
太刀と打刀の違いは?

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佩刀と帯刀はそれぞれ違った刀の持ち運び方であるということがわかりました。持ち運び方に差が出る理由は、持ち運ばれる刀自体の特徴や使い方に差があるためです。続いて、太刀と打刀の違いについて見ていきましょう。
違いその1.長さ
打刀は、江戸時代にその長さが決められています。規定された長さよりも長いものは、決まりに合わせるために「磨上げ(すりあげ)」が行われました。磨上げとは、刀身のうち柄におさまっている「茎(なかご)」という部分を切り詰め、刀を短くする作業です。
一方、太刀の長さについては決まりが設けられていません。一般的には打刀よりも長いものが多い半面、例外も多くあり、長さだけで打刀と太刀とを見分けることは困難です。
太刀には短めの小太刀(こだちから)長めの大太刀(おおだち)まで、様々な長さのものが存在しています。大太刀は大きすぎて佩刀できず、背に担いだり、従者に持たせて鞘から抜いたりしなければならないものもあったとか。武器としての役割に留まらず、神社に奉納される大太刀も多かったようです。
違いその2.反り
続いて、太刀と打刀の反りの違いについて見ていきましょう。反りの違いには、それぞれが活躍した時期の戦い方が強く影響を及ぼしています。
太刀は打刀に比べると反りが深い刀です。太刀が活躍した時期は、馬に乗った戦闘が盛んにおこなわれていました。当時の太刀は手元付近での反りが強く、切っ先に向かうにしたがって直線的になっていく「腰反り(こしぞり)」という形状。馬上での抜刀のしやすさや、敵に突き刺して戦う際の扱いやすさに優れていたと言われています。また、反りを深くすることで馬のお尻に鞘の先端が当たることを防いでいました。
それに対し、打刀は太刀に比べると反りが浅く、軽い刀です。打刀が活躍した時期は、馬よりも徒歩で戦う地上戦が主流。反りが強くて長い太刀は鞘から抜きにくく、素早さの求められる集団での接近戦には適していなかったんですね。
違いその3.時代

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太刀が用いられた時期は、平安時代後期から室町時代中頃まで。打刀が主流となったのは室町時代後期以降です。江戸時代に入ると、打刀と脇差の「大小(だいしょう)」を差すことが武士の正装とされました。
違いその4.向き
博物館や美術館に展示されている刀剣をよく見てみると、刃が上になっているものと下になっているものがあります。これは刀によって表側が異なるため。太刀を佩刀する際は、刃を下にします。これにならい、博物館などで展示される太刀は刃が下になるように置かれることが多いですね。
一方、打刀を帯刀する際は、刃を上にします。同じように、博物館などで展示される打刀は刃が上になるように置かれることがほとんど。
ただし、一部例外もあります。刀の流派によって銘が表側に切られていない場合や、刀の裏に見どころがある場合は逆向きに置かれることも。また、大太刀を展示する場合は、刀自体の重さで刃が割れてしまうことを防ぐために刃を上にすることもあるようです。
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