この記事では「科学」と「化学」の違いについてみていきます。このふたつ、どちらも「かがく」という読み方で、理系の分野でよく聞く言葉ですね。使い分けの難しい言葉ですが、違いはズバリ、理科系以外の範囲を含んでいるかいないかのようです。今回は、そんな学問に関するふたつの言葉の違いを、定義や英語表現も確認しながら、元教員ライターのことはと一緒に解説していきます。

ライター/ことは

元先生ライター。小・中・高の国語科教員免許をもつ。大学では国語と教育学を専門に勉強してきた。今回はこれまでさまざまな言葉に触れてきた経験を活かし、元教員の視点からふたつの言葉の違いについて解説していく。

科学と化学の違いとは?

image by iStockphoto

科学と化学は、どちらも「かがく」と読むので、区別があいまいになりがちです。どちらもさまざまな場面でよく聞く言葉ですが、実際に何が違うのか説明できる人は意外と少ないのではないでしょうか。

ふたつの違いを端的に言うと、理科系以外の学問分野を含んでいるかどうかです。それでは、さっそくふたつの言葉の違いを詳しくみていきましょう。

科学とは?

image by iStockphoto

科学という言葉は狭義と広義の意味をもち、どちらも一般的に使われています。狭義での科学は、自然科学を指していることが多く、これは理科に当たるものです。一方広義での科学は、観察や実験を通して実証された法則や知識の総称として使われます。

狭義の科学は広義の科学に含まれているので、ここでは広い意味での科学についてさらに詳しくみていきましょう。

科学の定義

科学とは、対象の観察や実験を通して得られた知識や法則の総称です。「科学」と言うと、理科室での実験を思い浮かべる人も多いかもしれませんが、実はそれは科学の中のひとつの側面にすぎません。細かく言うと、「科学」とは、対象についての認識・観察・理解・解釈・記述という一連の行為をまとめて指しているのです。

対象が何であっても一連の行為があれば科学になります。対象が自然であれば「自然科学」、対象がスポーツであれば「スポーツ科学」、対象が教育であれば「教育科学」になるのです。

科学の「科」の文字には「分類されたもの」「区分」という意味があります。ここからも、さまざまな事柄を観察や実験を通して体系化し細かく分類し法則を見つける科学の定義を読み解くことができますね。

科学の英語表現

科学という言葉は明治時代にscienceの訳語として作られた言葉です。したがって、科学の英語表現は「science」になります。scienceの語源は、ラテン語の「scientia」だと言われていて、このscientiaは広義では体系化された知識という意味で、狭義では自然科学という意味です。

\次のページで「化学とは?」を解説!/

化学とは?

image by iStockphoto

化学とは、簡単に言うと科学の中のひとつの部門です。理科の分野のひとつというイメージも強い化学ですが、ここでは化学について詳しくみていきましょう。

化学の定義

化学とは、物質の性質や、物質の間でおこる反応研究する学問の分野です。科学が観察や実験で得られる知識や法則の総称であったのに対し、化学はその中の一つの学問領域を指しているため、膨大な体系化された知識の総称である「科学」の中に、「化学」という分野が存在していると考えると分かりやすいでしょう。

化学の対象は「物質」で、物質単体のもつ性質や構造だけでなく、複数の物質の間でどのような反応や変化が起こるかを研究する学問です。

また化学の「化」という文字には、「別のものになる」「影響を及ぼす」という意味があります。ここからも、化学が物質同士が与える変化や影響を研究する学問であることが分かりますね。

化学の英語表現

化学の英語表現は「chemistry」です。chemistryの語源は錬金術という意味のアラビア語「alchemy(アルケミー)」だと言われています。中世の頃は文化的な面で西洋よりも中近東の方が進歩していて、化学的な文化についても他の地域よりも先進的でした。このような背景から、現在でも化学分野ではアラビア語が由来になっている言葉が多く使われています。

物理・生物との関係は?

化学と同じような位置づけで思い浮かべるものに、物理や生物がありますよね。ここでは、科学と化学それぞれとのふたつの関係をみていきましょう。

端的に言うと、物理・生物は化学と同じように科学の中に含まれます。科学は大きく「自然科学」「社会科学」「人文科学」の3つに区分され、化学・物理・生物はすべて科学の中でも「自然科学」に分類されるのです。ちなみに、他の「社会科学」の中には政治学や経済学、法学などが含まれ、「人文科学」の中には心理学や哲学、言語学が含まれています。

まとめると、観察や実験によって得られた知識や法則である「科学」の中の、「自然科学」という分野に、化学・物理・生物がさらに細かい学問領域として存在しているということです。

科学と化学の違いを理解して使い分けよう!

この記事では、科学と化学の違いについてみてきました。どちらも同様に「かがく」と読みますが、このふたつには明確な違いがありましたね。科学とは対象を観察し、実験することで得られた体系的な知識や法則の総称であり、この対象は何でもなりえるため、科学に含まれる範囲は理科系の学問領域に留まりません。一方で、化学は科学の中のひとつの学問領域であり、対象を物質に限定しより深く研究してく学問です。科学と化学はどちらを使うべきか迷うことも多い言葉ですが、今回紹介した違いをしっかり理解して正しく使い分けてみてください!

" /> 簡単で分かりやすい!科学と化学の違いとは?物理・生物との関係も元教員ライターが詳しく解説! – Study-Z
雑学

簡単で分かりやすい!科学と化学の違いとは?物理・生物との関係も元教員ライターが詳しく解説!

この記事では「科学」と「化学」の違いについてみていきます。このふたつ、どちらも「かがく」という読み方で、理系の分野でよく聞く言葉ですね。使い分けの難しい言葉ですが、違いはズバリ、理科系以外の範囲を含んでいるかいないかのようです。今回は、そんな学問に関するふたつの言葉の違いを、定義や英語表現も確認しながら、元教員ライターのことはと一緒に解説していきます。

ライター/ことは

元先生ライター。小・中・高の国語科教員免許をもつ。大学では国語と教育学を専門に勉強してきた。今回はこれまでさまざまな言葉に触れてきた経験を活かし、元教員の視点からふたつの言葉の違いについて解説していく。

科学と化学の違いとは?

image by iStockphoto

科学と化学は、どちらも「かがく」と読むので、区別があいまいになりがちです。どちらもさまざまな場面でよく聞く言葉ですが、実際に何が違うのか説明できる人は意外と少ないのではないでしょうか。

ふたつの違いを端的に言うと、理科系以外の学問分野を含んでいるかどうかです。それでは、さっそくふたつの言葉の違いを詳しくみていきましょう。

科学とは?

image by iStockphoto

科学という言葉は狭義と広義の意味をもち、どちらも一般的に使われています。狭義での科学は、自然科学を指していることが多く、これは理科に当たるものです。一方広義での科学は、観察や実験を通して実証された法則や知識の総称として使われます。

狭義の科学は広義の科学に含まれているので、ここでは広い意味での科学についてさらに詳しくみていきましょう。

科学の定義

科学とは、対象の観察や実験を通して得られた知識や法則の総称です。「科学」と言うと、理科室での実験を思い浮かべる人も多いかもしれませんが、実はそれは科学の中のひとつの側面にすぎません。細かく言うと、「科学」とは、対象についての認識・観察・理解・解釈・記述という一連の行為をまとめて指しているのです。

対象が何であっても一連の行為があれば科学になります。対象が自然であれば「自然科学」、対象がスポーツであれば「スポーツ科学」、対象が教育であれば「教育科学」になるのです。

科学の「科」の文字には「分類されたもの」「区分」という意味があります。ここからも、さまざまな事柄を観察や実験を通して体系化し細かく分類し法則を見つける科学の定義を読み解くことができますね。

科学の英語表現

科学という言葉は明治時代にscienceの訳語として作られた言葉です。したがって、科学の英語表現は「science」になります。scienceの語源は、ラテン語の「scientia」だと言われていて、このscientiaは広義では体系化された知識という意味で、狭義では自然科学という意味です。

\次のページで「化学とは?」を解説!/

次のページを読む
1 2
Share: