この記事ではCDとDVDの違いについて踏み込んでいきます。2枚とも全く同じサイズ・形の樹脂製ディスクで、CDは音楽用、DVDは映像用というイメージがありますが、それ以外にも構造やデータ容量などさまざまな違いがある。見た目こそそっくりですが、実は全く異なる2つについて、大学で記録媒体の研究をしていたライターthrough-timeと一緒に解説していきます。

ライター/through-time

工学修士で、言葉や文学も大好きな雑食系雑学好きWebライター。学生時代に学んだ記録媒体の知識を生かしつつ、CDとDVDの違いについて掘り下げていく。

CDとDVDについて

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「直径12cm厚さ1.2mmの樹脂製ディスク」「ディスク中央の穴の直径が15mm」「記録面が虹色に輝いている」など、見た目の共通点が多いCDDVD。しかし、その特性には大きな違いがあります。まずはこの2つやブルーレイに代表される光ディスクとは何なのか、そしてCDおよびDVDはどういうものなのかを改めて解説しましょう。

光ディスクとは

円盤状の記録媒体をディスクメディア(またはディスク)といいます。古くはアナログレコードから最新のブルーレイまで、サイズや形態、記録方式はさまざまです。現在はデータの読み書きに磁気を利用する磁気ディスクと、レーザー光を利用する光ディスクの2種類が主流となっています。

光ディスク光学ディスクともいい、樹脂製ディスクの表面に記録層や反射層、保護層など複数の層を形成し、微細な加工を施したものです。高速で回転させレーザー光を照射することで、信号の読み書きを行います。

磁気ディスクと比べ汚れや衝撃に強く、かつ持ち運びがしやすいので、音楽や映像などのコンテンツやソフトウェアの販売・頒布コンピュータのデータ記憶用として使われることが多いです。

CDとは

CDCompact Disc,コンパクトディスク)は、オランダのフィリップス社と日本のソニーが共同開発した、第1世代と呼ばれる光ディスクの1つです。アナログレコードやカセットテープに代わる音楽コンテンツ販売用の記録媒体として、広く普及しました。後に書き込みができるCD-RやCD-RWが登場し、データ記憶用メディアとしても浸透していきます。

CD登場初期は直径8cmのシングルCDもありましたが、再生時の不安定さやコスト面の問題があった上、12cmシングルCDの方がアルバムと同じ棚に並べられるなどメリットが大きかったため、1990年代後半から次第に姿を消していきました。

DVDとは

DVD第2世代光ディスクの1つで、記録・読取の方式はCDとほぼ同じですが、CDでは不可能だった長時間映像の記録が可能です。

DVD開発は、ハリウッド映画業界が「映画並みの映像を家庭でも楽しんでほしい」と、日本のメーカーに技術開発を持ち掛けたのが始まりでした。しかし開発途中、DVDの規格を巡り2つのメーカー連合が対立してしまいます。ハリウッド側は「当時の記録媒体を上回る高画質・高音質の映像を、CDと同じ12cmディスク片面に135分収録」という要望を出していましたが、規格統一の折衷案として連合それぞれの技術を採用した結果、要望より2分少ない133分を収録するディスクとなったのです。

ビデオカメラ用の8cmDVDもありますが、こちらも姿を消しつつあります。

登場当初、DVDは「Digital Video Disc」の略であると解釈されていました。しかし映像のみならずCD同様にコンピュータのデータ記憶にも用いられたことから、現在は「多目的、多用途」の意味を持つ「versatile(ヴァーサタイル)」を採用した「Digital Versatile Disc」としています。

また、「ディスク」はディスクメディアの種類によって英語のスペルが違い、光ディスクdisc磁気ディスクdiskと表記するのが一般的です。

CDとDVDの種類

CDやDVDは読み取り専用と記録用があり、記録用もさらに大きく2つに分けられます。

読み出し専用:CD-ROM、DVD-ROMなど。データの書き込みおよび削除は一切できません。主に販売・頒布用で、工場で作られます。ROMRead Only Memoryの略です。
ライトワンス型:CD-R、DVD-Rなど。一度だけ書き込みができ、また空き容量がある限りは追記が可能です。RRecordableの略です。
リライタブル型:CD-RW、DVD-RWなど。何度も書き込みできますが、データの一部だけを削除することはできません。書き換えるにはすべてのデータをいったん削除する必要があります。RWReWritableの略です。

データ記憶用のDVD-RAMは、全消去しなくても書き換えることが可能です。また、最近では「パケットライト」と呼ばれる、ワンスライト型やリライタブル型でもファイル単位で書き込みや削除ができる方法があります。

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光ディスクが虹色に輝く理由

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CDやDVDの記録面には、小さなくぼみがびっしり刻まれています。これをピットといい、デジタル信号に対応するものです。また、ピットはアナログレコードのように内側から外側に向かって渦巻状に列をなしており、この列をトラックといいます。トラックの間隔はCD1.6μmDVD0.78μmでどちらも大変微細なため、光が回折という現象を起こして虹色に輝いて見えるのです。

データを書き込む前の記録型光ディスクにはピットがありませんが、渦巻き状のガイド溝グルーブ)が存在します。グルーブの間隔はトラックと同じであるため、やはり虹色に光るのです。

CDとDVDの違いについて

CDとDVDの違いはもちろんそのデータ容量ですが、根本的な構造や読み書きするレーザー光も大きく異なっています。詳しく見ていきましょう。

1. 構造・レーザー光の違い

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CD・DVDとも厚さ1.2mmですが、CD厚さ1.2mmの1枚のディスクなのに対し、DVD厚さ0.6mmのディスク2枚を貼り合わせています。2枚貼り構造にしたのは、ディスクを薄くして読み取り精度を向上させるためでしたが、結果的に熱や湿気による反りに強くなり、さらには片面1層のみならず2層、表裏も使えて両面1層/2層と、データ容量を増やすことができたのです。

また、高密度化にともないDVDのピットはCDに比べてずっと小さく、記録・読み取りをするためのレーザー光もそれに合わせて波長が短くなっています。CD波長780nm 近赤外線レーザーに対し、DVD波長650 nm赤色レーザーです。

2. データ容量の違い

CDのデータ容量650MBもしくは700MBに対し、DVDの容量は一番少ない片面1層(DVD-5ともいいます)でもCDの約7倍、映像133分相当の4.7GBになります。片面2層(DVD-9)は構造上1層の倍にはならないものの8.5GB両面1層(DVD-10)は9.4GB両面2層(DVD-18)は17GBです。

見た目だけで区別できる?

前述の通りDVDは2枚貼りのため、側面を見ると2層構造になっているのが確認できます。また、CDとDVDでピット(グルーブ)のサイズが違うため、記録面の光の反射の仕方が異なり、ピットが大きく粗いCDの方がわずかですが光沢が少ないです。

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CDとDVDは見た目以上に大きな違いがある!

CDとDVDはよく似ているものの、構造やデータ容量などに大きな違いがあることを解説しました。音楽用CDは配信、映像用DVDも配信のほかブルーレイに取って代わられつつありますが、青春時代をCDやDVDとともに過ごした世代にはいまだ根強い人気があります。アナログレコードが時を経て復活したように、CDやDVDが再び脚光を浴びる時代が来るかもしれませんね。

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簡単にわかるCDとDVDの違い!見た目で区別できる?構造やデータ容量の違いも工学系院卒ライターがわかりやすく解説!


この記事ではCDとDVDの違いについて踏み込んでいきます。2枚とも全く同じサイズ・形の樹脂製ディスクで、CDは音楽用、DVDは映像用というイメージがありますが、それ以外にも構造やデータ容量などさまざまな違いがある。見た目こそそっくりですが、実は全く異なる2つについて、大学で記録媒体の研究をしていたライターthrough-timeと一緒に解説していきます。

ライター/through-time

工学修士で、言葉や文学も大好きな雑食系雑学好きWebライター。学生時代に学んだ記録媒体の知識を生かしつつ、CDとDVDの違いについて掘り下げていく。

CDとDVDについて

image by iStockphoto

「直径12cm厚さ1.2mmの樹脂製ディスク」「ディスク中央の穴の直径が15mm」「記録面が虹色に輝いている」など、見た目の共通点が多いCDDVD。しかし、その特性には大きな違いがあります。まずはこの2つやブルーレイに代表される光ディスクとは何なのか、そしてCDおよびDVDはどういうものなのかを改めて解説しましょう。

光ディスクとは

円盤状の記録媒体をディスクメディア(またはディスク)といいます。古くはアナログレコードから最新のブルーレイまで、サイズや形態、記録方式はさまざまです。現在はデータの読み書きに磁気を利用する磁気ディスクと、レーザー光を利用する光ディスクの2種類が主流となっています。

光ディスク光学ディスクともいい、樹脂製ディスクの表面に記録層や反射層、保護層など複数の層を形成し、微細な加工を施したものです。高速で回転させレーザー光を照射することで、信号の読み書きを行います。

磁気ディスクと比べ汚れや衝撃に強く、かつ持ち運びがしやすいので、音楽や映像などのコンテンツやソフトウェアの販売・頒布コンピュータのデータ記憶用として使われることが多いです。

CDとは

CDCompact Disc,コンパクトディスク)は、オランダのフィリップス社と日本のソニーが共同開発した、第1世代と呼ばれる光ディスクの1つです。アナログレコードやカセットテープに代わる音楽コンテンツ販売用の記録媒体として、広く普及しました。後に書き込みができるCD-RやCD-RWが登場し、データ記憶用メディアとしても浸透していきます。

CD登場初期は直径8cmのシングルCDもありましたが、再生時の不安定さやコスト面の問題があった上、12cmシングルCDの方がアルバムと同じ棚に並べられるなどメリットが大きかったため、1990年代後半から次第に姿を消していきました。

DVDとは

DVD第2世代光ディスクの1つで、記録・読取の方式はCDとほぼ同じですが、CDでは不可能だった長時間映像の記録が可能です。

DVD開発は、ハリウッド映画業界が「映画並みの映像を家庭でも楽しんでほしい」と、日本のメーカーに技術開発を持ち掛けたのが始まりでした。しかし開発途中、DVDの規格を巡り2つのメーカー連合が対立してしまいます。ハリウッド側は「当時の記録媒体を上回る高画質・高音質の映像を、CDと同じ12cmディスク片面に135分収録」という要望を出していましたが、規格統一の折衷案として連合それぞれの技術を採用した結果、要望より2分少ない133分を収録するディスクとなったのです。

ビデオカメラ用の8cmDVDもありますが、こちらも姿を消しつつあります。

登場当初、DVDは「Digital Video Disc」の略であると解釈されていました。しかし映像のみならずCD同様にコンピュータのデータ記憶にも用いられたことから、現在は「多目的、多用途」の意味を持つ「versatile(ヴァーサタイル)」を採用した「Digital Versatile Disc」としています。

また、「ディスク」はディスクメディアの種類によって英語のスペルが違い、光ディスクdisc磁気ディスクdiskと表記するのが一般的です。

CDとDVDの種類

CDやDVDは読み取り専用と記録用があり、記録用もさらに大きく2つに分けられます。

読み出し専用:CD-ROM、DVD-ROMなど。データの書き込みおよび削除は一切できません。主に販売・頒布用で、工場で作られます。ROMRead Only Memoryの略です。
ライトワンス型:CD-R、DVD-Rなど。一度だけ書き込みができ、また空き容量がある限りは追記が可能です。RRecordableの略です。
リライタブル型:CD-RW、DVD-RWなど。何度も書き込みできますが、データの一部だけを削除することはできません。書き換えるにはすべてのデータをいったん削除する必要があります。RWReWritableの略です。

データ記憶用のDVD-RAMは、全消去しなくても書き換えることが可能です。また、最近では「パケットライト」と呼ばれる、ワンスライト型やリライタブル型でもファイル単位で書き込みや削除ができる方法があります。

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