この記事ではハマグリとアサリの違いについてみていきます。ハマグリとアサリはどちらも二枚貝で、酒蒸しや汁物などの料理に用いられる。両者は見た目と調理法が似ているため、よく比較されるぞ。今回はそんなハマグリとアサリの、見分け方や他の似ている貝について大学で生物学を学んだライター2scと一緒にみていくぞ!

ライター/2sc

生物学をこよなく愛するライター。大学では節足動物である、昆虫の生態について研究していた。生き物の分類から、見分け方まで「濃い」知識をわかりやすく解説していく。

ハマグリとアサリを大まかに比較

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ハマグリとアサリはどちらも二枚貝の仲間。両種は、酒蒸しや汁物など料理法が共通しており、よく比較されます。以下、ハマグリ・アサリの共通点と違いについてみていきましょう!

両者は同じ科の二枚貝

ハマグリアサリはどちらも、同じマルスダレガイ科に分類されます。このマルスダレガイ科の二枚貝は、食用貝として世界中で人気。食用となる種は英語で「クラム」、イタリア語で「ヴォンゴレ」と総称され親しまれているのです。またマルスダレガイ科の貝は砂浜に多く生息するため、世界中で「潮干狩り」の対象とされています。

違うグループに分けられる

ハマグリとアサリは同じ科の貝ではありますが、別のグループに分けられます。ハマグリはハマグリ属、アサリはアサリ属に分類されるのです。そのためハマグリ・アサリの間にはいくつかの違いが存在。両者の違いが、その料理法に影響します。

ハマグリとアサリで違う点

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ハマグリとアサリの間にはには3つ違いが存在。その違いを知るだけで、両者を簡単に区別できます。以下を参照に、潮干狩り料理に役立ててください。

その1.見た目

まずハマグリは、アサリに比べて大ぶり。アサリの殻長が6cmに満たないのに対し、平均的なハマグリの殻長は8.5cmとサイズに大きな差があるのです。加えてハマグリ貝殻滑らかで、光沢を帯びています。貝殻は褐色基調で、黄褐色から灰褐色の色むらが特徴的です。一方アサリ貝殻は、表面がざらついており、個体によって色・模様変化します。

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その2.住む環境

ハマグリとアサリとでは好む環境が違います。潮干狩りに適した干潟を好むアサリとは異なり、ハマグリは常に浸水している浅瀬を好むのです。またハマグリは、アサリと比べて水質の変化に敏感。埋め立てや水質汚濁により、彼らの生息地年々減少しています。そのため潮干狩りで、天然のハマグリを見かけることはまずありません。

その3.味と食感

先述の環境の違いは、食味に影響します。アサリは干潮時の酸素不足に耐えるため、うま味成分であるコハク酸を多く蓄積。このコハク酸特有の風味により、アサリの出汁えぐみのある味わいになります。一方ハマグリはグルタミン酸をはじめとする遊離アミノ酸を多く含み、上品なうま味をもつ出汁が特徴的です。さらにハマグリは柔らかな食感をもち、身そのものも楽しめます。

本ハマグリとは?

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ハマグリの中でも「本ハマグリ」は別格。その希少性の高さから、高級食材として扱われています。普通のハマグリと本ハマグリは何が違うのでしょうか?以下みていきましょう。

3種のハマグリが存在

日本国内で「ハマグリ」として流通しているハマグリ属の貝は、3種に分かれます。それは本ハマグリシナハマグリチョウセンハマグリです。なかでも在来種である本ハマグリは古くから「ハマグリ」と呼ばれ、親しまれてきました。しかし埋め立て水質汚染により本ハマグリの個体数は激減、現在では絶滅危惧種に指定されています。

現在市場に出回る「ハマグリ」の多くは、シナハマグリチョウセンハマグリです。シナハマグリ外来種の「ハマグリ」で、本ハマグリの代替品として輸入されました。市販の「ハマグリ」の大半本種です。一方チョウセンハマグリは在来種ですが、本ハマグリとは違い外洋に面した環境を好みます。「地ハマグリ」として販売されるのは、このチョウセンハマグリです。

ハマグリの見分け方

シナハマグリ本ハマグリの見た目はほぼ同じ。ですが両種は「殻頂」と呼ばれる、貝殻の頂点の形状が異なります。シナハマグリの殻頂は本ハマグリのものと比べて、丸く張り出しているのです。また外洋性のチョウセンハマグリは、他の「ハマグリ」よりも厚みのある貝殻を持ちます。

\次のページで「似ている他の貝は?」を解説!/

似ている他の貝は?

