今日授業で生徒たちに「日本の国旗の名前って何だ?」と質問してみたら、色んな答えが出てきたんですね。「日の丸」「日章旗」「旭日旗」…。「日の丸」はなじみ深い言葉だと思うが、「日章旗」と「旭日旗」は、何となく聞いたことがあるけど…という人が多いかもしれない。

実は、「日章旗」と「旭日旗」は似ているが別の旗なんです。

今回は、その「日章旗」と「旭日旗」の違いについて、日本語について詳しい院卒日本語教師の"むかいひろき"と一緒に解説していきます。

ライター/むかいひろき

ロシアの大学に再就職した、日本で大学院修士課程修了の日本語教師。その経験を武器に「言葉」について分かりやすく解説していく。

ズバリ!日章旗と旭日旗の大きな違いとは?

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「日章旗」と「旭日旗」の違いについて、急に質問された場合に即答できる人は意外と少ないのではないでしょうか。どちらもニュースでたまに耳にする程度…といった人が多いかもしれませんね。この章では、「日章旗」と「旭日旗」の見た目の大きな違いを確認していきます。

日章旗:いわゆる”日の丸”!

まずは「日章旗(にっしょうき)」について見ていきましょう。「日章旗」は、言い換えれば「日の丸」、つまり白地に赤い丸がデザインされた日本の国旗のことを指します。白地に赤い丸がある以外、他のものは一切は他の中に存在しません。ちなみに「日章」とは、「太陽をかたどったしるし」という意味の言葉ですね。

旭日旗:昇る朝日(旭日)をデザインした旗

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もう一方の「旭日旗(きょくじつき)」はどんな旗でしょうか?

「旭日旗」は昇る朝日をかたどった旗です。白地に赤い丸が描かれている点は「日章旗」と共通ですが、その赤い丸から放射線状に通常16本の赤い線が描かれているのが「旭日旗」ですね。(旗によっては線の数が4本だったり8本だったりしますが、標準的なものは16本です。)そして、赤い丸の位置は、中央にあるものと、中央よりやや左側にあるものの2パターンがあります。

「日章旗」は太陽をデザインした”白地に赤い丸”の旗を指します。つまり、日本の国旗です。一方の「旭日旗」は朝日をかたどった旗で、赤い丸から放射状に線が出ています。この2つの旗の違いは、赤い丸から線が出ているかいないか…ですね

日章旗と旭日旗の歴史!

次に、「日章旗」と「旭日旗」の歴史を確認していきましょう。似たようなデザインの旗ですが、それぞれが歩んできた歴史は少し異なっています。どのような歴史を歩んできたのか、昔の時代から確認していきましょう。

\次のページで「日章旗のルーツは古代から!」を解説!/

日章旗のルーツは古代から!

「日章旗」の最初のルーツは、飛鳥時代の701年(大宝元年)の朝廷の行事で掲げられた「日像」という旗だと考えられていますが、現存していません。現在日本に残る最後の「日章旗」は、山梨県の雲峰寺が所有している平安時代(1056年頃)のものです。この頃は国旗としての意味はありませんでした

その後、戦国時代には大名たちが旗印として「日章旗」と同じようなデザインの”白地に赤い丸”の旗を用い始め、江戸時代には船の幟(のぼり)として使用されるようになります。

そして幕末に外国船の往来が盛んになると、日本の船と外国の船を区別する必要が出てきました。その際に日本の船であるという目印の旗として、1854年に薩摩藩主の島津斉彬の意見を受けて採用されたのが「日章旗」です。この「日章旗」は明治時代に入り、1870年(明治3年)に正式に日本の国旗として制定され、現在に至ります。

元々は武士の家紋だった旭日のデザイン

「旭日旗」のような朝日をかたどったデザインは、古くから日本で大漁の旗や出産・節句の祝いなどで使用されてきました。また、九州の武士が家紋として古い時代から朝日をかたどったデザインを使用しており、菊地氏や竜造寺氏が該当します。

「旭日旗」が公的なものとして使用され始めたのは、1870年(明治3年)に大日本帝国陸軍の旗として制定されたのが最初です。その後、1889年(明治22年)には海軍も「旭日旗」を軍旗として制定しました。そして、1954年に自衛隊が発足した際に、陸上自衛隊の「自衛隊旗」として、海上自衛隊の「自衛官旗」として「旭日旗」が採用され、現在に至ります。

現在の日章旗と旭日旗の使い分けを見ていこう

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続いて、現在の「日章旗」と「旭日旗」の使い分けを見ていきましょう。もちろん同じ場面で使用されることもありますが、それぞれの旗が通常どのような場所や場面で使用されているのか、この章では確認していきます。

