この記事では「屋外」と「野外」の違いについてみていきます。非常に意味が似通っていて、漢字も簡単ではあるものの、意外と読み間違える人が多いこれらの言葉。使い分けに迷う人もいて当然でしょう。今回はその違いについて、国語の講師でもある空野キノコと一緒に解説していきます。

ライター/空野きのこ

大学在学中から文学・国文法や教育について本格的に学び、現在は小中学生に勉強を教えている講師。その知識と経験を活かし、言葉の雑学を中心に分かりやすく解説していく。

「屋外」と「野外」の読み方

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まずはそれぞれの漢字の読み方について確認しておきましょう。「屋外」の読み方「おくがい」です。「屋」は音読みで「や」と読むことができるため、間違えて「やがい」と読んでしまう方が時々いらっしゃるので気を付けましょう。家や建物のことを「家屋(かおく)」と言いますが、「家屋の外」だから「屋外」は「おくがい」と読む、といった風に意識しておぼえると読み間違えもぐっと減るのではないでしょうか。

また、もう一方の「野外」の読み方こそ「やがい」です。簡単な漢字ではありますが、どちらも似たような意味を持っていることもあり、読み方ひとつでも混同されがちなのでしっかりと区別できるようになりましょう。

「屋外」と「野外」の違いとは?

そして、「屋外」も「野外」も家や建物の外を意味する言葉です。辞書を引いてみるとこの二つは類語となっていて、どちらを使っても間違えではない場合も多いのですが、厳密にいうと細かいニュアンスの違いがあります。それは、「屋外」が単に「家や建物の外」を意味するのに対し、「野外」は「家や建物の外」なだけではなく、さらにそれが「開けたような広い空間」を意味することです。

「屋外」は単に家や建物の外

さきほども言いましたが「屋外」は「家屋の外」なので単に「家や建物の外」という意味です。そのため、建築現場などで「家や建物の外」のことを言いたいときは「屋外」が使われています。

とはいっても建築基準法などで「屋外」について厳密に定義されている訳ではないので、あくまで「屋外」という言葉が建築用語的に使われているだけです。ですが、そういう場で「野外」を使うのはちょっと場違いになってしまうので気をつけましょう。

「野外」は外の開けた空間

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一方の「野外」は「野」という一字が、野原のように自然あふれる広々とした空間というイメージを持っているので、単なる「家や建物の外」ではなく、そこが広くて開けた空間であり、さらに自然を感じられる場所でもあることを意味します。たとえば「野外」という言葉を使った熟語である「野外活動」をコトバンクで参照してみると

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豊かな自然環境のなかで、規律ある共同生活や、キャンプ、ハイキング、サイクリング、オリエンテーリング、スキー、スケート、登山、水泳、植物・昆虫採集、農作業などの各種の活動を集団で行うこと。主として青少年を対象に、学校や社会教育団体が計画、実施するものをいう。(後略)

(出典:コトバンク)

としています。ここに「豊かな自然環境」とあるように、「野」という字が持つ「自然」や「広々とした空間」といったイメージが、やはり「野外」という言葉にも含まれていることがわかるでしょう。

また、夏などに外で行われる大規模な音楽イベントを「野外フェス」などと言いますが、これが「屋外フェス」だと、こじんまりとした、ちょっと建物の外へ出ただけの場所で行われるものといったイメージに変わってしまいませんか?このように「野外」とは、「屋外」という言葉だけでは表すことのできない「自然」や「広がり」といったニュアンスも持っている言葉なのです。

それぞれの反対語は何?

次は「屋外」と「野外」の反対語について考えてみましょう。「屋外」の反対語は、建物の中、つまり「家屋の内」なので「屋内(おくない)」ですね。では、「野外」の反対語は何でしょうか?「屋外」の反対が「屋内」だからといって、「野内」ではありません、「野外」の反対語「屋内」です。「野内(のうち)」という地名や人名は存在しますが、「野外」の反対語ではないので気をつけましょう。

それぞれを英語では何と言う?

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単に「屋外の~」といった意味の英語は「outdoor」ですが、キャンプでの料理などを意味する日本語の「野外調理」という言葉を英訳した場合「outdoor cooking」という言葉があてられています。では「野外の~」という言葉も英訳すると必ず「outdoor ~」になるのでしょうか。

例えば、研究室ではなく実際の場所に出向いて研究・調査することを意味する「野外調査」といった言葉は英語では「field work」または「field reserch」のように、「野外の~」という意味に対し「野原」を意味する「field」があてられています。このことからも「野外」という言葉が「広がり」や「自然」といったニュアンスを持っていることが感じられるでしょう。

「屋外の~」にあたる言葉は「outdoor」ですが、「野外の~」「outdoor」だけでなく「field」などを使う場合があります。

\次のページで「「野外」は「屋外」より広くて自然のある空間!」を解説!/

「野外」は「屋外」より広くて自然のある空間!

「屋外」も「野外」も家や建物の外を意味する言葉であり、どちらを使っても構わない場面も多いですが、「野外」「屋外」の持つ意味に加え、「開放的でより広い空間」や「自然」といったニュアンスを持っているということを押さえておきましょう。

英語の勉強には洋楽の和訳サイトもおすすめです。
" /> 簡単でわかりやすい!屋外と野外の違いとは?読み方から反対語、英語まで現役塾講師がわかりやすく解説 – Study-Z
雑学

簡単でわかりやすい!屋外と野外の違いとは?読み方から反対語、英語まで現役塾講師がわかりやすく解説

この記事では「屋外」と「野外」の違いについてみていきます。非常に意味が似通っていて、漢字も簡単ではあるものの、意外と読み間違える人が多いこれらの言葉。使い分けに迷う人もいて当然でしょう。今回はその違いについて、国語の講師でもある空野キノコと一緒に解説していきます。

ライター/空野きのこ

大学在学中から文学・国文法や教育について本格的に学び、現在は小中学生に勉強を教えている講師。その知識と経験を活かし、言葉の雑学を中心に分かりやすく解説していく。

「屋外」と「野外」の読み方

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まずはそれぞれの漢字の読み方について確認しておきましょう。「屋外」の読み方「おくがい」です。「屋」は音読みで「や」と読むことができるため、間違えて「やがい」と読んでしまう方が時々いらっしゃるので気を付けましょう。家や建物のことを「家屋(かおく)」と言いますが、「家屋の外」だから「屋外」は「おくがい」と読む、といった風に意識しておぼえると読み間違えもぐっと減るのではないでしょうか。

また、もう一方の「野外」の読み方こそ「やがい」です。簡単な漢字ではありますが、どちらも似たような意味を持っていることもあり、読み方ひとつでも混同されがちなのでしっかりと区別できるようになりましょう。

「屋外」と「野外」の違いとは?

そして、「屋外」も「野外」も家や建物の外を意味する言葉です。辞書を引いてみるとこの二つは類語となっていて、どちらを使っても間違えではない場合も多いのですが、厳密にいうと細かいニュアンスの違いがあります。それは、「屋外」が単に「家や建物の外」を意味するのに対し、「野外」は「家や建物の外」なだけではなく、さらにそれが「開けたような広い空間」を意味することです。

「屋外」は単に家や建物の外

さきほども言いましたが「屋外」は「家屋の外」なので単に「家や建物の外」という意味です。そのため、建築現場などで「家や建物の外」のことを言いたいときは「屋外」が使われています。

とはいっても建築基準法などで「屋外」について厳密に定義されている訳ではないので、あくまで「屋外」という言葉が建築用語的に使われているだけです。ですが、そういう場で「野外」を使うのはちょっと場違いになってしまうので気をつけましょう。

「野外」は外の開けた空間

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一方の「野外」は「野」という一字が、野原のように自然あふれる広々とした空間というイメージを持っているので、単なる「家や建物の外」ではなく、そこが広くて開けた空間であり、さらに自然を感じられる場所でもあることを意味します。たとえば「野外」という言葉を使った熟語である「野外活動」をコトバンクで参照してみると

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