
簡単でわかりやすい!単球とマクロファージの違いとは?好中球との違いも元看護師が詳しく解説!
単球、マクロファージ…どこかで聞いたことがある?アニメになっているからそうかもしれませんね。この記事では両者の違いや免疫の仕組みについて、元看護師でWebライターの近野チカと一緒に解説していきます。

ライター/近野チカ
医療ドラマや医療アニメが好きな元看護師のWebライター。
人間の血液について
単球とマクロファージの違いを解説する前に、人間の血液について簡単に見ていきましょう。人間の血液は体重の約8%を占め、例えば体重60kgの人の血液量は約5Lです。血液細胞成分(45%)と血漿成分(55%)で構成され、細胞成分である赤血球、白血球、血小板は骨盤で作られ、細胞成分以外の血漿は主に肝臓で作られています。
白血球は血液1μL(0.001mL)中、およそ4000~9000μLが正常値です。白血球の種類には顆粒球である好中球(体内に侵入した細菌に対し貪食・殺菌作用を持つ)、好酸球(アレルギー疾患で増加しアレルギーを抑制するように働く)、好塩基球(アレルギー反応に関する細胞。中に含まれるヒスタミンが炎症部位の血管拡張をヘパリンが血液凝固を抑え、好中球の働きを助ける)と無顆粒球のリンパ球(ウイルスに対して抗体を産生して攻撃する)、単球(異物や体内の細胞を貪食する)があります。
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単球とマクロファージの違いとは
それでは単球とマクロファージの違いについて解説していきます。マクロファージはもともと単球です。血液中では単球として存在しています。病原体が体内に入ると、体を守るために単球が病原体のもとに駆けつけるわけですがその場所が血管外の場合は血管の外に出て、マクロファージに変化しするのです。
つまり、存在している場所が血管内か血管外かで、単球かマクロファージか名前が異なり、また大きさも単球よりマクロファージのほうが5倍ほど大きいのも違う点だと言えます。単球とマクロファージの違いについて詳しく見ていきましょう。
単球:病原体に即攻撃する
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白血球のうち最も大きく、約5%を占めます。細菌などに感染すると体の中でサイトカインという化学物質が分泌され、それに反応していち早く攻撃するのが白血球の好中球と単球です。
単球は細菌などの異物をとらえて食べ(貪食作用)、消化し、異物の一部を細胞表面に抗原提示します。抗原提示とは「ここに敵がいるぞー!」と他の細胞に知らせ、応援部隊を呼ぶのです。そうすることで、この後の免疫反応につながっていきます。同じ白血球である好中球も貪食しますが、単球の方が多く、大きな細胞を貪食し、死んだ好中球も処理するのも単球です。
マクロファージ:単球が血管外に出るとマクロファージ になる
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白血球のうち、5%程度を占めます。単球は血管外へ出て、組織に入ると5倍もの大きさに膨らみ、マクロファージ (大食細胞)と呼ばれます。好中球よりはるかに長い貪食作用を持ち(死滅するまで数ヶ月)、単球同様、抗原提示にて応援部隊であるヘルパー細胞を活性化させるのです。
しかし貪食作用は万能ではなく、結核菌などの一部の菌は殺菌作用を阻害する物質を分泌するため、慢性的に感染した状態になります。エイズの原因ウイルスであるヒト免疫不全ウイルスは、ヘルパーT細胞とマクロファージそのものに入り込み、細胞間の物質交換作用を利用して細胞外に出ることなく増殖することで、免疫による除去を回避するとともに、これらの細胞の機能不全を起こすのです。
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