この記事では「思い出」と「想い出」の違いについてみていきます。2つとも過去の出来事を思い返すときによく使われる言葉です。どちらも意味は似ているが、その漢字の成り立ちによって使う場面に違いがあるみたいです。
今回は過去の出来事を振り返るうえで欠かせないこの2つを「記憶」との違いも含めて、ビジネス文書作成の熟練ライター西風と一緒に解説していきます。

ライター/西風

企業にて10年以上にわたりビジネスパーソンとの交流や企画書・論文作成を経験。現在は後進育成にも注力。文章のわかりやすさはもちろん、言葉の意味や使い方にもこだわり、わかりやすく正確な情報をお届けします。

「思い出」と「想い出」の違いとは?

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「思い出」と「想い出」のように、違う漢字で表現されていても同じ読み方がされるものを同訓異字と呼びます。この2つは、過去に自分が経験・体験した出来事を表現するために使うのは一緒です。しかし、その違いがわからない、使い分けられないという人も多いのではないでしょうか。その違いについて、くわしく見ていきましょう。

「思い出」は常用漢字

「思い出」に含まれる“思”という漢字は常用漢字です。常用漢字とは一般の社会生活で使用する目安として定められた漢字で、教科書や公文書には常用漢字が使われています。そのため、漢字を用いる場合は「思い出」を使うのが一般的です。

「想い出」は常用外漢字

「想い出」に含まれる“想”という漢字は常用外漢字です。常用外漢字とは表外漢字とも呼ばれ、常用漢字ではない漢字全般を指します。つまり、“想”は一般的には使用されない漢字です。そのため、教科書や公文書には基本的に用いられることはありません

「思い出」の意味と使い方

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ここからは「思い出」と「想い出」の違いに着目しながら、その意味と使い方についてくわしく見ていきましょう。

「思い出」の意味

「思い出」を辞書でくわしく調べると、以下のような意味だとわかります。

\次のページで「「思い出」の使い方」を解説!/

1.過去に自分が出会った事柄を思い出すこと。また、その事柄。
2.あることを思い出すよすがになるもの。

出典:デジタル大辞林

「思い出」の使い方

“思”の漢字は、子どもの脳の象形である“田”と、心臓の象形である“心”の漢字が合わさり成り立っています。つまり“思”とは、頭と心で考える・思うことを意味する漢字です。「思い出」も自身の頭と心で考え・思うことが関係することから、以下のように用いられます。

1.子どもの頃の思い出にひたる
2.仕事の失敗は苦い思い出だ
3.旅の思い出に写真を撮る

「想い出」の意味と使い方

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「思い出」との違いに着目しながら、その意味や使い方についてくわしく見ていきましょう。

「想い出」の意味

「想い出」を辞書で調べると、「思い出」で調べた結果がそのまま表示されます。つまり、「想い出」の意味は「思い出」とまったく同じです。しかし、あえて常用外漢字を使うことには理由があるため、その理由と使い方についてくわしく見ていきましょう。

「想い出」の使い方

“想”の漢字は“相”と“心”という2つの漢字で成り立っています。

“相”は木の象形である“木”と目の象形である“目”から成り立ち、相対するものを見るという意味を持つ漢字です。心臓の象形である“心”は心を意味しています。この“相”と“心”が合わさることで、“想”は相対するものを心で見る・思うという意味を持つのです。

そのため、「想い出」は「思い出」よりも相対する物事や人に感情が強く反映する場合に用いられることが多く、一般的には、以下のように用いられます。

\次のページで「「記憶」との使いわけ」を解説!/

1.優しい祖父との想い出にひたる
2.この料理には母との想い出がつまっている
3.ここは妻にプロポーズした想い出の場所だ

「記憶」との使いわけ

「思い出」や「想い出」と似た意味を持つ言葉が「記憶」です。「記憶」を辞書で調べると、以下のような意味だとわかります。

1.過去に体験したことや覚えたことを、忘れずに心にとめておくこと。また、その内容。
2.心理学で、生物体に過去の影響が残ること。また、過去の経験を保持し、これを再生・再認する機能の総称。
3.コンピューターに必要なデータを蓄えておくこと。

引用:デジタル大辞泉

「記憶」とは過去の体験や経験を覚えておくことです。ここに心で思うことや感情は入りません。単純に事象として覚えていることが「記憶」です。

\次のページで「感情的要素によって上手に使い分けよう」を解説!/

感情的要素によって上手に使い分けよう

「思い出」と「想い出」の違いについてくわしく見てきました。2つとも持つ意味は同じですが、調べてみると使用されている漢字の成り立ちによって使い分けされていることがわかります。また、「記憶」は「思い出」や「想い出」と意味は似ていても、より広範囲を意味する言葉であることもわかりました。同じ読み方でも表記の違いにより使い方が異なる…このように意味を調べてみると、日本語の楽しさ・奥深さを感じずにはいられませんね。

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雑学

3分でわかる「思い出」と「想い出」の違い!意味や使い方・「記憶」との違いもビジネス文書熟練者がわかりやすく解説

1.過去に自分が出会った事柄を思い出すこと。また、その事柄。
2.あることを思い出すよすがになるもの。

出典:デジタル大辞林

「思い出」の使い方

“思”の漢字は、子どもの脳の象形である“田”と、心臓の象形である“心”の漢字が合わさり成り立っています。つまり“思”とは、頭と心で考える・思うことを意味する漢字です。「思い出」も自身の頭と心で考え・思うことが関係することから、以下のように用いられます。

1.子どもの頃の思い出にひたる
2.仕事の失敗は苦い思い出だ
3.旅の思い出に写真を撮る

「想い出」の意味と使い方

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「思い出」との違いに着目しながら、その意味や使い方についてくわしく見ていきましょう。

「想い出」の意味

「想い出」を辞書で調べると、「思い出」で調べた結果がそのまま表示されます。つまり、「想い出」の意味は「思い出」とまったく同じです。しかし、あえて常用外漢字を使うことには理由があるため、その理由と使い方についてくわしく見ていきましょう。

「想い出」の使い方

“想”の漢字は“相”と“心”という2つの漢字で成り立っています。

“相”は木の象形である“木”と目の象形である“目”から成り立ち、相対するものを見るという意味を持つ漢字です。心臓の象形である“心”は心を意味しています。この“相”と“心”が合わさることで、“想”は相対するものを心で見る・思うという意味を持つのです。

そのため、「想い出」は「思い出」よりも相対する物事や人に感情が強く反映する場合に用いられることが多く、一般的には、以下のように用いられます。

\次のページで「「記憶」との使いわけ」を解説!/

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