この記事では「反論」と「反駁(はんばく)」の違いについてみていきます。非常に意味の似通っている二つの言葉。使い分けに迷う人もいて当然でしょう。今回はその違いについて、国語の講師でもある空野キノコと一緒に解説していきます。

ライター/空野きのこ

早稲田大学在学中から文学や教育について本格的に学び、現在は小中学生に勉強を教えている講師。その知識と経験を活かし、言葉の雑学を中心に分かりやすく解説していく。

反論と反駁のざっくりした違いは?

image by iStockphoto

「反論」と「反駁」の意味はとても似通っていて、「反駁」にいたっては字の難しさから読み方すらわからないという方も少なくないでしょう。本記事では、非常にややこしい「反論」と「反駁」を読み方や漢字の意味からわかりやすく説明していきたいと思います。まずは、両者のざっくりとした違いを見ていきましょう。

反駁は「はんばく」と読む

反駁は「はんばく」と読みます。ビジネスにおける議論やディベートなどに関わる言葉ですので、ふだん暮らしているなかで接する機会はおそらくほとんどないでしょう。

反論:相手の意見に対し、反対の意見を言うこと

「反論」に関しては、わたしが説明するより前から、すでに多くの人が使ったことのある言葉だと思いますが、他人の言った意見・持論・批判などに対して単に反対の意見を言うことを言います。

反駁:議論の飛び交う中で相手の意見に対し、反論すること

「反駁」についてはあまりなじみのない人の方が多いでしょうから、例えばコトバンクのデジタル大辞泉では意味をどのように解説しているか見てみると、

[名]他人の主張や批判に対して論じ返すこと。反論。

(出典:コトバンク)

\次のページで「反駁のより詳しい意味」を解説!/

としています。説明にも「反論」と書かれていることから、両者の意味はほぼ同じように思えますよね?しかし、「反駁」と「反論」には微妙なニュアンスの違いがあるのです。

それは「議論が飛び交っている中」というシチュエーションにあるかどうか。会議やディベートなど、活発な議論の起きている場での反論のことを「反駁」と言います。

かといって、必ずしもそれを「反駁」と言わなければならないわけではなく、「反論」と呼んでも問題にされることはないでしょう。

逆に、たとえ会議やディベートといったシチュエーションだったとしても、議論が盛り上がらず、誰かが言った意見に対して単発の反論だけで終わってしまった場合などに「反駁」という言葉を使うのは、日本語としては違和感を与えてしまうかもしれません。

反駁のより詳しい意味

先ほども言ったように反駁という言葉は多くの人にとってあまり馴染みがない言葉だと思うので、ここからは反駁についてさらに詳しく知っていくことで、反論との違いについての理解をより深めてもらいたいと思います。

「駁」という漢字の意味

image by iStockphoto

まずは反駁の「駁」という漢字について深堀りしたいと思います。

「駁」の字は左側に馬へんがあるとおり、元々は馬に関する文字です。カタカナの「メ」が縦にふたつ重なったような右側は「交差している線」を表していて、その線が入り混じっている様子から「混じる」意味を持っています。つまり「駁」という字は元々、馬の毛がまだらな様子を表す文字であり、訓読みでは「ぶち」や「まだら」といった毛の生えかたを表す読み方もするのです。

また、お互いに反対意見を言い合う議論のようすを、複雑に入りまじる毛に見たてたのでしょうか。「駁す(バクす)」という言葉だけでも「反論する」といった意味を持つようになりました。そのため「反駁」は単なる「反論」よりも、反論につぐ反論というような白熱した議論の中でされる反論を指し示すイメージがあるのかもしれませんね。

の漢字には入り混じるまだらといった意味があります。

\次のページで「反駁の注意点」を解説!/

反駁の注意点

image by iStockphoto

反駁はその意味から、ビジネスにおける会議やディベートに非常に関わりのある言葉で、特にディベートにおいては議論の流れを説明する際など、専門用語的に使われています。

しかし日本語としては「反論」よりも、より攻撃的なニュアンスを持っているので、肯定側と否定側に分かれることが前提となっているディベートにおいて使う分には何も問題ありませんが、ビジネスにおける会議などでは反駁を使うのを避け、「反論」「異論」「異議」などで言いかえた方が無難な場合があるので気をつけましょう。

反論と反駁の違いは活発な議論かどうか

「反論」と「反駁」の違いのポイントは、活発な議論の中でされた反論かどうかです。「反駁」は普段生活をする上では関わりの薄い言葉ですし、「駁」の字は一般生活で使う基準とされている常用漢字ではないので、特別な事情でもないかぎり、自分で使うぶんには「反論」を使うのが無難でしょう。

" /> 簡単でわかりやすい!反論と反駁の違いとは?反駁の読み方や漢字の意味も現役塾講師がわかりやすく解説 – Study-Z
雑学

簡単でわかりやすい!反論と反駁の違いとは?反駁の読み方や漢字の意味も現役塾講師がわかりやすく解説

この記事では「反論」と「反駁(はんばく)」の違いについてみていきます。非常に意味の似通っている二つの言葉。使い分けに迷う人もいて当然でしょう。今回はその違いについて、国語の講師でもある空野キノコと一緒に解説していきます。

ライター/空野きのこ

早稲田大学在学中から文学や教育について本格的に学び、現在は小中学生に勉強を教えている講師。その知識と経験を活かし、言葉の雑学を中心に分かりやすく解説していく。

反論と反駁のざっくりした違いは?

image by iStockphoto

「反論」と「反駁」の意味はとても似通っていて、「反駁」にいたっては字の難しさから読み方すらわからないという方も少なくないでしょう。本記事では、非常にややこしい「反論」と「反駁」を読み方や漢字の意味からわかりやすく説明していきたいと思います。まずは、両者のざっくりとした違いを見ていきましょう。

反駁は「はんばく」と読む

反駁は「はんばく」と読みます。ビジネスにおける議論やディベートなどに関わる言葉ですので、ふだん暮らしているなかで接する機会はおそらくほとんどないでしょう。

反論:相手の意見に対し、反対の意見を言うこと

「反論」に関しては、わたしが説明するより前から、すでに多くの人が使ったことのある言葉だと思いますが、他人の言った意見・持論・批判などに対して単に反対の意見を言うことを言います。

反駁:議論の飛び交う中で相手の意見に対し、反論すること

「反駁」についてはあまりなじみのない人の方が多いでしょうから、例えばコトバンクのデジタル大辞泉では意味をどのように解説しているか見てみると、

[名]他人の主張や批判に対して論じ返すこと。反論。

(出典:コトバンク)

\次のページで「反駁のより詳しい意味」を解説!/

次のページを読む
1 2 3
Share: