD-RWの違いについて説明していく。

DVDとは

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記録型ブルーレイが一般的になった今でも、比較的安価で手に入り、手軽に使える記録型DVD。テレビ番組の録画やパソコンのデータのバックアップなど、まだまだ欠かせない存在です。代表的な記録型DVDにDVD-RDVD-RWがありますが、その違いに着目する前に、まずはDVDがどういうものなのかを解説しましょう。

光ディスクとは

ディスクメディアまたはディスクと呼ばれる円盤状記録媒体の中でも、レーザー光を照射してデジタル信号を読み書きするもの光ディスクです。デジタル信号に対応する微細な加工を施した記録層レーザー光を反射する反射層、保護層などの複数の層を、ポリカーボネイトなどの樹脂ディスクの表面に形成したもので、樹脂側からレーザー光を照射します。

樹脂ディスク自体が記録面を保護する役割を果たすため、ハードディスクなどほかのディスクと比べて汚れや衝撃に強く、持ち運びがしやすいのがメリットです。

光ディスクは時期や特性により第1から第3まで世代分けができます。代表的な第1世代光ディスクがCD(Compact Disc)、第2世代DVD第3世代ブルーレイ(Blu-ray Disc,BD)です。

DVDの特徴

DVDは映像コンテンツやソフトウェアの販売・頒布のほか、コンピュータのデータ記憶用としても用いられます。その容量は一番少ないものでも4.7GBで、CDの約7倍です。

CDやDVDの記録面には、ピットと呼ばれるデジタル信号に対応する小さなくぼみが刻まれていますが、DVDのピットはCDよりもサイズが小さく、高密度になっています。照射するレーザー光も波長が短くなっており、CD近赤外線レーザー波長780nm)であるのに対し、DVD赤色レーザー波長650nm)です。

DVDの構造

DVDはCDと同じ、直径12cm厚さ1.2mmのディスクですが、CDディスク1枚であるのに対し、DVDは厚さ0.6mmのディスク2枚を貼り合わせています。2枚貼りにしたのは、ディスクを薄くすることでレーザー光の読み取り精度を上げるためでしたが、結果的に熱や湿気による反りにも強くなりました。2枚のうち、1枚が記録層を持つディスク、もう1枚がダミーディスクです。

片面1層は記録層を1つ持っており、一方のディスク表面にピットを作った後、光を反射しやすい金属膜を形成し、その上にダミーディスクを貼り合わせています。

片面2層は記録層が2つです。1層と同様ディスク表面にピットを作った後、光を一部通す半透明の金属膜をつけ、その上にスペーサ層→ピット→光を反射しやすい金属膜を形成していきます。ダミーディスクを貼る工程は同じです。

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半透明の記録層はレーザー光の読み取り精度が落ちます。2層のデータ容量(8.5GB)が1層(4.7GB)の2倍にならないのはこのためです。

DVDの名称

DVDは映像作品用に開発されたため、登場当初は「Digital Video Disc」の略とされていました。しかしその後、コンピュータのデータ記憶など用途が広がったことから、DVDの規格制定や普及促進を目的とする業界団体DVDフォーラムは「多目的、多用途」の意味を持つ単語versatileを用い、「Digital Versatile Disc」としたのです。

DVD-RとDVD-RWの違い

DVDは読み取り専用型記録型に分けられます。読み取り専用型はいわゆるDVD-ROMで、ROMRead Only Memoryの略です。工場で専用の機械を用いてピットを形成するため、データの書き込みや削除は一切できません。

記録型も1回しか書き込みできないライトワンス型」と、何度も書き換えができるリライタブル型」の2つに分けられ、前者の代表例がDVD-R、後者の代表がDVD-RWです。

DVD-R:ライトワンス型

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DVD-RRRecordable)はライトワンス型に分類され、後述のファイナライズをしていなければ空き容量がある限り追記できることから、追記型とも呼ばれます。片面2層のDVD-RはDVD-R DLDual Layerデュアルレイヤー)です。

DVD-Rにはピットがない代わりに、グルーブと呼ばれる案内溝と有機色素でできた薄い記録層があります。グルーブに沿って強いレーザー光を照射し有機色素を分解させることで、ピットの凹凸と同じような反射率の違いを作り、データを書き込むのです。一度分解された有機色素は元には戻らないため、書き込みは1回きりとなります。

書き換えできない上、後述するDVD-RWと比べて熱に強いので、長期保存向きです。しかし記録層の有機色素が光に反応しやすいため、保存環境によってはデータが消えてしまう場合があります。

DVD-RW:リライタブル型

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DVD-RWRWReWritable)はリライタブル型の1つです。書き換え可能回数は1000回ほどですが、書き換えるにはすべてのデータをいったん削除する必要があります。また、DVD-RWは片面1層のみで、片面2層のものはありません。

DVD-RWの記録層に使われるのは、アモルファス金属という材料です。アモルファスとは結晶化していない物質のことで、レーザー光でアモルファス金属を加熱して結晶化させ、反射率を変化させることでデータを書き込んでいます。また、結晶化した場所を再度レーザー光で加熱し急激に冷やすと再び非結晶化するため、データ消去および書き換えが可能になるのです。

