パソコンやスマホで何GHzってよく聞くよな。ものによって違うがいくつか種類があるよな。数字が大きい方が性能が良いらしいが、そもそもこのGHzってなんだかわかるか。この数字が何を意味していて、数字の違いによって何が違うのかを、パソコン歴35年以上のプログラマでもあるライターのwoinaryと一緒に解説していきます。

ライター/woinary

某社で社内向け業務システムの開発、運用を30年近くやっていたシステム屋さん。パソコン歴は35年以上。現在はフリーランス。ガジェットやゲーム、ラノベが大好きなおっさんです。

音楽で言えばテンポ?GHzの意味とは

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パソコンやスマホのCPUやSoCの性能を表す数字として3GHzなどの数字を見たことがありますよね。このGHzとは何を表す数字なのでしょう。これはクロック周波数略してクロック数です。では、クロック数とは何を示しているのでしょう。

ざっくり言うとパソコンやスマホの動くテンポ数字が大きければテンポが早く、小さければ遅くなります。同じことをするのでも、テンポ早くちゃっちゃとやればすぐ終わるし、ノロノロしていればなかなか終わらないですよね。

一定のテンポで動く?コンピューターの仕組み

パソコンやスマホの分解写真や中を見たことがありますか。パソコンなどはCPUをはじめとした多くの部品でできています。また、CPUの中も役割ごとの部品の組み合わせです。このように多くの部品からできているコンピューターが普通に動くために重要なのがテンポ一定のテンポで動くことで、多くの部品同士が整然とやり取りできます。

このテンポを決める部品はどこにあるでしょう。実は、クロックという部品があります。クロックとは時計ですが、この場合は音楽室にあるメトロノームが近いです。一定のテンポを刻むことで、CPUやメモリ、その他の部品が同じテンポで整然と動いています。

テンポが変われば、性能も変わる?

クラシック音楽では指揮者によってテンポが違うことをご存知ですか。普通の音楽では1曲が何分か、テンポはどれくらいか決まっています。しかし、クラシックでは指揮者がテンポを変えることも。例えばCDのサイズを決めるきっかけとなったベートーヴェンの交響曲9番の一般的な演奏時間は74分程度。しかし、指揮者によっては80分を超えることもあります。また、昔は1時間かからずに演奏していたこともあるそうです。

これは指揮者によってテンポが違うため。他にも間の取り方などいくつかの要素がありますが、指揮者がこの曲はどれくらいのテンポで演奏しようかと決めています。コンピューターでテンポを決めるのはクロック。そして、CPUの性能のクロック数は「このテンポまでは問題なく動くよ」ということを示す上限値です。3GHzと3.2GHzのCPUがあった場合、3.2GHzのCPUの方がよりテンポはやく動きます

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テンポが違う?クロック周波数とは

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カタログなどに書いてある3GHzといった数字がクロック周波数であることを説明しました。では、このクロック周波数とは何でしょう。また、どう性能に関わるのでしょう。そこを説明していきます。

コンピューターはオーケストラ?テンポを決めるクロック

音楽のテンポは1分間に何拍かで数えます。一方、コンピューターでは1秒間に何拍かです。その単位がHz(ヘルツ)。G(ギガ)は10億ですので、3GHzだと1秒間に30億回の拍子です。コンピューターはこのテンポに合わせて動きます。

この1秒間に何拍かを表す数が周波数です。コンピューターのクロックの周波数なので、クロック周波数と呼びます。多くの演奏者からなるオーケストラが曲を演奏するテンポを指揮者が決めるように、コンピューター全体のテンポを決めるのがクロックです。

クロック周波数が違うとなぜ性能が変わる?

感覚的にはテンポが早ければ性能が高く、遅ければ低いというのはわかるかと思います。でも、なぜテンポで変わるのでしょう。コンピューターはこのテンポに合わせて動きます。実際にはもっと複雑ですが、1拍でプログラムが1行分進むと考えてください。

例えば、1万行のプログラムがあったとします。話を簡単にするためにテンポが100Hzと200Hzのコンピューターを考えましょう。100Hzは1秒間に100拍ですから10000÷100=100秒かかりますよね。これが200Hzならば10000÷200=50秒で終わります。クロック周波数が大きくなれば、その分、プログラムも早く終わりますよね。つまり、性能がよいわけです。

意味がない?違うCPUでの比較

クロック周波数が性能を表すと説明しました。では、パソコンとスマホのどちらも3GHzであれば、同じ性能なのでしょうか?

答えは違います。なぜならば、パソコンとスマホではCPUが違うものだからです。1拍でどれだけのことができるかはCPUの種類で違います。そのため、違うCPU同士を比べても参考にしかならないのです。パソコン同士やスマホ同士ならば性能の目安になります。ただ、パソコンやスマホでクロック周波数を比べても、それだけで性能の良し悪しを判断することはできません

クロック周波数だけじゃない!性能を決める他の要素

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クロック数が性能を判断する目安と説明しましたが、それだけでは性能は決まりません。それを説明するためにもパソコンのクロック数の歴史と、クロック数以外の性能を決める要素を説明していきます。

