この記事では袋帯と名古屋帯の違いについてみていきます。ふたつとも着物を着るのには欠かせない帯の種類の名前ですね。ふたつの違いは様々ありますが、1番分かりやすい違いはズバリ、長さや形状の違いのようです。今回はそんな着物を着るのに欠かせないアイテムの違いを、同じ帯の種類である丸帯や半幅帯の違いも見つつ、衣装マニアライターのことはと一緒に解説していきます。

ライター/ことは

元教員ライター。小・中・高の国語科教員免許を持つ一方で、ステージ衣装やコスプレ衣装マニアな一面も持つ。今回はそんな衣装に関する知識を生かして、ふたつのアイテムの違いを分かりやすく解説していく。

袋帯と名古屋帯の違いとは?

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名古屋帯と袋帯は、どちらも着物を着るときに欠かせない帯の名前として、和装をするときには頻繁に耳にする言葉ですよね。しかし、着物を着る機会が減ってきている現代では、ふたつの帯の違いを明確に答えられる人は少ないのではないでしょうか?

このふたつ実は、形状や長さ、結び方、格の高さなど様々な違いがあります。今回は、違いがあいまいになりやすいふたつのアイテムの違いを、様々な面から詳しくみていきましょう。

袋帯と名古屋帯の特徴

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名古屋帯と袋帯では、歴史的な面から見ても違いがあります。袋帯の方が歴史は古く、袋帯を改良したものが名古屋帯です。このような点も含め、具体的な違いをみていく前に、ふたつの帯の特徴を確認しておきましょう。

袋帯とは?

袋帯は、古くから日本の礼装に使われてきた丸帯の、高価で着付けが大変であるという点を改良して明治時代に誕生した帯です。現代では、一般的にフォーマルな式典やお祝いの場などで使われることが多いため豪華な模様のものや、おしゃれ帯としても使用できるワンポイントが施されているものなど種類も豊富にあります。幅広い用途で使えることもあって、帯の中でも人気のある帯と言えるでしょう。

帯の表と裏の異なる2つの生地を袋状に縫い合わせて仕立てていることが、「袋帯」という名前の由来になっています。

名古屋帯とは?

名古屋帯は、丸帯を改良してもなお着付けが大変だった袋帯をさらに改良して作られた帯の種類です。大正時代に女学校の先生が考案した名古屋帯は、その後昭和時代にかけて開発され全国に広がりましたが、帯の中では歴史の浅い帯と言えるでしょう。

袋帯を簡略化させて着付けをしやすくしたものが名古屋帯なので、名古屋帯は一般的にカジュアルな場面向きと言えます。着物の中でも「普段着」と呼ばれる小紋や紬などを着るときには最適な帯です。

\次のページで「袋帯と名古屋帯の具体的な違い」を解説!/

袋帯と名古屋帯の具体的な違い

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ここからは、袋帯と名古屋帯の違いを「形状・長さ・結び方・格の高さ」の各ジャンルに分けて一気にみていきましょう。

1.形状の違い

袋帯と名古屋帯では、仕立てた時の形状が違います。袋帯は、表の生地と裏の生地の異なる2枚の生地を縫い合わせて袋状にしているもので、「帯」と言って想像するような長方形の形です。

一方名古屋帯は、一言で名古屋帯と言っても主に3つの仕立て方がありそれぞれで若干形状に違いがあります。最も一般的なのは名古屋仕立てというもので、結んだときにお太鼓になる部分以外を手先にかけて半分の幅に仕立てるものです。松葉仕立ても手先のみを半分に折った状態で仕立てるので、袋帯とは違う形をしていますが、最後のおそめ仕立てという仕立て方だけは、袋帯と同じ形をしています。

2.長さの違い

袋帯と名古屋帯では、長さや幅にも違いがあります。袋帯は、幅が約31cm(8寸2分)、長さが約4.2m(1丈1尺1寸)以上です。一方名古屋帯は、幅約30cmから31cm(8寸から8寸2分)、長さ約3.5m(9尺2寸)前後という決まりがあります。長さは名古屋帯の方がだいぶ短い作りになっていることが分かりますね。

3.結び方の違い

先ほどみてきたように、袋帯と名古屋帯では長さが違うため、帯の結び方(締め方)も異なります袋帯は長さもしっかりあるので、帯を締めた時にお太鼓を二重にしてつくる「二重太鼓」という結び方が可能です。一方名古屋帯は、袋帯よりも長さが短いので二重太鼓にすることができません。お太鼓を二重にせず一重でつくる名古屋帯の結び方は、「一重太鼓」といいます。

\次のページで「4.格の違い」を解説!/

4.格の違い

最後に、袋帯と名古屋帯の格の高さの違いについてみていきましょう。歴史的な特徴でも紹介した通り、名古屋帯は袋帯をさらに着付けしやすく、動きやすく改良して生まれた帯です。この点からもわかるように、一般的に袋帯の方が名古屋帯よりも格が高いとされています。袋帯がフォーマルで、名古屋帯がフォーマルとカジュアルの間に位置しているというイメージです。

丸帯・半幅帯との違いは?

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袋帯や名古屋帯と同じように、帯の名前としては丸帯や半幅帯も有名でよく聞く名前ですよね。最後に、この丸帯と半幅帯との違いもみていきましょう。

丸帯との違い

丸帯とは江戸時代に誕生した帯で、豪華絢爛で値段も高く、最も格式の高い帯と言われています。しかし戦後、袋帯が一般的になってからはあまり見られなくなり、現在では結婚式の白無垢など婚礼衣装や、舞妓さんが着る衣装として用いられる程度で、普段はあまり目にすることがありません。

丸帯の長さは4mと袋帯と比べて長いわけではありませんが、仕立て方に袋帯との大きな違いがあります。袋帯が表と裏の2枚の生地を袋状に縫い合わせていたのに対し、丸帯は幅広に織り上げた1枚の生地を半分に折って袋状にしていました。そのため裏面も柄があり豪華な帯でしたが、両面が表面と同じことなので非常に重く、分厚いため結ぶのも大変でした。

半幅帯との違い

半幅帯とは、名前の通り袋帯や名古屋帯の半分の幅であることから半幅帯と呼ばれています。具体的なサイズとしては、幅約15cm、長さ約3.2mから4.5mと、全体的に袋帯や名古屋帯に比べて小さいイメージです。

半幅帯は主に浴衣や紬、木綿など名古屋帯よりもさらにカジュアルな着物全般に合わせることができます。幅も狭く、軽くて結びやすいので、堅苦しくなく手軽に着物を着たいときや、着付け初心者の人にはおすすめの帯です。

袋帯と名古屋帯の特徴をおさえて、おしゃれに使い分けよう!

この記事では、袋帯と名古屋帯の違いを、丸帯や半幅帯との違いも含めてみてきました。今回紹介してきた4つの帯をまとめてみると、もともと江戸時代から最も格式高い帯として用いられてきたのが丸帯で、その丸帯の重くて結びにくいという点を改良したものが袋帯でしたね。そして袋帯をさらに結びやすく、動きやすく改良して生まれた名古屋帯と、さらに幅を半分にして着やすく、カジュアルにした半幅帯がありました。

それぞれに特徴があり、形状や長さだけではなく、格式の高さなどの違いもあります。今回ご紹介したことも参考にしながら、着物を着る場面や着物の種類と合わせて帯を選んで、しっかりと着こなしてみてください!

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簡単で分かりやすい!袋帯と名古屋帯の違いとは?丸帯や半幅帯との違いも衣装マニアライターが詳しく解説!

この記事では袋帯と名古屋帯の違いについてみていきます。ふたつとも着物を着るのには欠かせない帯の種類の名前ですね。ふたつの違いは様々ありますが、1番分かりやすい違いはズバリ、長さや形状の違いのようです。今回はそんな着物を着るのに欠かせないアイテムの違いを、同じ帯の種類である丸帯や半幅帯の違いも見つつ、衣装マニアライターのことはと一緒に解説していきます。

ライター/ことは

元教員ライター。小・中・高の国語科教員免許を持つ一方で、ステージ衣装やコスプレ衣装マニアな一面も持つ。今回はそんな衣装に関する知識を生かして、ふたつのアイテムの違いを分かりやすく解説していく。

袋帯と名古屋帯の違いとは?

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名古屋帯と袋帯は、どちらも着物を着るときに欠かせない帯の名前として、和装をするときには頻繁に耳にする言葉ですよね。しかし、着物を着る機会が減ってきている現代では、ふたつの帯の違いを明確に答えられる人は少ないのではないでしょうか?

このふたつ実は、形状や長さ、結び方、格の高さなど様々な違いがあります。今回は、違いがあいまいになりやすいふたつのアイテムの違いを、様々な面から詳しくみていきましょう。

袋帯と名古屋帯の特徴

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名古屋帯と袋帯では、歴史的な面から見ても違いがあります。袋帯の方が歴史は古く、袋帯を改良したものが名古屋帯です。このような点も含め、具体的な違いをみていく前に、ふたつの帯の特徴を確認しておきましょう。

袋帯とは?

袋帯は、古くから日本の礼装に使われてきた丸帯の、高価で着付けが大変であるという点を改良して明治時代に誕生した帯です。現代では、一般的にフォーマルな式典やお祝いの場などで使われることが多いため豪華な模様のものや、おしゃれ帯としても使用できるワンポイントが施されているものなど種類も豊富にあります。幅広い用途で使えることもあって、帯の中でも人気のある帯と言えるでしょう。

帯の表と裏の異なる2つの生地を袋状に縫い合わせて仕立てていることが、「袋帯」という名前の由来になっています。

名古屋帯とは?

名古屋帯は、丸帯を改良してもなお着付けが大変だった袋帯をさらに改良して作られた帯の種類です。大正時代に女学校の先生が考案した名古屋帯は、その後昭和時代にかけて開発され全国に広がりましたが、帯の中では歴史の浅い帯と言えるでしょう。

袋帯を簡略化させて着付けをしやすくしたものが名古屋帯なので、名古屋帯は一般的にカジュアルな場面向きと言えます。着物の中でも「普段着」と呼ばれる小紋や紬などを着るときには最適な帯です。

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