この記事ではパンを作る時に使う「天然酵母」と「イースト」の違いについてみていきます。2つのイメージとして「天然酵母は体にやさしそうで、イースト菌のパンはよくあるパン」みたいに思っていたが、どちらも人工的なものではなく身体に良し悪しないようです。天然酵母とイーストの働きについても見ていこう。
今回は天然酵母とイーストの違いについて食べることが大好きな栄養士のミサキと一緒に解説していきます。

ライター/ミサキ

おいしい食事とおやつを食べることが生きがい。クロワッサンやサクサクのメロンパンが好き。パン作りにはイースト菌を使っている。

天然酵母とイーストは同じもの?

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天然酵母とイーストはどちらもパンを作るのに利用します。微生物が小麦粉に含まれる糖を、炭酸ガスとアルコールに分解することでパンが発酵するのです。天然酵母やイーストはパンがふんわりと膨らんでおいしくなるために必要となります。それぞれどのようなものなのか、基本を確認していきましょう。

天然酵母とは?

一般的に天然酵母とは、穀物や果物の中に天然で存在する酵母を培養させて作ったもののことです。具体的には、りんごやレーズン、玄米や小麦粉など糖質の多い食品から作ることができます。天然酵母の材料はいたってシンプルです。酵母の原料と、水、砂糖だけ。砂糖はなくても作れるようです。

自家製天然酵母の作り方
【材料】
酵母の原料の果物など:100g
砂糖:10g
浄水:150g

【作り方】
1.煮沸等で清潔にした容器に全ての材料入れてよく振り混ぜます。果物はカットして使用。
2.室温で5日間ほど置きます。毎日ふたを開けてよく振り混ぜて空気を入れかえましょう。
3.ふたを開けてプシュッというようになってから2日ほどで完成です。

冷蔵庫保管で1ヶ月ほど保管できます。

イーストとは?

イーストとは英語で「yeast」、日本語に訳すと「酵母」です。天然酵母との使い分けでイーストのことを人工的な酵母というイメージの方もいるかと思いますが、そうではありません。

イーストは天然に存在する酵母から、パン作りに適したものだけを培養して作られています。パン作りに最適な酵母を手軽に使えるので、これを正しく使えば誰でもおいしいパンが作れる優れものだったのです。

\次のページで「天然酵母とイーストの3つの違い」を解説!/

天然酵母とイーストの3つの違い

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天然酵母とイーストの製造方法の違いが分かりました。酵母を使用するときの具体的な違いを3つみていきましょう。

違いその1.パンの作り方

天然酵母またはイーストを使ったパン作りで大きく違うのは、パンが出来上がるまでの時間となります。イーストはパン作りに適した酵母ですので、パン作りがスムーズです。常に一定の出来上がりにすることができるので、大量生産やパン作り初心者でもうまく作れるでしょう。

一方、天然酵母はイーストに比べて発酵するのに時間がかかります。発酵以外のパン作りの手順は同じですが、半日~1日かけて作る天然酵母のパンに比べてイーストを使うと数時間で焼き上げることが可能です。

違いその2.パンの味

天然酵母を使ったパンは、酵母の原料によって風味が変わります。果物の酵母だとフルーティーな香り、穀物の酵母だとクセが少なくどのようなパンにも使いやすいです。天然酵母のパンはゆっくり発酵することからパン生地がしっかり仕上がるので、ハード系や素朴な食感を味わえます。

イーストを使ったパンは、あまり時間がかからずに発酵することでふわふわの食感です。イーストには独特なイースト臭がありますが、通常高温で焼くことで香りはなくなります。香りが残る場合は、発酵の温度やイーストの量に問題がある可能性が高いです。

作りたいパンによって酵母を使い分けたり、どのような違いがあるのか比べたりして見るのも良いでしょう。

違いその3.形状

天然酵母やイーストの形状は、粉末状のドライタイプやスプーンなどでほぐせる生タイプなどです。スーパーで取り扱っている酵母はドライイーストがメインですが、生イーストや天然酵母も販売されています。ただ、使いやすいドライイーストが多いです。

また、自家製で天然酵母を作ると、作り方からも分かる通り液体となります。直接パン作りに使用することもできますし、少量の小麦粉で元種を作ってドロドロの状態にしてから使う方法もあるようです。

イースト菌が危険で体に悪いって嘘?

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イーストが体に悪い、という噂を聞いたことがある方もいるかもしれませんが、これまでの説明の通り天然に存在する酵母で作られているのでこの噂は嘘です。

また、添加物が体に悪いという噂もあります。イーストに添加されていることの多い乳化剤は水と油のように混ざりにくいものをなめらかにするものの総称で、食品由来や合成されたものなど様々です。危険性がないため使用できます。ちなみに、乳成分とは関係ありません。

さらに、複数の食品添加物からできているイーストフードと混同されることがありますが、イーストとは別物です。こちらも少量なら危険はないので使用できるものとなっています。

\次のページで「アレルギーはある?」を解説!/

アレルギーはある?

まれですが、イーストにもアレルギーがあります。イーストシンドロームと呼ばれ、酵母を使うパンや酒類、味噌や醤油などが原因食品です。体内にもともと常在しているカンジタ菌などが増えすぎることで頭痛や疲れなどの症状が現れます。一般的な乳や卵などのアレルギーと違って、すぐに症状が出ずに時間がかかることから原因に気付きづらいです。

イーストなしパンは作れるの?

パンとは、小麦をこねて発酵させて焼いたもののことを言います。発酵には微生物の働きが必要ですので、酵母なしでパンを作るのは難しいです。しかし、代用としてベーキングパウダーや重曹を使う方法もあります。この場合酵母によるふんわり感は減りますが、ケーキのようにしっとりふんわりしたパンが作れるでしょう。

天然酵母とイーストはどちらも酵母菌!好みで選ぼう

天然酵母とイーストについて分かりました。どちらも天然に存在する酵母のことで大きな違いはなく、イーストが体に悪いという噂も嘘だったのです。ただ、パン作りに最適な酵母を集めたのがイーストですので、初心者には使いやすいでしょう。ドライイーストや生イーストなど様々ですが、好みで選ぶ方法もあります。また、天然酵母は自宅で手作りすることもできるので、こだわってパン作りしたい方におすすめです。作りたいパンや好みで酵母を選んで活用しましょう!

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雑学

天然酵母とイーストの違いは?体にいいのはどっち?食べるの大好き栄養士ライターが簡単にわかりやすく解説

この記事ではパンを作る時に使う「天然酵母」と「イースト」の違いについてみていきます。2つのイメージとして「天然酵母は体にやさしそうで、イースト菌のパンはよくあるパン」みたいに思っていたが、どちらも人工的なものではなく身体に良し悪しないようです。天然酵母とイーストの働きについても見ていこう。
今回は天然酵母とイーストの違いについて食べることが大好きな栄養士のミサキと一緒に解説していきます。

ライター/ミサキ

おいしい食事とおやつを食べることが生きがい。クロワッサンやサクサクのメロンパンが好き。パン作りにはイースト菌を使っている。

天然酵母とイーストは同じもの?

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天然酵母とイーストはどちらもパンを作るのに利用します。微生物が小麦粉に含まれる糖を、炭酸ガスとアルコールに分解することでパンが発酵するのです。天然酵母やイーストはパンがふんわりと膨らんでおいしくなるために必要となります。それぞれどのようなものなのか、基本を確認していきましょう。

天然酵母とは?

一般的に天然酵母とは、穀物や果物の中に天然で存在する酵母を培養させて作ったもののことです。具体的には、りんごやレーズン、玄米や小麦粉など糖質の多い食品から作ることができます。天然酵母の材料はいたってシンプルです。酵母の原料と、水、砂糖だけ。砂糖はなくても作れるようです。

自家製天然酵母の作り方
【材料】
酵母の原料の果物など:100g
砂糖:10g
浄水:150g

【作り方】
1.煮沸等で清潔にした容器に全ての材料入れてよく振り混ぜます。果物はカットして使用。
2.室温で5日間ほど置きます。毎日ふたを開けてよく振り混ぜて空気を入れかえましょう。
3.ふたを開けてプシュッというようになってから2日ほどで完成です。

冷蔵庫保管で1ヶ月ほど保管できます。

イーストとは?

イーストとは英語で「yeast」、日本語に訳すと「酵母」です。天然酵母との使い分けでイーストのことを人工的な酵母というイメージの方もいるかと思いますが、そうではありません。

イーストは天然に存在する酵母から、パン作りに適したものだけを培養して作られています。パン作りに最適な酵母を手軽に使えるので、これを正しく使えば誰でもおいしいパンが作れる優れものだったのです。

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