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2000年以前:クロック周波数が劇的に変化

パソコンが生まれた頃のクロック数はどれくらいだったと思いますか。1970年代後半に生まれた頃のパソコンのCPUは2〜6MHzでした。M(メガ)は100万です。今のGHzからすると1000分の1ですね。パソコンのCPUのクロック数が1GHzを超えたのは2000年頃になります。それまでは30年かけて数MHzから数十MHz、そして数百MHzとだんだんとクロック数が上がっていきました。

クロック数が10倍大きくなれば、違いはかなり大きいですよね。そのため、クロック数=性能の目安だったわけです。

2000年以後:クロック数は上げ止まり

2000年に1GHzを超えてからは、クロック数はそれ程変わらなくなりました。2008年に3GHzのCPUが登場しましたが、2020年になっても3GHz程度のままクロック数はもう頭打ちになっています。

なぜ、クロック数は頭打ちになってしまったのでしょう。テンポをどんどん上げれば、どこかでタイミングがうまく合わなくなってしまいますよね。CPUもそれは同じ。テンポには上限があるのです。今後、画期的な技術が出てくればもっとクロック数が上がることもあるかも。ただ、今のところは当分大きな変化はなさそうです。

クロック周波数だけではない!様々な工夫

頭打ちになったためにCPUメーカーはクロック数を競うのではなく、コア数を競うようになります。パソコンやスマホのカタログのCPUの部分に2コアや4コアと書いてあるのがそれです。これはざっくり言えば1つのCPUの中に頭脳が2つや4つ入っているということ。単純計算では2コアであれば同じ作業を2倍でできますし、4コアなら4倍です。

実際には複雑な事情があるため2コアで2倍にはなりませんが、それでもコア数が多い方が一般的には性能は上になります。場合によってはコア数が大きいがクロック数が低いものの方が、コア数が小さくクロック数が高いものより早くなることも。性能が単にクロック数だけでは判断できなくなったわけです。

クロック周波数だけ比べても意味はない、総合的に判断すべき

CPUのGHzの数字の意味と違いが理解できたでしょうか。この数字はクロック周波数というものです。音楽で言えばテンポのようなもの。このテンポに合わせてコンピューターが動きます。そのため、数字が大きい方が性能がよいという目安のひとつです。

ただ、2000年以前はクロック周波数がどんどん上がったので分かりやすい目安でした。しかし、それ以降はクロック周波数が上がらなくなり、コア数など別のもので競うようになります。そのため、現在は単にクロック周波数の数字の大小だけを比べても、必ずしも正確な目安にはなりません。ただし、他の条件がまったく同じであれば、テンポを表すクロック周波数の数字が目安になります。

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IT・プログラミング雑学

簡単でわかりやすい!CPUのGHzの数字の違いとは?クロック周波数の仕組みや歴史もプログラマーが詳しく解説

パソコンやスマホで何GHzってよく聞くよな。ものによって違うがいくつか種類があるよな。数字が大きい方が性能が良いらしいが、そもそもこのGHzってなんだかわかるか。この数字が何を意味していて、数字の違いによって何が違うのかを、パソコン歴35年以上のプログラマでもあるライターのwoinaryと一緒に解説していきます。

ライター/woinary

某社で社内向け業務システムの開発、運用を30年近くやっていたシステム屋さん。パソコン歴は35年以上。現在はフリーランス。ガジェットやゲーム、ラノベが大好きなおっさんです。

音楽で言えばテンポ?GHzの意味とは

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パソコンやスマホのCPUやSoCの性能を表す数字として3GHzなどの数字を見たことがありますよね。このGHzとは何を表す数字なのでしょう。これはクロック周波数略してクロック数です。では、クロック数とは何を示しているのでしょう。

ざっくり言うとパソコンやスマホの動くテンポ数字が大きければテンポが早く、小さければ遅くなります。同じことをするのでも、テンポ早くちゃっちゃとやればすぐ終わるし、ノロノロしていればなかなか終わらないですよね。

一定のテンポで動く?コンピューターの仕組み

パソコンやスマホの分解写真や中を見たことがありますか。パソコンなどはCPUをはじめとした多くの部品でできています。また、CPUの中も役割ごとの部品の組み合わせです。このように多くの部品からできているコンピューターが普通に動くために重要なのがテンポ一定のテンポで動くことで、多くの部品同士が整然とやり取りできます。

このテンポを決める部品はどこにあるでしょう。実は、クロックという部品があります。クロックとは時計ですが、この場合は音楽室にあるメトロノームが近いです。一定のテンポを刻むことで、CPUやメモリ、その他の部品が同じテンポで整然と動いています。

テンポが変われば、性能も変わる?

クラシック音楽では指揮者によってテンポが違うことをご存知ですか。普通の音楽では1曲が何分か、テンポはどれくらいか決まっています。しかし、クラシックでは指揮者がテンポを変えることも。例えばCDのサイズを決めるきっかけとなったベートーヴェンの交響曲9番の一般的な演奏時間は74分程度。しかし、指揮者によっては80分を超えることもあります。また、昔は1時間かからずに演奏していたこともあるそうです。

これは指揮者によってテンポが違うため。他にも間の取り方などいくつかの要素がありますが、指揮者がこの曲はどれくらいのテンポで演奏しようかと決めています。コンピューターでテンポを決めるのはクロック。そして、CPUの性能のクロック数は「このテンポまでは問題なく動くよ」ということを示す上限値です。3GHzと3.2GHzのCPUがあった場合、3.2GHzのCPUの方がよりテンポはやく動きます

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