この記事では新じゃがいもとじゃがいもの違いについてみていきます。じゃがいもは一年中スーパーで購入できる上に、安価で食卓に欠かせない食材のひとつです。常備している家庭も多いでしょう。一方新じゃがいもは特定の期間に出回るものですが、普通のじゃがいもとの違いはどこにあるのでしょうか。今回はそんな身近な食材、新じゃがいもとじゃがいもの違いや特徴、注意点などを、根菜大好きライターaoと一緒に解説していきます。

ライター/ao

もともといも類が好きだが、北海道に移住したことでさらにじゃがいもが身近な存在になったライター。皮むきにはピーラー必須。

新じゃがいもとじゃがいもの違いは収穫時期

image by iStockphoto

春から初夏にかけてスーパーに出回る、小ぶりで可愛らしい新じゃがいも。期間限定のものは、つい手にとりたくなってしまいますよね。この2つの違いは収穫時期にあります。

新じゃがいもの収穫時期

新じゃがいもとは、通常のじゃがいもを完熟前に収穫したもの。多くは九州を中心に冬から栽培され、まだ葉と茎が青く小ぶりな状態で収穫されてすぐに出荷されます。皮が薄くて水分を多く含んでいるので、みずみずしく柔らかい食感で、香り高いのが特徴です。

収穫時期は地域によって異なり、一般的には冬に植え付けたものが3月から初夏にかけて収穫されますが、北海道では春に植え付けを行い、秋に収穫されます。

じゃがいもの収穫時期

一方通常のじゃがいもの多くは北海道で春から夏にかけて栽培され、秋から冬にかけて収穫後、貯蔵庫で熟成させたもの。水分が抜けているため新じゃがいもより硬く、でんぷんが多く含まれており、ほくほくとした食感が特徴です。新じゃがいも同様に収穫時期は地域によって異なりますが、収穫が行われない冬のあいだも貯蔵されたものが市場に出回るので、一年中手にいれることができます。

新じゃがいもとじゃがいもの特徴を知ろう

image by iStockphoto

新じゃがいもは完熟前に収穫されることにより、通常のじゃがいもとは食感に大きな違いが出ることがわかりました。同じじゃがいもではありますが、せっかくならそれぞれの特徴を知って使い分けたいですよね。新じゃがいもとじゃがいもについて、さらにくわしくみていきましょう。

\次のページで「新じゃがいもはビタミンCが豊富!」を解説!/

新じゃがいもはビタミンCが豊富!

じゃがいもにはビタミンCが含まれていますが、新じゃがいもには通常のじゃがいもの約4倍ものビタミンCが含まれています。これは、ビタミンCは収穫後時間が経つにつれて減少していってしまうことによるもの。新じゃがいもに含まれるビタミンCの量は、レモン1個分に相当するのです。

通常ビタミンCは水や加熱に弱く、調理によって失われてしまうのですが、じゃがいもはでんぷんに守られているため、加熱してもビタミンCが壊れにくいという特徴があります。

特徴にあわせた料理を楽しもう

じゃがいもの皮むきが少し面倒だと感じている人は少なくないでしょう。新じゃがいもは皮が薄いので、皮をむかずによく洗った後にそのまま調理することができます。

野菜は皮の近くに栄養が豊富に含まれているので、皮ごと食べられるじゃがバターや、そのまま素揚げにしたりしていただくのがおすすめです。また火が通りやすいので時短調理ができますね。

一方じゃがいもは硬くて煮崩れしにくいという特徴がありますので、煮物や炒め物などのお料理がおすすめです。また新じゃがいもにくらべると水分量が少ないので、ほくほくとした食感を楽しみたいマッシュポテトやコロッケ、サラダなどにも向いています。

新じゃがいもは早めに食べよう!

じゃがいもの特徴として、長期保存が可能という点があげられますが、新じゃがいもは水分量が多いため、長期保存はできません。時間の経過と共に風味が失われ、皮が硬くなったり青くなったりしてしまう恐れもあります。購入した後はなるべく早く食べ切るようにしましょう。低温にも弱いので、冷蔵庫には入れずに日のあたらない場所での常温保存がおすすめです。

じゃがいもについて詳しくなろう

image by iStockphoto

一年中手に入れることができ、和食、洋食、中華とさまざまな料理に活用できるじゃがいも。とても身近な食材ですが、どうして「じゃがいも」というのか、名前の由来を知っている人は多くないと思います。ここではじゃがいもについてさらに詳しくみていきましょう。

じゃがいもの歴史

じゃがいもの原産地は中南米から南米のアンデス山脈の3000~4000mの高地といわれています。当時はあく抜きをして粉にしたり、乾燥したものを水に戻して食用とされていたようです。

16世紀末にスペイン人がインカ帝国への遠征の際に、ヨーロッパにじゃがいもを持ち帰りましたが、当時は食用としてではなく観葉植物として栽培されていました。ドイツのフリードリヒ大王が、食糧飢饉の時にじゃがいもの生産性に目をつけて、栽培を奨励することで、食用として広がっていきます。

日本へは17世紀の初めにインドネシアのジャカルタから、オランダ人が長崎に持ち込んだのがはじまりです。「ジャカルタから来たいも=じゃがたらいも」がなまって「ジャガイモ」になったといわれています。日本でも最初は観葉植物として栽培されていましたが、江戸時代の飢饉の際に、飢えをしのぐための作物として広がっていきました。

