この記事では油揚げと厚揚げの違いについてみていきます。どちらもスーパーの豆腐売り場に並んでおり、日本人にとっては馴染みの深い食品です。見たところ2つの違いは厚さにあるようですが、違いは厚さだけではないようです。今回はそんな油揚げと厚揚げの違いや歴史、ほかの豆腐加工品について、大豆製品大好きライタaoと一緒に解説していきます。

ライター/ao

もともと大豆製品を好んで食べていたが、医者にたんぱく質不足を指摘され、毎日せっせと摂取しているライター。油揚げはまとめ買いして冷凍保存している。

油揚げと厚揚げの違いとは?

image by iStockphoto

油揚げと厚揚げは、どちらも豆腐から作られた食品で、油で揚げて作られます。厚さが違うのは一目瞭然ですが、中を見てみると、厚揚げは豆腐のような状態であるのに対し、油揚げはスポンジ状になっていますよね。同じ原料で同じように油で揚げているのに、どうしてこのような違いが生まれるのでしょうか。くわしくみていきましょう。

違いその1:揚げ方

厚揚げも油揚げも豆腐を揚げて作られるのですが、実は揚げ方が違うのです。厚揚げは、厚切りにした豆腐を油の中に浸さずに表面だけを揚げています。そのために外側はカラっとしていて中身は柔らかいままの状態に仕上がるのです。中まで十分に火を通さずに、中の豆腐が「生」の状態であることから、「生揚げ」とも呼ばれます。

一方の油揚げは、水切りして薄く切った豆腐を油の中に浸した状態で、中までしっかり火が通るように、2、3度揚げて作られたもの。そのために表面だけでなく、中身も揚がって空洞ができるのです。「 薄揚げ」や「寿司揚げ」とも呼ばれています。

違いその2:用途

油揚げは、味噌汁やうどんに入れたり、表面をカリッと焼いて和え物などに使用されます。そのほかに半分に切って袋状にし、中にすし飯を詰めていなりずしにしたり、お餅などの具材を入れた料理も定番です。一方の厚揚げは煮物や焼き物、炒め物などに使われることが多い食材ですよね。おでんの具としても人気です。表面を焼いて醤油をかけるだけでもおいしく食べられます。

違いその3:カロリー

厚揚げのカロリーは100gあたり150kcalであるのに対し、油揚げは中までしっかりと揚げているため100gあたり386kcalと高めです。ダイエット中の場合は、食べすぎに注意しましょう。どちらもたんぱく質をはじめ、カルシウム、鉄、ビタミンKなどの栄養素が豊富に含まれています。

油揚げ・厚揚げについてもっと詳しく!

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油揚げと厚揚げはどちらも豆腐から作られているということがわかりましたが、そもそも原料となる豆腐はどのように作られているのでしょう。また豆腐は日本で昔から食べられてきた食品ですが、油揚げと厚揚げはいつから食べられるようになったのでしょうか。ここからは、油揚げ・厚揚げについてさらにくわしくみていきましょう。

豆腐はどうやって作られる?

油揚げ・厚揚げには一般的に木綿豆腐が使用されます。木綿豆腐の原料は、大豆とにがりなどの凝固剤。大豆を一晩水につけて柔らかくした後に、水を加えてミキサーで粉砕します。この過程を経てできた液体が「生呉(なまご)」と呼ばれるものです。できあがった生呉を鍋で煮立てて「煮呉(にご)」にしたら、布を敷いたザルで濾して液体(豆乳)と固形物(おから)に分けます。

豆乳を再び温めて凝固剤を入れて固めたものが絹豆腐です。木綿豆腐は固めたものを一度崩してから木綿布を敷いた容器に入れ、重石をかけて水分を抜いて、押し固めて作られます。

油揚げ・厚揚げの歴史

中国が発祥の地とされている豆腐。諸説ありますが、日本へは奈良時代から平安時代にかけて、中国から遣唐使によって仏教とともに伝えられたようです。当時の豆腐は、寺院で僧侶が食べるもので、肉の代用品として精進料理に用いられていました。

室町時代末期には普及しており、この頃に豆腐を揚げて食べるようになったようです。しかし江戸時代初期までは油は高級品であったため、身分の高い一部の人々のみが食べられるものでした。江戸時代中期になって油の生産が増加し、庶民の間にも広まっていったようです。

どうして「きつね」なの?

