この記事では「disk」と「disc」の違いについて明らかにしていきます。前者はアメリカ英語、後者はイギリス英語で、読み方や意味はまったく同じですが、円盤状の記録媒体に対して用いる場合は、明確な違いがあるようです。今回はこの2つの「ディスク」の違いについて、学生時代に磁気記録媒体の研究をしていたライターthrough-timeと一緒に解説していきます。

ライター/through-time

工学修士で、言葉や文学も大好きな雑食系雑学好きWebライター。記録媒体の解説を交えつつ、diskとdiscの違いについて掘り下げていきます。

diskとdisc

「円盤(状のもの)」を表す英語「ディスク」にはdiskdisc、2つのスペルが存在し、前者はアメリカ英語、後者はイギリス英語です。読み方や意味はまったく同じですが、円盤状の記録媒体ディスクメディア)を示す場合は、その種類によってdiskとdiscを使い分けることがあります。

アメリカ英語とイギリス英語でスペルが違う単語は少なくありません。例を挙げると、飛行機airplane(米)aeroplane(英)、メートルmeter(米)metre(英)とそれぞれ表記します。

ディスクメディアとは

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単にディスクともいい、古くはレコードから最新のBlu-ray DiscBD,ブルーレイディスク)で、多種多様なサイズや形態、記録方式があります。用途も音楽用や録画用、データ用などさまざまです。

2022年現在、磁気を利用してデータの読み書きをする磁気ディスクmagnetic disk)と、レーザー光でデータを読み書きする光ディスクoptical disc)の2種類がディスクメディアの主流となっています。ほかにも、光と磁気両方を使った光磁気ディスクなどがありますが、今ではほとんど使われていません。

diskとdiscの違いが生まれた経緯

光ディスクの先駆けであるCDの正式名称が「Compact Disc(コンパクトディスク)」となって以降、光ディスクの規格名や商標名にdisc表記が頻繁に用いられるようになりました。Apple社も自社サイト内で「discとdiskには技術的には明確な違いがあり、磁気ディスクはdisk、光ディスクはdiscである」と見解を示しており、現在イギリスでも磁気ディスクを表すときはdiskと表記することがあります。

この使い分けはあくまでも慣習的なもので、明確な定義が存在するわけではありません。

\次のページで「ディスクメディアの種類」を解説!/

ディスクメディアの種類

diskdiscでそれぞれ英語表記される磁気ディスク光ディスク、そして両者の中間である光磁気ディスクについてそれぞれ解説します。

disk:磁気ディスク

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disk磁気ディスクに対し使われ、代表的なものはフロッピーディスクfloppy disk)やHDDhard disk drive,ハードディスクドライブ)です。磁気ディスクの表面は、記録層となる磁性薄膜を中心とした多層構造となっており、磁気ヘッドと呼ばれる部品で記録層の磁化状態を変化させたり、磁化状態を読み取ったりすることで、情報を読み書きします。

磁気ディスクは常に書き換えが可能で、かつ大容量のデータを記録することもできますが、磁気はもちろんのこと、ほこりや汚れ、振動に対して弱いのが欠点です。そのためカートリッジに入れたり、駆動装置(ドライブ)と一体化させたりして、ディスクを保護しなくてはいけません。

disc:光ディスク

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disc光ディスクに対し使われます。光学ディスクともいい、樹脂製ディスクの表面に保護層や記録層、反射層など複数の層を形成し、レーザー光で記録層に微細な凹凸を作って情報を記録したり、レーザー光の反射により読み込んだりするものです。

埃や汚れの影響が少ないため、音楽や映像などのコンテンツやソフトウェアを販売・頒布するのに用いられるほか、バックアップなどデータ記録用として使われます。CDDVDDigital Versatile Disc)、Blu-ray Discなどがあり、保護が必要な磁気ディスクと違ってほとんどがむき出しです。

