この記事ではACアダプターと充電器の違いについてみていきます。2つとも電子機器のバッテリーの充電に用いられる機材ですが、よく混同されている。じつは「スマホの充電器」は充電器ではなく、ACアダプターなんです。今回はそんなACアダプターと充電器の違いと選び方について電子工作マニアのライター2scと一緒にみていきます。

ライター/2sc

理系の大学院に通うかたわら、ライターとして活動している。電子工作や自動車など技術系の記事執筆を得意とする、生粋の科学青年。モバイル機器に欠かせない「バッテリーの充電」について、わかりやすく解説していく。

ACアダプターと充電器の大まかな比較

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ACアダプター充電器「バッテリーの充電」という共通の用途をもちます。本項目では混同されがちな両者の共通点違いについて大まかに比較。以下を読むだけで、ACアダプターと充電器の機能の違いがわかります。

どちらも部分的に同じ回路をもつ

ACアダプターと充電器はどちらも、コンセント(商用電源)を電源に利用します。くわえて両者ともに、コンセントの交流を直流に変換する回路をもつという点も共通。そのためACアダプターと充電器は、しばしば直流の電気を蓄えるバッテリー(二次電池)充電に用いられ、混同されるのです。

機能が違う

じつはわたしたちが「充電器」と呼んでいる機材の大半ACアダプター。その機能に着目すると、ACアダプターと充電器の違いがわかります。充電器が直流に変換した電気をバッテリーに蓄えるための機能を完備しているのに対し、ACアダプターの機能は交流から直流への変換のみに限られるのです。そのため両者には具体的な違いいくつか存在します。

ACアダプターと充電器の3つの違い

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機能が異なる両者には、大きく分けて3つの違いが存在。違いを知るだけで、ACアダプターと充電器を容易に見分けられます。

\次のページで「その1.対象の違い」を解説!/

その1.対象の違い

ACアダプターは、電子機器へ電気を供給するために広く用いられます。おもに供給の対象となるのはスマートフォンノートパソコンなど、バッテリーを内蔵する小型の機器です。またバッテリーをもたない据え置き型の機器にも用いられます。

一方充電器が電気を供給する対象はバッテリー単品。対象となるバッテリーの多くは着脱式で、電動自転車のリチウムイオン二次電池や自動車の鉛蓄電池のように、大きな機械に付属します。

その2.回路の違い

ACアダプターの回路には3つの工程が必須。工程順に説明すると、以下のとおりです。

工程1.100Vの交流をより低い電圧の交流に変える「変圧回路」
工程2.変圧された交流から、正の電流の波を作る「整流回路」
工程3.整流された電流の波なだらかにする「平滑回路」

\次のページで「その3.端子の違い」を解説!/

一方多くの充電器では、この回路のあとにバッテリーの過充電を防ぐ「充電制御回路」が加わります。なぜならバッテリーの主流であるリチウムイオン二次電池は、過充電状態発火するおそれがあるからです。スマホノートPCでもこの充電制御回路が、リチウムイオン二次電池とともに内蔵されています。

その3.端子の違い

広い機種で用いられるACアダプターは、USBコネクタACプラグなど汎用性のある端子をもちます。そのためスマートフォンでは、社外品のACアダプターが多く販売されているのです。一方充電器は対象となるバッテリーに特化した端子をもちます。とくに単品リチウムイオン二次電池では、メーカーごとに独自の端子が採用され社外品の充電は推奨されません。

スマホ用充電器の選び方

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スマートフォン向けのACアダプターは一般に「充電器」と呼ばれ、広く普及しています。商品ごとに充電速度にばらつきがあり、なかには「急速充電」をうたったものも存在。この項目では、スマホ用充電器の充電速度について解説していきます。

充電速度が違う理由

スマホ用充電器の充電速度規格ごとに違います。この規格は充電器が扱う電力を示す、ワット数によって決定。なかでも急速充電向けの規格は、従来の規格よりも大きな電力で充電を行うことで、充電速度を大幅に向上させています。

電圧と電流を確認しよう

スマホ用充電器のワット数は、電圧(V)電流(A)掛け算することで求められます。一般的な充電器の電圧5Vに統一されており、電流が規格ごとに変化大きな電流のものを選ぶと、充電時間短縮できます。一方急速充電では、例外的に高電圧を採用しているためより大きな電力を供給できるのです。

\次のページで「電気を持ち歩く時代」を解説!/

電気を持ち歩く時代

バッテリーと充電器は、時代とともに小型化が進められました。その結果、スマートフォンなどのモバイル機器が生まれたのです。現代ではコンパクトなACアダプターが一台あれば、さまざまな機器を充電できます。いつでも世界と繋がれる便利な暮らしは、充電器やACアダプター抜きには語れませんね。

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雑学

簡単でわかりやすい!ACアダプターと充電器の違いとは?機能や規格、急速充電について元ラジオ少年のライターが詳しく解説

この記事ではACアダプターと充電器の違いについてみていきます。2つとも電子機器のバッテリーの充電に用いられる機材ですが、よく混同されている。じつは「スマホの充電器」は充電器ではなく、ACアダプターなんです。今回はそんなACアダプターと充電器の違いと選び方について電子工作マニアのライター2scと一緒にみていきます。

ライター/2sc

理系の大学院に通うかたわら、ライターとして活動している。電子工作や自動車など技術系の記事執筆を得意とする、生粋の科学青年。モバイル機器に欠かせない「バッテリーの充電」について、わかりやすく解説していく。

ACアダプターと充電器の大まかな比較

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ACアダプター充電器「バッテリーの充電」という共通の用途をもちます。本項目では混同されがちな両者の共通点違いについて大まかに比較。以下を読むだけで、ACアダプターと充電器の機能の違いがわかります。

どちらも部分的に同じ回路をもつ

ACアダプターと充電器はどちらも、コンセント(商用電源)を電源に利用します。くわえて両者ともに、コンセントの交流を直流に変換する回路をもつという点も共通。そのためACアダプターと充電器は、しばしば直流の電気を蓄えるバッテリー(二次電池)充電に用いられ、混同されるのです。

機能が違う

じつはわたしたちが「充電器」と呼んでいる機材の大半ACアダプター。その機能に着目すると、ACアダプターと充電器の違いがわかります。充電器が直流に変換した電気をバッテリーに蓄えるための機能を完備しているのに対し、ACアダプターの機能は交流から直流への変換のみに限られるのです。そのため両者には具体的な違いいくつか存在します。

ACアダプターと充電器の3つの違い

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機能が異なる両者には、大きく分けて3つの違いが存在。違いを知るだけで、ACアダプターと充電器を容易に見分けられます。

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