
簡単でわかりやすい!償うと贖うの違いとは?読み方や漢字の意味も現役塾講師が詳しく解説
1 (贖う)罪のつぐないをする。
(出典:コトバンク)
としています。「贖う」でその説明のために「つぐない」が使われているくらい、両者は意味の近い言葉ですので、「償う」も「贖う」も大まかな意味はどちらも同じで「相手に与えてしまった損害や損失に対する埋め合わせをすること」だと考えて大丈夫でしょう。
しかし、両者が与える細かいニュアンスには違いがあります。それは贖うの方が、宗教的イメージや重々しく厳かな印象を与えることです。そのような違いはどこから生まれるのか。今回はそれを解説していきたいと思います。
償うと贖うの漢字について
ここからは償うと贖うについて、それぞれの漢字などから細かい違いについて説明していきたいと思います。
「償」の漢字をわかりやすく説明!
「償」はにんべんと右側の「賞」という字で構成されていますよね。「賞」という漢字は「賞金」「賞品」といった、「仕事や功労」などの見かえりに対して使われますが、逆に、「人に与えた損害や損失」の見かえりを指し示すための言葉として生まれたのが「償」という字です。
私たちがふだん「償う」という言葉を想像するとき、金品で埋め合わせをすることよりも、罪と向き合って行動を悔い改めたり、罪の意識を抱えたまま生きていくことといったイメージを抱きがちではないかと思います。しかしこのように「償う」という言葉はもともと、相手に与えてしまった損害や損失の代わりに何かで埋め合わせをするといった意味が根底にあるのです。
「贖」の漢字をわかりやすく説明!
次は「贖」の漢字に着目したいと思います。この字は貝へんですが、漢字の生まれた中国では昔、お金の代わりに貝が使われていました。ですから、このように貝の使われている漢字は「財宝」の「財」や「貯金」の「貯」など、お金に関わるものが多いのが特徴です。
また、右側の「賣」は私たちが普段つかっている「売」という漢字の旧字体なので、「贖」という字は「貝」と「売」から構成されていることになります。「贖」とはこのような字ですから、「あがなう」という言葉の意味には、物を買い求める。つまり、物と物とをとりかえたり、何かを代償にしてものを手に入れるといった意味があります。
「償う」の意味が相手に与えてしまった損害や損失の代わりに何かで埋め合わせをすることだと説明しましたが、このように「贖」にも何かを代償にするという意味があるので、「あがなう」を「つぐなう」意味で使うようになったのかもしれません。
購入などの「購」も「あがなう」と読む
また、「あがなう」と読む漢字は「贖」だけではありません。私たちがふだん「購入」や「購買部」といった形で使う機会のある「購」の字も「購う」で「あがなう」と読むことができます。
ただし、「贖う」が罪をつぐなう意味で使われることに特化していったためでしょうか。「購う」という字にはそのような意味はなく、単に物を買う意味として「あがなう」と使います。
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