油揚げを「きつね」と言ったり、狐は油揚げが好きと言いますが、本物の狐の好物はネズミなどの小動物です。狐は稲荷神の神使いとして古来より崇められてきました。農作物の天敵であるネズミを食べてくれることから、豊作を願ってネズミの天ぷらをお供えしていたのです。

しかし仏教が日本に伝来し、殺生は良くないという仏の教えから、ネズミの代わりに肉の代用品である豆腐を揚げた油揚げをお供えするようになりました。好物であったネズミの代わりということで、「油揚げは狐の好物」というイメージが定着し、油揚げを使った料理を「いなり」と呼ぶようになったようです。

油揚げ・厚揚げに似ている食べ物いろいろ

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スーパーの豆腐売り場へ行くと、油揚げと厚揚げ以外にも、豆腐から作られた食品が並んでいますよね。いくつかご紹介します。

・絹揚げ
一般的な厚揚げは木綿豆腐を揚げて作られるが、絹揚げは、絹豆腐を揚げて作られる。やわらかく滑らかな食感が特徴。
・焼き豆腐
硬めに作った木綿豆腐を水切りした後、炭火やガスなどで焼いて焼き目を付けたもの。崩れにくく、味がしみやすい。
・がんもどき
木綿豆腐を崩して水切りした後に、山芋をつなぎにして、ごぼうや人参、きくらげ、ごまなどを入れて攪拌して成形、油で揚げたもの。関西では「ひりょうず」や「ひろうす」と呼ばれている。
・凍り豆腐
豆腐を屋外で凍らせて乾かして作られる。高野山で生まれた「高野豆腐」と信州や東北地方で生まれた「凍み豆腐」の総称。

栄養たっぷりの油揚げ・厚揚げを食べよう

ここまで油揚げと厚揚げの違いについて解説してきました。どちらも栄養価の高い食品として広く知られている豆腐から作られているもので、見た目や食感の違いは揚げ方によるものだということがわかりましたね。原料が豆腐ですから当然この2つも栄養価が高く、油で揚げている分、豆腐よりボリュームがあって満足感が得られるのも特徴のひとつ。

昔はお肉の代用品として僧侶に食べられてきた油揚げと厚揚げですが、現在でもヴィーガン料理やベジタリアン料理でお肉の代用品としてさまざまな料理に使われています。普段お肉を食べる人も、お肉のかわりに利用することで、カロリーを抑えたお料理に仕上げることができますよ。お肉よりも手頃な価格で購入できるのも嬉しいですね。ぜひ工夫して活用してみてくださいね。

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雑学

簡単でわかりやすい!油揚げと厚揚げの違いとは?ほかの豆腐加工品についても大豆製品大好きライターが詳しく解説

この記事では油揚げと厚揚げの違いについてみていきます。どちらもスーパーの豆腐売り場に並んでおり、日本人にとっては馴染みの深い食品です。見たところ2つの違いは厚さにあるようですが、違いは厚さだけではないようです。今回はそんな油揚げと厚揚げの違いや歴史、ほかの豆腐加工品について、大豆製品大好きライタaoと一緒に解説していきます。

ライター/ao

もともと大豆製品を好んで食べていたが、医者にたんぱく質不足を指摘され、毎日せっせと摂取しているライター。油揚げはまとめ買いして冷凍保存している。

油揚げと厚揚げの違いとは?

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油揚げと厚揚げは、どちらも豆腐から作られた食品で、油で揚げて作られます。厚さが違うのは一目瞭然ですが、中を見てみると、厚揚げは豆腐のような状態であるのに対し、油揚げはスポンジ状になっていますよね。同じ原料で同じように油で揚げているのに、どうしてこのような違いが生まれるのでしょうか。くわしくみていきましょう。

違いその1:揚げ方

厚揚げも油揚げも豆腐を揚げて作られるのですが、実は揚げ方が違うのです。厚揚げは、厚切りにした豆腐を油の中に浸さずに表面だけを揚げています。そのために外側はカラっとしていて中身は柔らかいままの状態に仕上がるのです。中まで十分に火を通さずに、中の豆腐が「生」の状態であることから、「生揚げ」とも呼ばれます。

一方の油揚げは、水切りして薄く切った豆腐を油の中に浸した状態で、中までしっかり火が通るように、2、3度揚げて作られたもの。そのために表面だけでなく、中身も揚がって空洞ができるのです。「 薄揚げ」や「寿司揚げ」とも呼ばれています。

違いその2:用途

油揚げは、味噌汁やうどんに入れたり、表面をカリッと焼いて和え物などに使用されます。そのほかに半分に切って袋状にし、中にすし飯を詰めていなりずしにしたり、お餅などの具材を入れた料理も定番です。一方の厚揚げは煮物や焼き物、炒め物などに使われることが多い食材ですよね。おでんの具としても人気です。表面を焼いて醤油をかけるだけでもおいしく食べられます。

違いその3:カロリー

厚揚げのカロリーは100gあたり150kcalであるのに対し、油揚げは中までしっかりと揚げているため100gあたり386kcalと高めです。ダイエット中の場合は、食べすぎに注意しましょう。どちらもたんぱく質をはじめ、カルシウム、鉄、ビタミンKなどの栄養素が豊富に含まれています。

油揚げ・厚揚げについてもっと詳しく!

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油揚げと厚揚げはどちらも豆腐から作られているということがわかりましたが、そもそも原料となる豆腐はどのように作られているのでしょう。また豆腐は日本で昔から食べられてきた食品ですが、油揚げと厚揚げはいつから食べられるようになったのでしょうか。ここからは、油揚げ・厚揚げについてさらにくわしくみていきましょう。

豆腐はどうやって作られる?

油揚げ・厚揚げには一般的に木綿豆腐が使用されます。木綿豆腐の原料は、大豆とにがりなどの凝固剤。大豆を一晩水につけて柔らかくした後に、水を加えてミキサーで粉砕します。この過程を経てできた液体が「生呉(なまご)」と呼ばれるものです。できあがった生呉を鍋で煮立てて「煮呉(にご)」にしたら、布を敷いたザルで濾して液体(豆乳)と固形物(おから)に分けます。

豆乳を再び温めて凝固剤を入れて固めたものが絹豆腐です。木綿豆腐は固めたものを一度崩してから木綿布を敷いた容器に入れ、重石をかけて水分を抜いて、押し固めて作られます。

油揚げ・厚揚げの歴史

中国が発祥の地とされている豆腐。諸説ありますが、日本へは奈良時代から平安時代にかけて、中国から遣唐使によって仏教とともに伝えられたようです。当時の豆腐は、寺院で僧侶が食べるもので、肉の代用品として精進料理に用いられていました。

室町時代末期には普及しており、この頃に豆腐を揚げて食べるようになったようです。しかし江戸時代初期までは油は高級品であったため、身分の高い一部の人々のみが食べられるものでした。江戸時代中期になって油の生産が増加し、庶民の間にも広まっていったようです。

どうして「きつね」なの?

油揚げを「きつね」と言ったり、狐は油揚げが好きと言いますが、本物の狐の好物はネズミなどの小動物です。狐は稲荷神の神使いとして古来より崇められてきました。農作物の天敵であるネズミを食べてくれることから、豊作を願ってネズミの天ぷらをお供えしていたのです。

しかし仏教が日本に伝来し、殺生は良くないという仏の教えから、ネズミの代わりに肉の代用品である豆腐を揚げた油揚げをお供えするようになりました。好物であったネズミの代わりということで、「油揚げは狐の好物」というイメージが定着し、油揚げを使った料理を「いなり」と呼ぶようになったようです。

油揚げ・厚揚げに似ている食べ物いろいろ

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スーパーの豆腐売り場へ行くと、油揚げと厚揚げ以外にも、豆腐から作られた食品が並んでいますよね。いくつかご紹介します。

・絹揚げ
一般的な厚揚げは木綿豆腐を揚げて作られるが、絹揚げは、絹豆腐を揚げて作られる。やわらかく滑らかな食感が特徴。
・焼き豆腐
硬めに作った木綿豆腐を水切りした後、炭火やガスなどで焼いて焼き目を付けたもの。崩れにくく、味がしみやすい。
・がんもどき
木綿豆腐を崩して水切りした後に、山芋をつなぎにして、ごぼうや人参、きくらげ、ごまなどを入れて攪拌して成形、油で揚げたもの。関西では「ひりょうず」や「ひろうす」と呼ばれている。
・凍り豆腐
豆腐を屋外で凍らせて乾かして作られる。高野山で生まれた「高野豆腐」と信州や東北地方で生まれた「凍み豆腐」の総称。

栄養たっぷりの油揚げ・厚揚げを食べよう

ここまで油揚げと厚揚げの違いについて解説してきました。どちらも栄養価の高い食品として広く知られている豆腐から作られているもので、見た目や食感の違いは揚げ方によるものだということがわかりましたね。原料が豆腐ですから当然この2つも栄養価が高く、油で揚げている分、豆腐よりボリュームがあって満足感が得られるのも特徴のひとつ。

昔はお肉の代用品として僧侶に食べられてきた油揚げと厚揚げですが、現在でもヴィーガン料理やベジタリアン料理でお肉の代用品としてさまざまな料理に使われています。普段お肉を食べる人も、お肉のかわりに利用することで、カロリーを抑えたお料理に仕上げることができますよ。お肉よりも手頃な価格で購入できるのも嬉しいですね。ぜひ工夫して活用してみてくださいね。

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