この記事ではかつおだしの栄養についてみていきます。かつおだしと言えば、和食で使用するスタンダードなだしで、身近な存在です。しかし、便利な現代では実際にかつおだしを取ったことのない人や出汁のことをよく知らない人も多そうです。また、おいしさの決め手となるうま味が豊富なことで知られているかつおだしですが、どのような栄養が含まれているのかも見ていこう。
今回はかつおだしの栄養や特徴について管理栄養士のミサキと一緒に解説していきます。

ライター/ミサキ

給食施設で働く現役管理栄養士。おいしい食事とおやつを食べることが生きがい。仕事でたびたびかつおだしをとっている。家での料理では粉末タイプのかつおだしが欠かせない。

かつおだしとは

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かつおだしとは、その名の通りかつお節からとっただしのことをいいます。さまざまな和食メニューで使用されることが多く、特にだしをそのまま使用する味噌汁やすまし汁では欠かせない存在です。

かつおだしは日本特有のだしの1つで、フランス料理の’ブイヨン’や中国の’タン’と違って油っぽさがなくさっぱりしているのにうまみが深いことから海外からも注目されています。

基本のかつおだし

基本のかつおだしの取り方は、3ステップで簡単です。お湯を沸騰させて火を止めてからかつお節を入れます。数分おいてから、かつお節を取り出せば完成です。水1Lに対してかつお節は30g程度がよいでしょう。鍋にザルをかましたり茶こしなどを使用したりして、かつお節をこせばかつおだしの完成です。

うま味はかつおだしの最大の特徴

かつおだしには、うま味成分のイノシン酸が豊富です。イノシン酸はカツオはじめ、魚や肉に多く含まれています。

うま味は、基本味(きほんあじ)の1つで、味覚の基本的な要素の1つです。基本味は、甘味・塩味・酸味・苦み・うま味の5つからなっており、その中でもうま味が重要な役割をしています。うま味がこれ以外の4つの基本味を増強させる効果があるためです。

更に、うま味成分を2種類以上合わせると、相乗効果でうま味をより強く感じるようになります。かつお節のうま味成分「イノシン酸」と昆布のうま味成分「グルタミン酸」も、かけ合わせることでよりうま味を感じやすくなるので、合わせ出汁として使用することがおすすめです。

かつおだしの栄養

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「基本のかつおだし」からも分かる通り、かつおだしはほとんどが水分です。しかし栄養がないわけではありません。かつお節から抽出されたミネラルとビタミンを含んでいます。

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1.かつおだしは99.3%が「水分」

かつおだしはかつおのエキスだけ抽出しているのでカツオをそのまま食べるわけではないことから、99.3%が水分となっています。飲みすぎることでの健康への心配はほとんどありません。

2.かつおだしには「ミネラル」と「ビタミン」も含まれている

かつおだしにはミネラルと水溶性のビタミンを幅広く含んでいます。少量とはいえ、さまざまなミネラルとビタミンが含まれているのは嬉しいですよね。かつお節は魚類のカツオを加工・乾燥させたものです。かつお節に含まれている栄養がだしに抽出されて、うま味だけでなく栄養も溶け出しています。

かつおだしの効能

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かつおだしには様々な効能が期待されていて、そのことも注目を集める要因となっています。具体的にどのような効能があるのか見ていきましょう。

その1.疲労回復に効果あり

かつおだしの効能は血流改善や疲労回復です。かつお節に含まれているアンセリンには疲労回復効果があり、EPAやDHAは血液をサラサラにして血流を改善し生活習慣病の予防にも役立ちます。それらが溶け出したかつおだしにも同じように疲労回復や血流改善の効果があるということです。

また、温かいかつおだしで作った味噌汁などで身体を温めることでも、血流促進や冷えの改善につながります。

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その2.ダイエット効果もあり!

かつおだしに含まれているヒスタミンはアミノ酸の一種で、食欲をおさえ脂肪燃焼効果がありダイエット効果が期待できます。ダイエットに和食がいいというのは聞きますが、さっぱりしたものが多くカロリーが抑えられることだけでなく、だしを活用するメニューが多いことも要因でしょう。

ダイエットで食事を抜くことはせずに、味噌汁やすまし汁などかつおだしを使ったスープを飲んでダイエットに役立ててください。

その3.イノシン酸は美容効果にも期待

うま味成分としてご紹介したイノシン酸ですが、新陳代謝を促す効果もあります。髪の毛や肌の再生を助けることから、美容にも効果的です。また風邪をひきにくくする効果もあります。イノシン酸は食べ物をおいしくするだけでなく、肌の調子や体調を整えてくれる優れものだったのですね。

かつおだしを使用するときの注意点は?

かつおだしはほとんどが水分であることから、かつおだし自体には栄養の取りすぎの心配はありませんが、気を付ける点もあります。

1.飲みすぎると良くない?