\次のページで「「男爵いも」の由来」を解説!/

「男爵いも」の由来

現在広く流通しているじゃがいもの品種のひとつである「男爵いも」。これはアメリカで生まれた「アイリッシュ・コブラー」という品種で、明治時代に北海道開拓が大々的にはじまり、函館ドックの専務理事であった川田龍吉(かわだりゅうきち)がイギリスから導入したものです。

彼が爵位を持っていたために、「男爵いも」と呼ばれるようになりました。早熟かつ病害虫に強く、作りやすい品種であったため全国的に広がり、現在でも代表品種となっているのです。

天然毒素に注意しよう

じゃがいもを食べる際には、「ソラニン」と「チャコニン」という天然毒素に注意しなければなりません。これらはグリコアルカロイドという成分の一種で、じゃがいもの芽や緑色になった部分に多く含まれています。

ソラニンとチャコニンは水につけたり茹でたりすることで成分が溶けだしますが、完全にはなくなりません。芽が出てしまったじゃがいもは、芽とその周辺をしっかりとえぐり取るようにしましょう。出始めの小さな芽も取り除いてくださいね。

じゃがいもの芽は高温で明るい場所で育ってしまうので、冷暗所で保存し、芽が出ないようにすることが大切です。吐き気やおう吐、腹痛などの症状が出た場合は、すぐにお医者さんに診てもらいましょう。

栄養たっぷりのじゃがいもを食べよう!

ここまで新じゃがいもとじゃがいもの違いについて解説してきました。2つの違いは収穫時期にあることがわかりましたね。新じゃがいもはビタミンCが多く含まれていますが、通常のじゃがいもも、主食として食べられる国もあるほど栄養価の高い野菜なのです。ビタミンCのほかにビタミンB1やナイアシン、私たちの身体を健康に保つために欠かせない栄養素が含まれています。一年中手軽に購入できるじゃがいも。いろいろなお料理に活用してみてくださいね。

" /> 簡単でわかりやすい!新じゃがいもとじゃがいもの違いとは?おすすめの食べ方や歴史も根菜大好きライターが詳しく解説 – ページ 2 – Study-Z
雑学

簡単でわかりやすい!新じゃがいもとじゃがいもの違いとは?おすすめの食べ方や歴史も根菜大好きライターが詳しく解説

新じゃがいもはビタミンCが豊富!

じゃがいもにはビタミンCが含まれていますが、新じゃがいもには通常のじゃがいもの約4倍ものビタミンCが含まれています。これは、ビタミンCは収穫後時間が経つにつれて減少していってしまうことによるもの。新じゃがいもに含まれるビタミンCの量は、レモン1個分に相当するのです。

通常ビタミンCは水や加熱に弱く、調理によって失われてしまうのですが、じゃがいもはでんぷんに守られているため、加熱してもビタミンCが壊れにくいという特徴があります。

特徴にあわせた料理を楽しもう

じゃがいもの皮むきが少し面倒だと感じている人は少なくないでしょう。新じゃがいもは皮が薄いので、皮をむかずによく洗った後にそのまま調理することができます。

野菜は皮の近くに栄養が豊富に含まれているので、皮ごと食べられるじゃがバターや、そのまま素揚げにしたりしていただくのがおすすめです。また火が通りやすいので時短調理ができますね。

一方じゃがいもは硬くて煮崩れしにくいという特徴がありますので、煮物や炒め物などのお料理がおすすめです。また新じゃがいもにくらべると水分量が少ないので、ほくほくとした食感を楽しみたいマッシュポテトやコロッケ、サラダなどにも向いています。

新じゃがいもは早めに食べよう!

じゃがいもの特徴として、長期保存が可能という点があげられますが、新じゃがいもは水分量が多いため、長期保存はできません。時間の経過と共に風味が失われ、皮が硬くなったり青くなったりしてしまう恐れもあります。購入した後はなるべく早く食べ切るようにしましょう。低温にも弱いので、冷蔵庫には入れずに日のあたらない場所での常温保存がおすすめです。

じゃがいもについて詳しくなろう

image by iStockphoto

一年中手に入れることができ、和食、洋食、中華とさまざまな料理に活用できるじゃがいも。とても身近な食材ですが、どうして「じゃがいも」というのか、名前の由来を知っている人は多くないと思います。ここではじゃがいもについてさらに詳しくみていきましょう。

じゃがいもの歴史

じゃがいもの原産地は中南米から南米のアンデス山脈の3000~4000mの高地といわれています。当時はあく抜きをして粉にしたり、乾燥したものを水に戻して食用とされていたようです。

16世紀末にスペイン人がインカ帝国への遠征の際に、ヨーロッパにじゃがいもを持ち帰りましたが、当時は食用としてではなく観葉植物として栽培されていました。ドイツのフリードリヒ大王が、食糧飢饉の時にじゃがいもの生産性に目をつけて、栽培を奨励することで、食用として広がっていきます。

日本へは17世紀の初めにインドネシアのジャカルタから、オランダ人が長崎に持ち込んだのがはじまりです。「ジャカルタから来たいも=じゃがたらいも」がなまって「ジャガイモ」になったといわれています。日本でも最初は観葉植物として栽培されていましたが、江戸時代の飢饉の際に、飢えをしのぐための作物として広がっていきました。

\次のページで「「男爵いも」の由来」を解説!/

次のページを読む
1 2 3
Share: