初任者研修、実務者研修とは何か知っているか?介護に携わりたいが介護福祉士の資格は持っていない、という人におすすめです。受けられる人や内容の違いなどを、元看護師のライター、近野チカとともに詳しく解説していきます。

ライター/近野チカ

元看護師で検索マニアなWebライター。職場で高齢者に接する機会が多かったため介護関連に詳しい。

初任者研修と実務者研修の違いは?

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どちらも共通しているのが、介護に関する知識や技術を学ぶことができることです。初任者研修は初心者向けで基本的な内容であるのに対し、実務者研修はさらにステップアップしたい人向けで、より専門的な内容を学べます。

初任者研修は初任者向け

正式名称は「介護職員初任者研修」といい、在宅・施設を問わず、介護職として働く上で基本となる知識・技術を習得する研修です。誰でも受講でき、講義と演習合わせて約130時間ある全課程終了後、修了試験(筆記試験)に合格する必要があります。

介護施設では資格を持っていなくても働くことはできますが、専門知識や技術がある人材を求めている施設が多く、就職に有利です。また、訪問介護事業所(利用者の自宅などに訪問して介護を行う事業所)においては身体介護(食事や入浴、排泄、更衣の介助や移動時の支援といった利用者に直接触れて行うサービスのこと)を行うのに必要な資格のため、初任者研修修了者には訪問介護で働く道が開けます。

実務者研修は初任者研修よりランクアップした内容

正式名称は「介護福祉士実務者研修」といいます。幅広い利用者への基本的な介護や医療的ケアに関する知識・技能を習得することを目標としており、介護福祉士養成施設における到達目標と同等の水準が求められる資格です。受講時間は450時間と初任者研修よりも長く、専門的な内容になります。

ヘルパーとはどう違う?

高齢化が進むわが国では介護を担う優秀な人材育成をするため、介護資格の見直しが行われてホームヘルパー2級・1級は2013年に廃止されました。廃止前に取得した資格はそのまま有効です。

ホームヘルパー2級は初任者研修と同等、と言われていますが、受講科目に認知症ケアについての科目が追加され、実習が廃止された代わりにスクーリング時間が多くなり(89.5時間)、修了試験が実施されています。

実務者研修は介護基礎研修、ホームヘルパー1級に変わってできた資格と言われていますが、現在ヘルパー1級だけでは介護福祉士の受験資格はなく、一部の科目については実務者研修を修了しなければなりません。3年以上の実務経験と実務者研修修了で介護福祉士の受験資格を得ることができます。

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実務者研修を受けるメリット

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資格なしでも働ける介護業界といえど、無資格よりも断然、就職に有利になる上に給与面でもプラスになります。2020年に厚生省が実施した調査では、無資格者よりも約3万円月収が高いという結果でした。

1.痰吸引、経管栄養が実施できる

実務者研修を修了した人は、喀痰吸引等研修の基本研修が免除されます。実地研修を受けるだけで口腔内・鼻腔内・気管カニューレ内の痰吸引と胃ろう・腸ろう・経鼻での経管栄養の実施が一定の条件下で実施可能です。介護の現場では看護師の配置が少なく、施設によっては配置を義務付けられていないところもあるため、吸引や経管栄養を実施できる介護職員は重宝されます。

2.サービス提供責任者になれる

訪問介護を行う事業所では、サービス提供責任者という職種の人を1名以上置かなければなりません。サービス提供責任者になれるのは、介護福祉士か実務者研修修了者または、(旧課程)ホームヘルパー1級課程修了者のため、訪問介護で働きたい人にとっては大きな強みになります。

仕事内容も、利用者の申し込みの調整・利用者のニーズを情報分析し、提供するサービスの提供を検討するアセスメントや状態把握などのためのモニタリング、訪問介護計画書の作成、サービス担当者会議への参加、ヘルパーへの技術指導等。訪問介護における中心的な役割を担っておりやりがいを充分感じることができるでしょう。

3.介護福祉士の受験資格が得られる

実務者研修を修了し、実務経験を3年以上積むと介護福祉士の受験資格を得られます。

本来、介護福祉士の国家試験は実技試験と筆記試験の両方を受けて合格しなければなりませんが、実務者研修修了者は実技試験を免除されるため、筆記試験のみの受験です。介護系で唯一の国家資格である介護福祉士の取得は確実にあなたをキャリアアップさせてくれるでしょう。

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初任者研修を受けずに実務者研修は受けられる?

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初任者研修の上位に位置づけられている実務者研修ですが、初任者研修を受けなくても受講可能です。しかし全くの未経験者であれば、入門編とも言える初任者研修で基礎固めをした後に受講した方が知識や技術を習得しやすいでしょう。初任者研修と重複する部分は受講免除されるので、段階的に学ぶと時間も費用も節約できます。

実務者研修と初任者研修の違いは、研修内容と受講後の業務の範囲

初任者研修は基礎的な介護の知識や技術を学ぶ入門編です。初任者研修を修了すると、訪問介護で身体介護の業務も実施できます。

一方、実務者研修はさらに専門的に介護について学べる内容です。実務者研修を修了すると、訪問介護事業所でのサービス提供責任者になれるほか、さらに喀痰吸引等研修の実地研修のみの修了で口腔内・鼻腔内・気管カニューレ内の痰吸引と胃ろう・腸ろう・経鼻での経管栄養の実施が一定の条件下で実施できるようになります。また3年の実務を経験すると介護福祉士の受験資格も得られ初任者家よりも可能になる業務範囲が広く、スキル・給与アップに役立つのでおすすめです。

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簡単でわかりやすい!初任者研修と実務者研修の違いとは?誰でも受けられる?研修を受けるメリットも元看護師が詳しく解説!


初任者研修、実務者研修とは何か知っているか?介護に携わりたいが介護福祉士の資格は持っていない、という人におすすめです。受けられる人や内容の違いなどを、元看護師のライター、近野チカとともに詳しく解説していきます。

ライター/近野チカ

元看護師で検索マニアなWebライター。職場で高齢者に接する機会が多かったため介護関連に詳しい。

初任者研修と実務者研修の違いは?

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どちらも共通しているのが、介護に関する知識や技術を学ぶことができることです。初任者研修は初心者向けで基本的な内容であるのに対し、実務者研修はさらにステップアップしたい人向けで、より専門的な内容を学べます。

初任者研修は初任者向け

正式名称は「介護職員初任者研修」といい、在宅・施設を問わず、介護職として働く上で基本となる知識・技術を習得する研修です。誰でも受講でき、講義と演習合わせて約130時間ある全課程終了後、修了試験(筆記試験)に合格する必要があります。

介護施設では資格を持っていなくても働くことはできますが、専門知識や技術がある人材を求めている施設が多く、就職に有利です。また、訪問介護事業所(利用者の自宅などに訪問して介護を行う事業所)においては身体介護(食事や入浴、排泄、更衣の介助や移動時の支援といった利用者に直接触れて行うサービスのこと)を行うのに必要な資格のため、初任者研修修了者には訪問介護で働く道が開けます。

実務者研修は初任者研修よりランクアップした内容

正式名称は「介護福祉士実務者研修」といいます。幅広い利用者への基本的な介護や医療的ケアに関する知識・技能を習得することを目標としており、介護福祉士養成施設における到達目標と同等の水準が求められる資格です。受講時間は450時間と初任者研修よりも長く、専門的な内容になります。

ヘルパーとはどう違う?

高齢化が進むわが国では介護を担う優秀な人材育成をするため、介護資格の見直しが行われてホームヘルパー2級・1級は2013年に廃止されました。廃止前に取得した資格はそのまま有効です。

ホームヘルパー2級は初任者研修と同等、と言われていますが、受講科目に認知症ケアについての科目が追加され、実習が廃止された代わりにスクーリング時間が多くなり(89.5時間)、修了試験が実施されています。

実務者研修は介護基礎研修、ホームヘルパー1級に変わってできた資格と言われていますが、現在ヘルパー1級だけでは介護福祉士の受験資格はなく、一部の科目については実務者研修を修了しなければなりません。3年以上の実務経験と実務者研修修了で介護福祉士の受験資格を得ることができます。

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