かつおだし自体は飲みすぎても問題になることはないですが、かつおだしは塩や醤油、味噌などで味付けして使用することがほとんど。そうなると、塩分の取りすぎには注意が必要です。

しかし、だしを使用することで、うま味によって塩分濃度が低くても塩分を感じやすくなります。塩分の取りすぎを防ぐことにもつながるので、だしやだしの相乗効果を活用してみてください。

また、いくらだしを活用しても汁物の飲みすぎには注意が必要です。汁物は毎食1杯ほどにしましょう。どうしても汁物を多めに取りたい方や高血圧などで塩分を控えなくてはならない方は、塩分を控えめに作られた調味料の活用や具沢山にして汁の量を少なくするのも効果的です。

2.かつおだしのアレルギーってあるの?

かつおだしがアレルギーになることは基本的にはありません魚アレルギーであってもかつおだしやかつお節を食べられることがほとんどです。どなたでも安心して食べることができます。

かつお節を食べて具合が悪くなった時に考えられるのが「ヒスタミン中毒」です。しかし、国産のかつお節でヒスタミン中毒になることはないですし、かつお節やかつおだしを食べすぎることも普通の食生活上ではありません。

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3.赤ちゃんはいつから食べられる?

かつおだしは離乳食初期の5カ月頃から使用できます。ビタミンやミネラルが含まれているので、かつおだしを離乳食で使うことはおすすめです。

ただし、大人が使うだしを半分くらい水で薄めると良いでしょう。離乳食初期では調味料を使わずに素材の味や香りを味わうことが大切ですが、かつおだしが素材のうま味を引き出すのに活躍します。はじめは少量あげて、様子を見てから使用してください。

疲労回復効果のあるかつおだしを使って元気に生活しよう!

かつお節の栄養や効能について分かりました。いつも何となく使用していたかつおだしは、食事をおいしくするための重要な役割がありましたね。それだけでなく疲労回復やダイエット、美容にも効果が期待できるのは嬉しいことです。汁物を飲みすぎて塩分の取りすぎにはならないように注意しながら、さまざまな和食メニューでかつおだしを活用してみてほしいと思います。

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家庭科

簡単!かつおだしを活用して健康になろう!栄養や効能を管理栄養士がわかりやすく解説

この記事ではかつおだしの栄養についてみていきます。かつおだしと言えば、和食で使用するスタンダードなだしで、身近な存在です。しかし、便利な現代では実際にかつおだしを取ったことのない人や出汁のことをよく知らない人も多そうです。また、おいしさの決め手となるうま味が豊富なことで知られているかつおだしですが、どのような栄養が含まれているのかも見ていこう。
今回はかつおだしの栄養や特徴について管理栄養士のミサキと一緒に解説していきます。

ライター/ミサキ

給食施設で働く現役管理栄養士。おいしい食事とおやつを食べることが生きがい。仕事でたびたびかつおだしをとっている。家での料理では粉末タイプのかつおだしが欠かせない。

かつおだしとは

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かつおだしとは、その名の通りかつお節からとっただしのことをいいます。さまざまな和食メニューで使用されることが多く、特にだしをそのまま使用する味噌汁やすまし汁では欠かせない存在です。

かつおだしは日本特有のだしの1つで、フランス料理の’ブイヨン’や中国の’タン’と違って油っぽさがなくさっぱりしているのにうまみが深いことから海外からも注目されています。

基本のかつおだし

基本のかつおだしの取り方は、3ステップで簡単です。お湯を沸騰させて火を止めてからかつお節を入れます。数分おいてから、かつお節を取り出せば完成です。水1Lに対してかつお節は30g程度がよいでしょう。鍋にザルをかましたり茶こしなどを使用したりして、かつお節をこせばかつおだしの完成です。

うま味はかつおだしの最大の特徴

かつおだしには、うま味成分のイノシン酸が豊富です。イノシン酸はカツオはじめ、魚や肉に多く含まれています。

うま味は、基本味(きほんあじ)の1つで、味覚の基本的な要素の1つです。基本味は、甘味・塩味・酸味・苦み・うま味の5つからなっており、その中でもうま味が重要な役割をしています。うま味がこれ以外の4つの基本味を増強させる効果があるためです。

更に、うま味成分を2種類以上合わせると、相乗効果でうま味をより強く感じるようになります。かつお節のうま味成分「イノシン酸」と昆布のうま味成分「グルタミン酸」も、かけ合わせることでよりうま味を感じやすくなるので、合わせ出汁として使用することがおすすめです。

かつおだしの栄養

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「基本のかつおだし」からも分かる通り、かつおだしはほとんどが水分です。しかし栄養がないわけではありません。かつお節から抽出されたミネラルとビタミンを含んでいます。

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