この記事では「共和制」と「民主制」の違いについてみていきます。国の政治方針の原理を政治体制というが、2つともこの政治体制の種類を表す言葉です。世界には様々な政治体制があり、これら政治体制の言葉の意味を知っておくとニュースや新聞の内容を理解するのに非常に役立つぞ。今回はそれら政治体制の中でもよく耳にする共和制と民主制について、歴史好きライターまるっこと一緒に解説していきます。

ライター/まるっこ

世界中を飛び回るライター。高校時代に世界史の勉強に熱中したことがきっかけで、世界各国の遺跡や遺産を巡る旅に出かけている。自身の経験を活かして人々に世界のことをわかりやすく解説していく。

「共和制」と「民主制」の違いとは?

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ざっくりと解説すれば、「共和制」とは君主が存在しない政治体制を示し「民主制」とは国民一人ひとりが政治に参加する政治体制を示します。この違いを理解するポイントは、「共和制」と「民主制」が登場した歴史を知ることでしょう。ここからは「共和制」と「民主制」の成り立ちと、どのような国が当てはまるのかを見ていきます。

「共和制」とは?

「共和制」とは「君主制」の対となる政治体制のことを指します。君主、というのは簡単にいうと王様のことです。王様が存在しない共和制では、国民が選挙によって大統領を選出し、この大統領が大きな権限と共に国家のトップとして役割を果たします。

君主が存在しないのが「共和制」

「共和制」とは王様がいないことであると解説しました。辞書による「共和制」の定義は次のようになります。

共和制(republic)
一般には世襲君主や選挙による君主以外の個人あるいは集団によって統治される政治形態をいう。少数の特権階級に主権がある貴族的共和制・寡頭かとう的共和制などがあるが、一般には国民の意志に基づく政治が行われる民主的共和制をいう。(出典:コトバンク)

なぜ人々は君主ではなく自分たちで国家のトップを決めようとしたのでしょうか?

この答えは18世紀に起きたフランス革命が関係しています。フランス革命以前のフランスは、絶対的な支配力を持つ国王によって統治されてきました。国王の中には国民に多額の税金を支払わせるなど、国民の意見を無視した政治を行う人がいました、不満を爆発させた国民はフランス革命によって国王を倒し、自分たちで国のトップを決める「共和制」を樹立させました。

国民が選挙で選ぶという点では民主制であるため、民主主義で共和制である国は数多く存在するといえるでしょう。共和制の具体例はアメリカ、フランス、韓国です。また○○共和国、という国名の国は共和制である場合が多いですね。

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「共和制」の対義語は「君主制」

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君主制とは王や皇帝といった「君主」が存在する国家体制のことです。共和制が選挙で国家の指導者を選ぶやり方であるのに対し、君主制の多くは世襲制。王の子供が次の王になる、というのが世襲制の考え方で、これに基づいた称号のつけ方が○○何世、というものだといえませね。

君主制には君主が権力を掌握して政治を行う「専制君主制」と、君主の権力が憲法によって制御される「立憲君主制」などが挙げられるでしょう。専制君主制の国家体制をとる国はほとんどありませんが、現代でも中東を中心に一部の国では国王が強い権力を持つ場合が存在しますね。一方でベルギーやイギリスの王室のように政治の実権を持たない(国家の象徴)君主も存在しています。

「民主制」とは?

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先ほど「共和制でも民主主義な国家は多い」と解説しましたが、それでは「民主制」はどのような意味なのでしょうか?「民主制」とは「独裁制」の対となる政治体制のことを指し、ざっくりいうと国民全員が政治に参加する政治体制を示します。

国民が政治に参加することは君主がいてもいなくても可能であるので、「君主制」の国も「共和制」の国も「民主制」であることは十分に考えられるといえますね。

国民一人一人が政治に参加するのが「民主制」

辞書による「民主制」の定義は次のようになります。

民主制(democracy)
国民全体が主体的に参加する政治体制。古代ギリシア以来の政治体制論において民主制は1人の支配である君主制、少数の支配である貴族政に対して,多数の支配を意味していた。(出典:コトバンク)

