この記事でアッサムとダージリンの違いについてみていきます。どちらも紅茶の種類ですが、普段紅茶を飲まない人でもこの2つの言葉を耳にしたことはあるでしょう。紅茶は世界中で飲まれているお茶の1つで、種類もたくさんありますが、どのような違いがあるのでしょうか。今回はアッサムとダージリンを中心に、他の紅茶の種類なども紅茶好きライターaoと一緒に解説していきます。

ライター/ao

小学生の時に友達の影響で紅茶の虜になって以来、ずっと愛飲しているライター。アールグレイが好き。

アッサムとダージリンの違いとは

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アッサムとはインドの北東部、アッサム地方で栽培されている茶葉の総称で、ダージリンとはインドの北東部、ダージリン地方で栽培されている茶葉の総称です。インド北東部はヒマラヤ山脈の南東に位置し、熱帯モンスーン気候のため、年間を通して雨量が多いのが特徴。2つの茶葉にはどのような違いがあるのか詳しくみていきましょう。

違いその1.産地と種類

アッサムの産地であるアッサム地方はインド北東部に位置する78,000㎢の広大な平野で、1823年に発見された野生の茶樹(ちゃじゅ)であるアッサム種が主に栽培されています。インド紅茶の半分以上はアッサム地方で作られており、世界最大の生産量です。雨量が多く、多湿な環境が深みと渋み、色を生み出しています。

一方のダージリンが栽培されているダージリン地方はインド西ベンガル州の北に位置するヒマラヤ山麓、標高約2300m近くある高原地帯で、19世紀後半に中国福建省から耐寒性のある緑茶種の種や苗木が持ち込まれ、紅茶として栽培されるようになりました。

現在ではアッサム種と中国種を交配させた品種が主に栽培されており、昼夜の寒暖差で発生する霧によって、独特の香りと味が生み出されます。

違いその2.風味

アッサムは濃厚な味わいと芳醇な香りが特徴で、コクがあり、深みのある渋みをもっています。ミルクと混ぜても風味が損なわれないので、ミルクティーやチャイとして飲まれることが多い茶葉です。

一方のダージリンは、マスカットフレーバーと呼ばれるマスカットに似た爽やかで気品のある香りが特徴で、落ち着いた渋みが楽しめることもあり、ストレートティーで愛飲されます。ダージリンは世界三大紅茶のひとつで「紅茶のシャンパン」とも呼ばれている茶葉です。

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収穫時期によって異なる風味と味わい

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アッサム、ダージリンともに良質な茶葉が収穫時期を「クオリティシーズン」といい、クオリティシーズンの中でも時期により、「ファーストフラッシュ」「セカンドフラッシュ」「オータムナル」の3つに分類され、風味の異なる茶葉が収穫されます。それぞれの特徴をみていきましょう。

ファーストフラッシュ:春摘み

収穫期の最初に摘まれる茶葉をファーストフラッシュ(春摘み、一番摘み)といいます。摘み取り時期は3~4月。味にクセがなく、アッサムはさわやかな香りと程よいコクが特徴。ダージリンは若々しくさわやかで緑茶のような香味が日本人にも好まれ、和菓子などにも合うといわれています。アッサム、ダージリンともに香りを活かしてストレートティーで飲まれることが多いです。

セカンドフラッシュ:夏摘み

ファーストフラッシュから少し時間をおいて5~6月に収穫される茶葉をセカンドフラッシュ(夏摘み、二番摘み)といいます。一番の旬の時期といわれており、葉が成熟することによってコクが生まれるのです。アッサムは独特の強いコクと芳醇な香りを楽しむことができます。

ダージリンもマスカットフレーバーと呼ばれる深みのある芳醇な香りとコク、渋みがあり、ダージリンの中でも最高級品として扱われるのがセカンドフラッシュです。

オータムナル:秋摘み

10~11月頃に収穫される秋摘みの茶葉をオータムナル、オータムフラッシュといいます。コクと甘味がまろやかになり、渋みが少なく、落ち着いた香りが特徴です。ミルクティーに合うとされています。

紅茶の製法いろいろ

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アッサムはミルクティーとして飲まれることの多い紅茶で、アッサムの多くはミルクティー向きの製法である「CTC製法」で加工されます。一方のダージリンに用いられるのは「オーソドックス製法」と呼ばれる製法。オーソドックス製法には、「フルリーフ」と「ブロークン」という2つのグレードがあります。それぞれの特徴についてくわしくみていきましょう。

\次のページで「CTC製法:つぶして引き裂いて丸める」を解説!/

CTC製法:つぶして引き裂いて丸める

アッサムの90%がCTC製法で加工されています。CRUSH(つぶす)、TEAR(引き裂く)、CURL(丸める)という加工で、細かい粒状の茶葉で風味や味わいが短時間で抽出できるので、ティーバッグ用やブレンド用、そしてミルクティーに適した製法です。インド国内ではチャイとして親しまれています。

フルリーフ:そのまま残す

収穫した茶葉の形をそのまま残し、撚って仕上げたものをフルリーフやホールリーフといいます。香りが良く、繊細でまろやかな味を楽しむことができる製法です。ポットで3~5分前後蒸らして抽出することで、味をしっかりと引き出すことができます。茶葉の良さが活かせるストレートがおすすめです。

ブロークン:細かくカット

茶葉を細かく刻んで加工する製法をブロークンといいます。セイロンティーによく用いられ、2~3分前後と短時間で抽出できるのが特徴。ストレート、ミルクティーのどちらでも楽しむことができます。

その他の紅茶

アッサムとダージリン、茶葉本来の違いだけでなく、加工方法によっても風味や味わいが異なることがわかりましたね。世界中で親しまれている紅茶ですが、日本ではアッサム、ダージリンの他に、セイロンやアールグレイなどの言葉もよく耳にするかと思います。これらの紅茶についてもみていきましょう。

キーマン:中国の紅茶

中国を代表する紅茶で、ダージリン、スリランカのウバと並んで「世界三大紅茶」と呼ばれています。キーマンは中国南東部の安徽省にあり、亜熱帯気候で日中の気温差が大きく、降雨量の多い地域です。元々は緑茶が栽培されていましたが、1800年代終盤から紅茶の栽培が行われるようになりました。

東洋的な独特な香りと深いコクが特徴。ストレートでもミルクティーでも楽しめます。ヨーロッパでは「中国茶のブルゴーニュ酒」とも称されている、稀少な紅茶です。

セイロン:スリランカの紅茶

セイロンとはスリランカの旧国名で、アッサムやダージリン同様、スリランカで栽培されている紅茶の総称です。もともとはコーヒー栽培が盛んに行われていましたが、130年ほど前から紅茶が栽培されるようになりました。

日本に輸入されている紅茶の約60%がセイロンで、「ヌワラエリア」「ウダプッセラワ」「ウバ」「ディンブラ」「キャンディ」「サハラガムワ」「ルフナ」が主要産地で、気候や標高の違いによってそれぞれ風味が異なります。ウバは世界三大紅茶の1つです。

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アールグレイは茶葉の名前ではない

日本人に馴染みの深い紅茶のひとつにアールグレイがありますが、アールグレイとは、アッサムやダージリンのような茶葉の名称ではなく、さまざまな種類の茶葉にベルガモットで柑橘系の香りをつけたフレーバーティーのことです。

香りが良いのでお菓子作りにも使われることも多いですね。アールグレイとは、「グレイ伯爵」という意味で、1830年にイギリスの首相を務めた第二代チャールズ・グレイに由来するといわれています。

いろいろな飲み方で紅茶を楽しもう

ここまでアッサムとダージリンの違いについて解説してきました。アッサムはインド北東部のアッサム地方で作られる茶葉の総称、ダージリンはインド北東部のダージリン地方で作られる茶葉の総称で、同じインドで栽培された茶葉でも、気候や標高の違いによって風味や味の特徴が異なることがわかりましたね。

アッサムはミルクティーで、ダージリンはストレートでいただくのが、それぞれの特徴を活かした飲み方ですが、他の飲み方が合わない訳ではありません。スライスしたレモンやレモン果汁を入れて、レモンティーにしたり、インド式のチャイにして飲んだり、ジャムをいれてロシアンティーにしたりして、お好みの飲み方で気軽に紅茶を楽しんでみてくださいね。

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簡単でわかりやすい!アッサムとダージリンの違いとは?製法や他の種類も紅茶大好きライターが詳しく解説

この記事でアッサムとダージリンの違いについてみていきます。どちらも紅茶の種類ですが、普段紅茶を飲まない人でもこの2つの言葉を耳にしたことはあるでしょう。紅茶は世界中で飲まれているお茶の1つで、種類もたくさんありますが、どのような違いがあるのでしょうか。今回はアッサムとダージリンを中心に、他の紅茶の種類なども紅茶好きライターaoと一緒に解説していきます。

ライター/ao

小学生の時に友達の影響で紅茶の虜になって以来、ずっと愛飲しているライター。アールグレイが好き。

アッサムとダージリンの違いとは

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アッサムとはインドの北東部、アッサム地方で栽培されている茶葉の総称で、ダージリンとはインドの北東部、ダージリン地方で栽培されている茶葉の総称です。インド北東部はヒマラヤ山脈の南東に位置し、熱帯モンスーン気候のため、年間を通して雨量が多いのが特徴。2つの茶葉にはどのような違いがあるのか詳しくみていきましょう。

違いその1.産地と種類

アッサムの産地であるアッサム地方はインド北東部に位置する78,000㎢の広大な平野で、1823年に発見された野生の茶樹(ちゃじゅ)であるアッサム種が主に栽培されています。インド紅茶の半分以上はアッサム地方で作られており、世界最大の生産量です。雨量が多く、多湿な環境が深みと渋み、色を生み出しています。

一方のダージリンが栽培されているダージリン地方はインド西ベンガル州の北に位置するヒマラヤ山麓、標高約2300m近くある高原地帯で、19世紀後半に中国福建省から耐寒性のある緑茶種の種や苗木が持ち込まれ、紅茶として栽培されるようになりました。

現在ではアッサム種と中国種を交配させた品種が主に栽培されており、昼夜の寒暖差で発生する霧によって、独特の香りと味が生み出されます。

違いその2.風味

アッサムは濃厚な味わいと芳醇な香りが特徴で、コクがあり、深みのある渋みをもっています。ミルクと混ぜても風味が損なわれないので、ミルクティーやチャイとして飲まれることが多い茶葉です。

一方のダージリンは、マスカットフレーバーと呼ばれるマスカットに似た爽やかで気品のある香りが特徴で、落ち着いた渋みが楽しめることもあり、ストレートティーで愛飲されます。ダージリンは世界三大紅茶のひとつで「紅茶のシャンパン」とも呼ばれている茶葉です。

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