砂糖と言えば飲み物や料理に欠かせないものですが、一口に「砂糖」と言っても様々な種類があるのを知っているか?いわゆる普通の砂糖と言われて思い浮かべるのは上白糖だし、お菓子作りをする人にはグラニュー糖も馴染み深いでしょう。どちらも白くてサラサラとしているが、砂糖の中には茶色いものもあるらしいぞ。
今回はその茶色い砂糖の中からきび砂糖と黒砂糖の違いを、原料や精製法から確認しつつ、雑学マニアの田坂と一緒に解説していきます。

ライター/田坂バーシル

子供の頃から本の虫で、些細な事柄も調べずにはいられない性質。小説、漫画はもちろん、歴史、芸術、宗教、宇宙、アンダーグラウンドまで興味は尽きないようだ。今日も文字の大海原に驚きとときめきを求める雑学マニア。

きび砂糖と黒砂糖の違いとは?

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どちらもイネ科サトウキビ属の「さとうきび」という植物から作られるお砂糖です。きび砂糖と黒砂糖の違いをざっくりと説明すると、「原料は同じだが精製度が違う」ということになります。この2つの味や成分の違いを、使い方もあわせて解説していきましょう。

きび砂糖ってどんなもの?

きび砂糖とは、さとうきびから作られる含蜜糖という種類のお砂糖です。上白糖のような甘さと黒糖に似たコクがあるので、どんなお料理にも万能に使うことができます。サラサラとしているので普段は白砂糖を使っているという人も、きび砂糖なら試してみやすいと思いますよ。

また三温糖と見た目がよく似ていますが、同じ茶色でも三温糖は上白糖の糖液を煮詰めてカラメル化させたもの。ミネラル分が残っているきび砂糖とは全く違うものですので、混同しないようにしましょう。

きび砂糖の原材料と精製法

甘蔗(かんしょ)とも呼ばれるさとうきびは暖かい気候を好むので、外国ではブラジル・アメリカ・中国・タイ・インドでの栽培が多く、日本では主に沖縄県・種子島などの鹿児島県南西諸島で栽培されています。高さ3〜4メートルまで成長するので、収穫直前のさとうきび畑はちょっとした森のようにも見えますよ。

上白糖よりも精製度の低いきび砂糖の精製法は、「さとうきび→圧搾・不純物除去→分蜜糖→原料糖・直消糖→煮詰め→結晶化→糖液→乾燥→きび砂糖」となっているそうです。

てんさい糖との違いは?

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てんさい糖とは、「甜菜(別名:さとう大根)」という野菜から作られているお砂糖のうち、精製度が低いもののことです。こちらもミネラル分を残した含蜜糖の仲間ですが、きび砂糖とは原料が違うのですね。甜菜の一大産地は北海道で、熱帯の植物であるさとうきびに比べ体を温める作用があるといわれています。

ミネラルはきび砂糖や黒砂糖よりも少ないのですが、整腸作用のあるビフィズス菌を増やすオリゴ糖が含まれているのがポイント。サラサラの粉末タイプなのでお料理や飲み物にサッと溶けるのが特徴で、上品で優しい甘さです。繊細で素材を活かすお料理にも適していると思います。

また、てんさい糖は冷めた時に甘みを強く感じるので、お料理によっては少なめに使用するのがおすすめです。開封後は固まりやすいので密閉容器に移すとよいでしょう。

\次のページで「きび砂糖と黒砂糖は危険?」を解説!/

きび砂糖と黒砂糖は危険?

実はきび砂糖と黒砂糖は、ハチミツと同様に1歳未満の乳幼児には与えてはいけないとされています。これはまだ腸内環境が整っていない1歳未満の乳幼児の場合、腸内でボツリヌス菌が増殖してしまい「乳児ボツリヌス症」にかかってしまう危険性があるためです。ですが商品によっては安全検査をしていると明記しているものもあります。

きび砂糖とプレミアムきび砂糖の製造工程には、加熱処理工程(“120℃4分以上”に相当する加熱)がありますので、万一、ボツリヌス菌が原料に潜んでいたとしても、確実に菌は死滅し、ボツリヌス毒素についても完全に無毒化されます。
また、これら製品の検査を定期的に行っておりますが、これまでボツリヌス菌を検出したことはありません。

(出典:日新製糖)

しかし全てのメーカーのきび砂糖について安心だと言えるわけではありません。きび砂糖と黒糖は1歳未満の乳幼児には与えないか、与える場合はパッケージやメーカーサイトをよく確認し、信頼できる商品のみを与えるようにしましょう。

黒砂糖ってどんなもの?