民主制の発祥は古代アテネまで遡ることを知っていますか?古代アテネでは一定の資格を得た市民が直接意見を述べて政治に参加するシステムでした。それ以来、国民全員が政治に参加する「民主主義」の原則に基づいて行われる政治を「民主制」と呼びます。

古代アテネのように国民全員が直接意見を述べる「直接民主制」が初期に発達しましたが、国家規模拡大につれて全員の意見を聞くことが難しくなりました。そこで登場したのが「間接民主制」。「間接民主制」は国民によって選出された議員が国民の代表として意見を述べ、政治を行う仕組みです。現在は多くの国家がこの方式に基づいた政治体制であるといえるでしょう。

「民主制」の対義語は「独裁制」

国民全員で意思決定に参加することを「民主制」と解説しましたが、その反対の「独裁制」はごく少数の人物が政治の実権を握ることです。

ロシアや中国など、強いリーダーシップの下で意思決定が行われる国々はしばしば「独裁制」と呼ばれることがあるでしょう。「独裁制」は意思決定が早くスムーズに国家を動かすことが可能であるため経済政策などが実行しやすいというメリットがありますが、民衆や他の政治家の意見が反映されないというデメリットがあると言えます。

「共和制」は王様がいないこと、「民主制」は国民参加の政治体制のこと

「共和制」は君主がいないこと、「民主制」は国民が政治に参加することを示します。ポイントは、「共和制」と「民主制」は相反する概念ではないことです。「共和制」で民主的な国家は多く存在します。

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3分で簡単にわかる!「共和制」と「民主制」の違いとは?君主制・独裁制との違いも歴史好きライターがわかりやすく解説

この記事では「共和制」と「民主制」の違いについてみていきます。国の政治方針の原理を政治体制というが、2つともこの政治体制の種類を表す言葉です。世界には様々な政治体制があり、これら政治体制の言葉の意味を知っておくとニュースや新聞の内容を理解するのに非常に役立つぞ。今回はそれら政治体制の中でもよく耳にする共和制と民主制について、歴史好きライターまるっこと一緒に解説していきます。

ライター/まるっこ

世界中を飛び回るライター。高校時代に世界史の勉強に熱中したことがきっかけで、世界各国の遺跡や遺産を巡る旅に出かけている。自身の経験を活かして人々に世界のことをわかりやすく解説していく。

「共和制」と「民主制」の違いとは?

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ざっくりと解説すれば、「共和制」とは君主が存在しない政治体制を示し「民主制」とは国民一人ひとりが政治に参加する政治体制を示します。この違いを理解するポイントは、「共和制」と「民主制」が登場した歴史を知ることでしょう。ここからは「共和制」と「民主制」の成り立ちと、どのような国が当てはまるのかを見ていきます。

「共和制」とは?

「共和制」とは「君主制」の対となる政治体制のことを指します。君主、というのは簡単にいうと王様のことです。王様が存在しない共和制では、国民が選挙によって大統領を選出し、この大統領が大きな権限と共に国家のトップとして役割を果たします。

君主が存在しないのが「共和制」

「共和制」とは王様がいないことであると解説しました。辞書による「共和制」の定義は次のようになります。

共和制(republic)
一般には世襲君主や選挙による君主以外の個人あるいは集団によって統治される政治形態をいう。少数の特権階級に主権がある貴族的共和制・寡頭かとう的共和制などがあるが、一般には国民の意志に基づく政治が行われる民主的共和制をいう。(出典:コトバンク)

なぜ人々は君主ではなく自分たちで国家のトップを決めようとしたのでしょうか?

この答えは18世紀に起きたフランス革命が関係しています。フランス革命以前のフランスは、絶対的な支配力を持つ国王によって統治されてきました。国王の中には国民に多額の税金を支払わせるなど、国民の意見を無視した政治を行う人がいました、不満を爆発させた国民はフランス革命によって国王を倒し、自分たちで国のトップを決める「共和制」を樹立させました。

国民が選挙で選ぶという点では民主制であるため、民主主義で共和制である国は数多く存在するといえるでしょう。共和制の具体例はアメリカ、フランス、韓国です。また○○共和国、という国名の国は共和制である場合が多いですね。

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