光ディスクは読み取り専用と記録用に分類され、さらに記録用も大きく2つに分けられます。

読み出し専用:CD-ROM、DVD-ROM、BD-ROMなど。ROMRead Only Memoryの略です。データの書き込みおよび削除は一切できません。
ライトワンス型:CD-R、DVD-R、BD-Rなど。RRecordableの略です。一度だけ書き込みが可能で、また空き容量がある限りは追記できます。
リライタブル型:CD-RW、DVD-RW、BD-REなど。RWおよびRERewritableの略です。何度でも書き込みできますが、記録したデータの一部を削除することはできず、書き換えるにはすべてのデータをいったん削除しなくてはいけません。

データ記録用のDVD-RAMは全消去する必要がなく、磁気ディスクのような書き換えが可能です。また、最近ではワンスライト型やリライタブル型でもファイル単位で記録や消去ができる「パケットライト」という方法があります。

disk/disc:光磁気ディスク

光と磁気を用いる光磁気ディスクにはdisk/discどちらとも使われます。代表的なものはMOmagneto-optical disk)やMDMiniDisc,ミニディスク)です。磁気ディスク同様カートリッジに収められています。

記録層の磁化状態を変えることで記録する点は、磁気ディスクとほぼ同じです。しかし、記録層は常温ではほとんど磁化されず、レーザーで加熱してから磁化させる必要があります。また、読み取りは磁化の向きによりレーザー光の偏光面が回転する磁気光学カー効果を利用していますが、再生専用のMDの読み取りは光ディスクと同じ原理です。

\次のページで「diskは磁気ディスク、discは光ディスク」を解説!/

diskは磁気ディスク、discは光ディスク

ディスクメディアを指す場合にdiskとdiscで意味に違いがあること、またその使い分けについて解説しました。現在は磁気ディスク、光ディスクの2種類で使い分けしていますが、今後新たな記録様式のディスクメディアが登場する可能性は十二分にあります。そのときはどういう使い分けになるのか、それとも全く新しい単語が生まれるのか、今から想像が膨らみますね。

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雑学

簡単にわかるdiskとdiscの違い!意味や円盤状記録媒体に対する使い分けも工学系院卒ライターがわかりやすく解説


この記事では「disk」と「disc」の違いについて明らかにしていきます。前者はアメリカ英語、後者はイギリス英語で、読み方や意味はまったく同じですが、円盤状の記録媒体に対して用いる場合は、明確な違いがあるようです。今回はこの2つの「ディスク」の違いについて、学生時代に磁気記録媒体の研究をしていたライターthrough-timeと一緒に解説していきます。

ライター/through-time

工学修士で、言葉や文学も大好きな雑食系雑学好きWebライター。記録媒体の解説を交えつつ、diskとdiscの違いについて掘り下げていきます。

diskとdisc

「円盤(状のもの)」を表す英語「ディスク」にはdiskdisc、2つのスペルが存在し、前者はアメリカ英語、後者はイギリス英語です。読み方や意味はまったく同じですが、円盤状の記録媒体ディスクメディア)を示す場合は、その種類によってdiskとdiscを使い分けることがあります。

アメリカ英語とイギリス英語でスペルが違う単語は少なくありません。例を挙げると、飛行機airplane(米)aeroplane(英)、メートルmeter(米)metre(英)とそれぞれ表記します。

ディスクメディアとは

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単にディスクともいい、古くはレコードから最新のBlu-ray DiscBD,ブルーレイディスク)で、多種多様なサイズや形態、記録方式があります。用途も音楽用や録画用、データ用などさまざまです。

2022年現在、磁気を利用してデータの読み書きをする磁気ディスクmagnetic disk)と、レーザー光でデータを読み書きする光ディスクoptical disc)の2種類がディスクメディアの主流となっています。ほかにも、光と磁気両方を使った光磁気ディスクなどがありますが、今ではほとんど使われていません。

diskとdiscの違いが生まれた経緯

光ディスクの先駆けであるCDの正式名称が「Compact Disc(コンパクトディスク)」となって以降、光ディスクの規格名や商標名にdisc表記が頻繁に用いられるようになりました。Apple社も自社サイト内で「discとdiskには技術的には明確な違いがあり、磁気ディスクはdisk、光ディスクはdiscである」と見解を示しており、現在イギリスでも磁気ディスクを表すときはdiskと表記することがあります。

この使い分けはあくまでも慣習的なもので、明確な定義が存在するわけではありません。

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