黒砂糖または黒糖は、さとうきびから作られたお砂糖で含蜜糖の仲間です。わかりやすく言うと、かりんとうにかかっている黒いお砂糖のことですね。さとうきびの絞り汁をそのまま煮詰めたもので、コクや風味が強い反面、精製度が低いので渋みや苦みも残っています。きび砂糖よりもさらに多くのミネラルなどを含んでいますよ。

固形状のものや粉末にしたものもあり、白砂糖に比べるとカロリーはやや低めです。和食と相性がよく、味付けに使うことでコクや旨味がプラスされます。

\次のページで「黒砂糖の原材料と精製法」を解説!/

黒砂糖の原材料と精製法

黒砂糖も、きび砂糖と同じくさとうきびからできています。黒砂糖の精製法はきび砂糖よりもシンプルで、「さとうきび→圧搾・不純物除去→含蜜糖→煮詰め→乾燥→黒糖」です。

さとうきびの絞り汁を生成することなくそのまま煮詰めて作られているため、カリウムカルシウム亜鉛ビタミンB6などの成分が含まれています。ミネラルが豊富なので健康志向の方にも人気がありますね。

黒砂糖のデメリット

黒砂糖には甘みの他に独特のコクと風味がありますよ。これをうまく活かすことができればお料理に入れる調味料の量を減らすこともできるのですが、少々焦げ付きやすいという欠点があります。さらに白さを活かしたい、色を付けたくないお料理には入れないほうがよいでしょう。またきび砂糖と同様に1歳未満の乳幼児には、乳児ボツリヌス症にかかるおそれがあるため与えてはいけません

きび砂糖と黒砂糖はどんな風に使ったらいいの?

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きび砂糖はサラサラとしていて甘みもしっかりとあり、クセや風味も強くはないのでどんなお料理にも使いやすいといえます。黒砂糖には旨味やコクがあり「茶色く色づいて照りがつきやすい」という特徴がありますよ。以下のようにメリットがありますが、少々焦げ付きやすいので火加減には注意が必要です。

・煮物や照り焼きなどに綺麗に照りがつく
・色が付くことで味が濃く見えるので、醤油やみりんの量を減らせる。
旨味コクがアップする。
・魚の生臭さを消してくれる
・洋菓子でも色を気にしないものなら使え、味に深みが出る…など。

しかし、きび砂糖も黒砂糖も風味と色を付けてしまいますので、以下のものへの使用は避けたほうがよいかもしれません。黒砂糖は固形のものもありますが、粉末状にしてあるものはお料理にも使いやすいですね。

・紅茶やコーヒーの香りを楽しみたいとき。
・繊細な味付け、薄味のもの。
・フルーツを漬けるシロップ液。
・ピクルス液。
・酢飯…など。

体にいいお砂糖とは?

どんな種類のお砂糖でも食べ過ぎると毒になってしまうことは言うまでもありません。過剰摂取すると、肥満・生活習慣病・虫歯・高血糖・ショ糖依存などに繋がってしまいます。ですがミネラルなどの栄養分が残っており、血糖値の上昇がゆるやかなお砂糖は比較的体に優しいと言えるでしょう。含蜜糖の仲間をいくつかご紹介します。

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・きび砂糖
・黒砂糖(黒糖)
・赤糖
・てんさい糖
・メープルシュガー…など。

繰り返しになりますが、きび砂糖と黒砂糖はボツリヌス菌を含んでいるおそれがあるので1歳未満の乳幼児には与えないか、信頼できるメーカーのものをあげるようにしてください。また黒砂糖にはカリウムが豊富に含まれているため、人工透析をしている方は避けたほうがよいでしょう。

代用したい時

例えば作りたいお料理のレシピに「砂糖大さじ1」とある時、この「砂糖」とは一般的には上白糖のことを指しています。上白糖を他のお砂糖に置き換えて作ってみたい、という時には下の量を参考にしてみてください。ただ味付けには好みもありますので、いずれもまずは少量で作って試してみるのがよいですね。

・上白糖→きび砂糖で代用:同量か、ほんの少し控えめ。(雑味があるため上白糖よりも甘いと感じる方が多いようです。)
・上白糖→黒砂糖で代用:同量。(甘みだけでいうと上白糖より弱いのですが、増やすと渋みや苦味も増えてしまいます。)
・上白糖→てんさい糖で代用:同量か、やや多め。(マイルドな甘みなので足りないと感じるようであれば少し増やしましょう。)

きび砂糖と黒砂糖のそれぞれの特徴を知って使い分けよう!

お砂糖は原料、精製法のちがいによっていくつもの種類に分けられます。味わいや成分の違いを知ってお砂糖を使い分けるのも楽しいですね。きび砂糖は料理全般に使えます。おすすめ料理はさばの味噌煮、ケーキスポンジなど。そして黒砂糖はクセを理解して使いましょう。おすすめ料理は肉じゃが、ぶりの照り焼きなどですよ。最後になりますが、この記事で健康的なお砂糖の使い方を理解するお手伝いができたら幸いです。

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雑学

簡単でわかりやすい!きび砂糖と黒砂糖の違いとは?てんさい糖との違いや使い分け・健康への影響も雑学マニアが詳しく解説

砂糖と言えば飲み物や料理に欠かせないものですが、一口に「砂糖」と言っても様々な種類があるのを知っているか?いわゆる普通の砂糖と言われて思い浮かべるのは上白糖だし、お菓子作りをする人にはグラニュー糖も馴染み深いでしょう。どちらも白くてサラサラとしているが、砂糖の中には茶色いものもあるらしいぞ。
今回はその茶色い砂糖の中からきび砂糖と黒砂糖の違いを、原料や精製法から確認しつつ、雑学マニアの田坂と一緒に解説していきます。

ライター/田坂バーシル

子供の頃から本の虫で、些細な事柄も調べずにはいられない性質。小説、漫画はもちろん、歴史、芸術、宗教、宇宙、アンダーグラウンドまで興味は尽きないようだ。今日も文字の大海原に驚きとときめきを求める雑学マニア。

きび砂糖と黒砂糖の違いとは?

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どちらもイネ科サトウキビ属の「さとうきび」という植物から作られるお砂糖です。きび砂糖と黒砂糖の違いをざっくりと説明すると、「原料は同じだが精製度が違う」ということになります。この2つの味や成分の違いを、使い方もあわせて解説していきましょう。

きび砂糖ってどんなもの?

きび砂糖とは、さとうきびから作られる含蜜糖という種類のお砂糖です。上白糖のような甘さと黒糖に似たコクがあるので、どんなお料理にも万能に使うことができます。サラサラとしているので普段は白砂糖を使っているという人も、きび砂糖なら試してみやすいと思いますよ。

また三温糖と見た目がよく似ていますが、同じ茶色でも三温糖は上白糖の糖液を煮詰めてカラメル化させたもの。ミネラル分が残っているきび砂糖とは全く違うものですので、混同しないようにしましょう。

きび砂糖の原材料と精製法

甘蔗(かんしょ)とも呼ばれるさとうきびは暖かい気候を好むので、外国ではブラジル・アメリカ・中国・タイ・インドでの栽培が多く、日本では主に沖縄県・種子島などの鹿児島県南西諸島で栽培されています。高さ3〜4メートルまで成長するので、収穫直前のさとうきび畑はちょっとした森のようにも見えますよ。

上白糖よりも精製度の低いきび砂糖の精製法は、「さとうきび→圧搾・不純物除去→分蜜糖→原料糖・直消糖→煮詰め→結晶化→糖液→乾燥→きび砂糖」となっているそうです。

てんさい糖との違いは?

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てんさい糖とは、「甜菜(別名:さとう大根)」という野菜から作られているお砂糖のうち、精製度が低いもののことです。こちらもミネラル分を残した含蜜糖の仲間ですが、きび砂糖とは原料が違うのですね。甜菜の一大産地は北海道で、熱帯の植物であるさとうきびに比べ体を温める作用があるといわれています。

ミネラルはきび砂糖や黒砂糖よりも少ないのですが、整腸作用のあるビフィズス菌を増やすオリゴ糖が含まれているのがポイント。サラサラの粉末タイプなのでお料理や飲み物にサッと溶けるのが特徴で、上品で優しい甘さです。繊細で素材を活かすお料理にも適していると思います。

また、てんさい糖は冷めた時に甘みを強く感じるので、お料理によっては少なめに使用するのがおすすめです。開封後は固まりやすいので密閉容器に移すとよいでしょう。

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