記録層が熱に敏感なので、長期保存には向いていません。繰り返し録画データの一時的な保管に使われます。

\次のページで「ファイナライズについて」を解説!/

ファイナライズについて

記録型DVDの書き込み可能な状態を終わらせ、読み取り専用DVDとして完成させるのがファイナライズです。この処理を行ったDVDはそれ以上追記できなくなりますが、DVDを作成した機器以外でも再生できるようになります。ただし、DVD-RWのようなリライタブル型は、ファイナライズ後もデータを全消去することで再書き込みが可能です。

DVD+R・DVD+RWとの違い

記録型DVDの規格はほかにもあり、ライトワンス型はDVD+RDVD+R DL、リライタブル型はDVD+RWという規格が存在します。DVD+R DLは名称も異なり、ダブルレイヤーDouble Layer)です。このような規格の違いは、規格を制定する業界団体が異なるために生じたもので、前述のDVDフォーラムDVD‐R/-R DL/-RWDVD+RWアライアンスという組織がDVD+R/+R DL/+RWをそれぞれ制定しています。

以前は互換性がなく、「-」「+」それぞれに対応するドライブでなければ再生や書き込みができませんでした。しかし、現在製造されているドライブの多くが、すべてのDVD規格に対応しています。

録画用とデータ用の違い

録画用for VIDEO)もデータ用for DATA)も製造方法は全く同じですが、前者は著作権保護技術CPRMContent Protection for Recordable Media)に対応しています。デジタルテレビ放送は、著作権保護のためダビング10コピーワンスといったコピー回数の制限を設けており、レコーダーやパソコンで録画した放送は限られた回数、それもCPRMに対応したメディアにしかコピーできないようになっているのです。

データ用はCPRM非対応のため、録画用の代替にはなりませんが、録画用はデータ用の代わりに使うことができます。

DVD-RとDVD-RWの違いは書き込み回数と材料

DVD-RとDVD-RWは書き込み回数以外にも記録層に使われる材料が違うこと、また録画用とデータ用の違いなどについても解説しました。

記録方式もDVD-RDVD-RWとそれぞれ異なります。保管する際は、直射日光が当たる場所や高温になる場所をそれぞれ避けるよう注意しましょう。また樹脂ディスク自体も経年劣化するので、コピー制限がないデータならば定期的に新しい記録型メディアに移し替えると安心です。

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雑学

簡単にわかるDVD-RとDVD-RWの違い!ファイナライズとは?録画用とデータ用の違いについても工学系院卒ライターがわかりやすく解説!

半透明の記録層はレーザー光の読み取り精度が落ちます。2層のデータ容量(8.5GB)が1層(4.7GB)の2倍にならないのはこのためです。

DVDの名称

DVDは映像作品用に開発されたため、登場当初は「Digital Video Disc」の略とされていました。しかしその後、コンピュータのデータ記憶など用途が広がったことから、DVDの規格制定や普及促進を目的とする業界団体DVDフォーラムは「多目的、多用途」の意味を持つ単語versatileを用い、「Digital Versatile Disc」としたのです。

DVD-RとDVD-RWの違い

DVDは読み取り専用型記録型に分けられます。読み取り専用型はいわゆるDVD-ROMで、ROMRead Only Memoryの略です。工場で専用の機械を用いてピットを形成するため、データの書き込みや削除は一切できません。

記録型も1回しか書き込みできないライトワンス型」と、何度も書き換えができるリライタブル型」の2つに分けられ、前者の代表例がDVD-R、後者の代表がDVD-RWです。

DVD-R:ライトワンス型

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DVD-RRRecordable)はライトワンス型に分類され、後述のファイナライズをしていなければ空き容量がある限り追記できることから、追記型とも呼ばれます。片面2層のDVD-RはDVD-R DLDual Layerデュアルレイヤー)です。

DVD-Rにはピットがない代わりに、グルーブと呼ばれる案内溝と有機色素でできた薄い記録層があります。グルーブに沿って強いレーザー光を照射し有機色素を分解させることで、ピットの凹凸と同じような反射率の違いを作り、データを書き込むのです。一度分解された有機色素は元には戻らないため、書き込みは1回きりとなります。

書き換えできない上、後述するDVD-RWと比べて熱に強いので、長期保存向きです。しかし記録層の有機色素が光に反応しやすいため、保存環境によってはデータが消えてしまう場合があります。

DVD-RW:リライタブル型

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DVD-RWRWReWritable)はリライタブル型の1つです。書き換え可能回数は1000回ほどですが、書き換えるにはすべてのデータをいったん削除する必要があります。また、DVD-RWは片面1層のみで、片面2層のものはありません。

DVD-RWの記録層に使われるのは、アモルファス金属という材料です。アモルファスとは結晶化していない物質のことで、レーザー光でアモルファス金属を加熱して結晶化させ、反射率を変化させることでデータを書き込んでいます。また、結晶化した場所を再度レーザー光で加熱し急激に冷やすと再び非結晶化するため、データ消去および書き換えが可能になるのです。

記録層が熱に敏感なので、長期保存には向いていません。繰り返し録画データの一時的な保管に使われます。

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