寺などで仏像を見る機会があると思うが、その仏像が「如来」か「菩薩」どちらなのか判断できるか?何が違うのかわからない人も多いでしょう。今回は「如来」と「菩薩」の違いや特徴について学芸員ライターkuroakaと一緒に解説していきます。

ライター/kuroaka

物館・美術館好きで学芸員の資格を持つWebライター。お寺巡りも好きで、最近だと「南無阿弥陀仏」を口から出している空也上人像を拝みに京都まで足を運んだ。

「如来」と「菩薩」の違いをざっくり説明

image by iStockphoto

如来と菩薩、その違いはずばり「位の高さ」です。如来が最高位、菩薩は如来の次の位になります。他にどのような位があるのでしょうか。仏像の位について詳しく解説していきます。

仏像の位は4つある

仏像の位は大きく分けて4つあります。位がある理由は仏教では悟りを開いて真理に触れることが非常に重要とされており、その悟りに近い者が上位だとするためです。4つの位は以下の通り。

1.如来(にょらい)
2.菩薩(ぼさつ)
3.明王(みょうおう)
4.天部(てんぶ)

それぞれの特徴についてみていきましょう。

如来:悟りを開いた姿

「如来」とは真理に目覚め悟りを開いた者という意味です。なので仏像の中で最高位となります。如来の役割は人々を苦痛や業から解き放ち、死後は浄土への縁を結ぶことです。見た目は冠やアクセサリーなど身につけていない、簡素な姿であることが多いのが特徴となります。

菩薩:悟りを開く前の姿

「菩薩」は現在修行中の仏像で修行しながら人々を救済しています。出家前で王子だった釈迦の姿を表していると言われるため、冠やアクセサリーを身につけていることが多いです。この姿は物欲を捨てきれていない心の表れとも言われています。

明王:如来の化身

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大日如来の使者もしくは化身と言われています。大日如来については後ほど詳しく説明しますね。「明王」は怒った顔をしており、目を吊り上げ牙をむいているのが特徴。これは大日如来の言うことを聞かない者も含め、全ての人を仏教の道に導こうとしているためです。

天部:仏教界の守護神

仏教世界と仏法を守護する役割の「天部」。バラモン教やヒンズー教など他の宗教の神々が仏教に取り入れられて誕生しました。そのため女性や動物の顔の者など、多くの種類がおりバラエティー豊かです。七福神で知られる大黒天、弁財天はこの天部にあたります。

\次のページで「「如来」の種類は?」を解説!/

「如来」の種類は?

仏像の4つの位が分かったところで、如来や菩薩の中でどのような種類があるのか気になりませんか?そこで如来・菩薩の種類と特徴をいくつか紹介していきます。如来については代表的な種類4つの紹介です。

1.釈迦如来(しゃかにょらい)

人々をあらゆる苦悩から救い、人生の安らぎの道に導いてくれる仏です。仏教を開いた釈迦(ゴータマ・シッダールタ)が悟りを開いた姿ともいわれます。

2.薬師如来(やくしにょらい)

病が存在しない清らかな浄土「東方浄瑠璃浄土」を開いたとされる仏です。病気を治し心身の健康を守ってくれます。万病に効く薬壺を持ってるのが特徴です。

3.阿弥陀如来(あみだにょらい)

「西方極楽浄土」を開いたとされる仏です。「南無阿弥陀仏」と唱えるとすぐに駆けつけてくれると言われています。浄土宗・浄土真宗のご本尊であり、鎌倉の大仏で有名です。

4.大日如来(だいにちにょらい)

すべての命の源で宇宙の中心に鎮座する仏です。密教のご本尊であり、日本では天照大神と同一視されることもあります。きらびやかなアクセサリーなどで身を包んでいるため、他と比べて見分けがつきやすい仏像です。

「菩薩」の種類は?

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菩薩は修行中の位だと説明しました。その中で悟りを開き成仏して如来になる者と、成仏はせずに修行を続けながら人々の救済を続ける者、2つに分かれます。ここでは3つ種類の菩薩についてみていきましょう。

\次のページで「1.観音菩薩(かんのんぼさつ)」を解説!/

1.観音菩薩(かんのんぼさつ)

観音とは「人々の声を聞き分けて観察する」という意味。世の中の声を聞き、救いを求める人は救うため相手の願いに合わせて33種類の姿に変身します。

2.弥勒菩薩(みろくぼさつ)

釈迦の死後56億7000万年後に如来となって現世に現れ、釈迦が救えなかった人々を救済すると言われる者です。いわば釈迦の後継者。菩薩の未来形の姿である如来像があるのは菩薩で唯一弥勒菩薩だけです。

3.地蔵菩薩(じぞうぼさつ)

釈迦の死後から弥勒菩薩が現世に現れるまでの間、ピンチヒッターとして人々を救済する役割を担う菩薩です。道にあるお地蔵様はこの地蔵菩薩のこと。日本では子どもの守り神としても信じられていることもあり、よく子どもが喜ぶお菓子が供えられています。

「如来」と「菩薩」の違いは位の順序

「如来」は最高位で悟りを開いているもの。「菩薩」は如来に次ぐ位で、悟りを開くために修行中のもの。以上のことがわかりました。どちらも人々を救ってくださるありがたい存在であることは間違いありません。これから出会う仏像が如来なのか菩薩なのか、どんな特徴を持つものなのか見ていくとおもしろそうですね。

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3分で簡単にわかる!「如来」と「菩薩」の違いとは?仏像の位・特徴や種類まで学芸員ライターがわかりやすく解説

寺などで仏像を見る機会があると思うが、その仏像が「如来」か「菩薩」どちらなのか判断できるか?何が違うのかわからない人も多いでしょう。今回は「如来」と「菩薩」の違いや特徴について学芸員ライターkuroakaと一緒に解説していきます。

ライター/kuroaka

物館・美術館好きで学芸員の資格を持つWebライター。お寺巡りも好きで、最近だと「南無阿弥陀仏」を口から出している空也上人像を拝みに京都まで足を運んだ。

「如来」と「菩薩」の違いをざっくり説明

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如来と菩薩、その違いはずばり「位の高さ」です。如来が最高位、菩薩は如来の次の位になります。他にどのような位があるのでしょうか。仏像の位について詳しく解説していきます。

仏像の位は4つある

仏像の位は大きく分けて4つあります。位がある理由は仏教では悟りを開いて真理に触れることが非常に重要とされており、その悟りに近い者が上位だとするためです。4つの位は以下の通り。

1.如来(にょらい)
2.菩薩(ぼさつ)
3.明王(みょうおう)
4.天部(てんぶ)

如来:悟りを開いた姿

「如来」とは真理に目覚め悟りを開いた者という意味です。なので仏像の中で最高位となります。如来の役割は人々を苦痛や業から解き放ち、死後は浄土への縁を結ぶことです。見た目は冠やアクセサリーなど身につけていない、簡素な姿であることが多いのが特徴となります。

菩薩:悟りを開く前の姿

「菩薩」は現在修行中の仏像で修行しながら人々を救済しています。出家前で王子だった釈迦の姿を表していると言われるため、冠やアクセサリーを身につけていることが多いです。この姿は物欲を捨てきれていない心の表れとも言われています。

明王:如来の化身

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大日如来の使者もしくは化身と言われています。大日如来については後ほど詳しく説明しますね。「明王」は怒った顔をしており、目を吊り上げ牙をむいているのが特徴。これは大日如来の言うことを聞かない者も含め、全ての人を仏教の道に導こうとしているためです。

天部:仏教界の守護神

仏教世界と仏法を守護する役割の「天部」。バラモン教やヒンズー教など他の宗教の神々が仏教に取り入れられて誕生しました。そのため女性や動物の顔の者など、多くの種類がおりバラエティー豊かです。七福神で知られる大黒天、弁財天はこの天部にあたります。

\次のページで「「如来」の種類は?」を解説!/

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