\次のページで「日本の国旗として世界各国で認知されている日章旗」を解説!/

日本の国旗として世界各国で認知されている日章旗

「日章旗」は当然ですが「日本の国旗」として様々な場面で使用されています。国際会議の場や国政の場、スポーツの国際大会などで国旗を掲げる必要がある際に、必ず使用されるのがこの「日章旗」ですね。スポーツの国際大会で使用される選手のユニフォームには、必ず「日章旗」がどこかにデザインされています。

自衛隊が主に使っている旭日旗

「旭日旗」を公的に使用しているのは自衛隊です。陸上自衛隊の「自衛隊旗」として、海上自衛隊の「自衛艦旗」として現在も引き続き使用されています。その他、漁師が大漁を表す旗としても現在でも使用されていますね。また、スポーツの国際大会で日本を応援するために使用する人もいます

一方で、この「旭日旗」は戦時中に日本の軍旗として使用された旗であるため、日本から戦争の被害を受けた韓国などでは、日本の現在の「旭日旗」使用を問題視する声があるのも事実です。

実は世界にも?日章旗と旭日旗と似た国旗の国々!

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実は、「日章旗」や「旭日旗」と同じようなデザインを国旗としている国が、世界にはいくつかあります。

「日章旗」と似たようなデザインの国旗を使っている国は、バングラデシュ(緑地に赤丸)パラオ(青地に黄色い丸)です。どちらも「日章旗」のデザインを参考にしたと言われていますね。

「旭日旗」と似たようなデザインの国旗の国は、北マケドニアです。色は黄色と赤ですが、デザインは「旭日旗」とそっくりですね。こちらは、古代ギリシャのフィリッポス2世の棺の文様からとったものとされ、中央の黄色い丸は太陽を表しています。

太陽をかたどった”日章旗”、朝日をかたどった”旭日旗”

今回は「日章旗」と「旭日旗」の違いについて解説しました。「日章旗」は太陽をかたどった”白地に赤い丸”の日本の国旗のことを、「旭日旗」は朝日をかたどり、”白地に赤い丸”から、さらに放射線状に赤い線が延びている旗のことを指します。

そして、世界にもこの2つの旗に似た国旗を使う国(バングラデシュなど)が存在しているのです。日本独特のものではないという点が、少し驚きですね。

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雑学

簡単でわかりやすい!”日章旗”と”旭日旗”の違いとは?違う旗?同じ旗?院卒日本語教師が詳しく解説

今日授業で生徒たちに「日本の国旗の名前って何だ?」と質問してみたら、色んな答えが出てきたんですね。「日の丸」「日章旗」「旭日旗」…。「日の丸」はなじみ深い言葉だと思うが、「日章旗」と「旭日旗」は、何となく聞いたことがあるけど…という人が多いかもしれない。

実は、「日章旗」と「旭日旗」は似ているが別の旗なんです。

今回は、その「日章旗」と「旭日旗」の違いについて、日本語について詳しい院卒日本語教師の”むかいひろき”と一緒に解説していきます。

ライター/むかいひろき

ロシアの大学に再就職した、日本で大学院修士課程修了の日本語教師。その経験を武器に「言葉」について分かりやすく解説していく。

ズバリ!日章旗と旭日旗の大きな違いとは?

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「日章旗」と「旭日旗」の違いについて、急に質問された場合に即答できる人は意外と少ないのではないでしょうか。どちらもニュースでたまに耳にする程度…といった人が多いかもしれませんね。この章では、「日章旗」と「旭日旗」の見た目の大きな違いを確認していきます。

日章旗:いわゆる”日の丸”!

まずは「日章旗(にっしょうき)」について見ていきましょう。「日章旗」は、言い換えれば「日の丸」、つまり白地に赤い丸がデザインされた日本の国旗のことを指します。白地に赤い丸がある以外、他のものは一切は他の中に存在しません。ちなみに「日章」とは、「太陽をかたどったしるし」という意味の言葉ですね。

旭日旗:昇る朝日(旭日)をデザインした旗

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もう一方の「旭日旗(きょくじつき)」はどんな旗でしょうか?

「旭日旗」は昇る朝日をかたどった旗です。白地に赤い丸が描かれている点は「日章旗」と共通ですが、その赤い丸から放射線状に通常16本の赤い線が描かれているのが「旭日旗」ですね。(旗によっては線の数が4本だったり8本だったりしますが、標準的なものは16本です。)そして、赤い丸の位置は、中央にあるものと、中央よりやや左側にあるものの2パターンがあります。

「日章旗」は太陽をデザインした”白地に赤い丸”の旗を指します。つまり、日本の国旗です。一方の「旭日旗」は朝日をかたどった旗で、赤い丸から放射状に線が出ています。この2つの旗の違いは、赤い丸から線が出ているかいないか…ですね

日章旗と旭日旗の歴史!

次に、「日章旗」と「旭日旗」の歴史を確認していきましょう。似たようなデザインの旗ですが、それぞれが歩んできた歴史は少し異なっています。どのような歴史を歩んできたのか、昔の時代から確認していきましょう。

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