マルスダレガイ科には、ハマグリとアサリ以外にも食用となる種が多く存在。その一部は、見た目が似ていることから「大アサリ」「大ハマグリ」と呼ばれています。以下ハマグリ・アサリに似ている二枚貝について、みていきましょう。

アサリならぬ大アサリ

「大アサリ」とアサリは別物「大アサリ」として流通しているのは、ウチムラサキという二枚貝です。このウチムラサキは、アサリと同じマルスダレガイ科に分類されますが、アサリ属ではありません。ウチムラサキ貝殻は種名どおり、内側に色づいています。一方アサリの貝殻は内側が白色のため、見間違えることはないでしょう。

大ハマグリも別物

同じく「大ハマグリ」として販売される貝は、ハマグリではありません。その正体は、マルスダレガイ科のホンビノスガイ。この種はアメリカ原産の外来種で、ハマグリ属とは別グループです。ホンビノスガイの貝殻の形は、ハマグリに比べて左右非対称なので見分けがつきます。本来「クラムチャウダー」に用いる二枚貝は、このホンビノスガイです。

二枚貝は出汁を味わうべし

この記事で紹介したハマグリとアサリには、それぞれ独特の味わいがあります。その出汁はうま味成分を多く含み、汁物や酒蒸しにうってつけです。さらに両種は和食だけでなく、ヴォンゴレスパゲッティやクラムチャウダーなど洋食にも適します。さまざまな料理でハマグリとアサリを食べ比べてみてはいかがでしょうか。

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簡単でわかりやすい!ハマグリとアサリの違いとは?見分け方や似ている貝について生物学専攻ライターが詳しく解説

この記事ではハマグリとアサリの違いについてみていきます。ハマグリとアサリはどちらも二枚貝で、酒蒸しや汁物などの料理に用いられる。両者は見た目と調理法が似ているため、よく比較されるぞ。今回はそんなハマグリとアサリの、見分け方や他の似ている貝について大学で生物学を学んだライター2scと一緒にみていくぞ!

ライター/2sc

生物学をこよなく愛するライター。大学では節足動物である、昆虫の生態について研究していた。生き物の分類から、見分け方まで「濃い」知識をわかりやすく解説していく。

ハマグリとアサリを大まかに比較

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ハマグリとアサリはどちらも二枚貝の仲間。両種は、酒蒸しや汁物など料理法が共通しており、よく比較されます。以下、ハマグリ・アサリの共通点と違いについてみていきましょう!

両者は同じ科の二枚貝

ハマグリアサリはどちらも、同じマルスダレガイ科に分類されます。このマルスダレガイ科の二枚貝は、食用貝として世界中で人気。食用となる種は英語で「クラム」、イタリア語で「ヴォンゴレ」と総称され親しまれているのです。またマルスダレガイ科の貝は砂浜に多く生息するため、世界中で「潮干狩り」の対象とされています。

違うグループに分けられる

ハマグリとアサリは同じ科の貝ではありますが、別のグループに分けられます。ハマグリはハマグリ属、アサリはアサリ属に分類されるのです。そのためハマグリ・アサリの間にはいくつかの違いが存在。両者の違いが、その料理法に影響します。

ハマグリとアサリで違う点

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ハマグリとアサリの間にはには3つ違いが存在。その違いを知るだけで、両者を簡単に区別できます。以下を参照に、潮干狩り料理に役立ててください。

その1.見た目

まずハマグリは、アサリに比べて大ぶり。アサリの殻長が6cmに満たないのに対し、平均的なハマグリの殻長は8.5cmとサイズに大きな差があるのです。加えてハマグリ貝殻滑らかで、光沢を帯びています。貝殻は褐色基調で、黄褐色から灰褐色の色むらが特徴的です。一方アサリ貝殻は、表面がざらついており、個体によって色・模様変化します。

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