この記事では「伸びる」と「延びる」の違いについてみていきます。どちらも「のびる」と発音するな。そして、どちらも長くなるという意味がありますが、違いはのびる対象にあるようです。今回は使い分けが難しい「伸」と「延」の違いについて、各々の漢字が使われている言葉の意味を比較し確認しながら、読書好き文系OLライターyukoと一緒に解説していきます。

ライター/yuko

工事会社勤務9年目。心に浮かんだもやもやを言語化することでストレス発散をはかる現役OLライター。読書が趣味で、日々様々な言葉に触れている。最近は、言葉の持つ意味を理解して文章をより豊かに読み進めていく丁寧な読書を心がけている。

「伸びる」と「延びる」の違いはのびる対象の状態

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伸びると延びるの違いはのびる対象にあります。簡単に説明すると、「伸びる」は対象そのものが長くなること「延びる」は対象につぎ足しされて長くなることを意味しているという。まずは各々の漢字を用いた熟語について比較しながらみていきましょう。

伸びる:対象そのもの

伸びるは対象そのものが長くなることをさします。「伸」を使った熟語を例にみてみましょう。

伸長:(力や物の長さなどが)のびること。また、のばすこと。
屈伸:ちぢめたり、のばしたりすること。かがめたり、のばしたりすること。のびちぢみ。
追伸:手紙で、本文を書き終えたあとで文句を書き足す場合、その初めに書く語。あとから加えて申すという意。
欠伸:眠いとき、飽きたとき、疲れたときなどに、不随意に口を大きく開いて深く息を吸い、その息を短く吐き出す呼吸運動。血液中の二酸化炭素の濃度が高くなると、呼吸中枢が刺激されて起こる。

(出典:大辞林)

伸長や屈伸は、対象そのものが長くなること、対象そのものが真っすぐになることを「伸」という漢字で表しています。また、追伸の場合は追申とも同議で表すことができ「伸」という漢字には述べるという意味も含まれていることがわかりますね。

また難読漢字として欠伸(あくび)があげられますが、こちらの語源は枕草子の「欠(あく)ぶ」の名詞であるという説があり、大きく口を開けて背伸びをしている様子を意味していたんだそう。

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延びる:対象につぎ足される

延びるは対象につぎ足されて長くなることをさします。「延」を使った熟語を例にみてみましょう。

延長:①長さ・期間などを予定よりも長く延ばすこと。また、延ばした部分。②長さや距離などをひとまとめにした場合の全体の長さ。全長。③与えられた線分を、より長い線分に延ばしたり、一方向を延ばして半直線にしたり、両方向を延ばして直線全体にしたりすること。また、そのようにしてできた線分・半直線・直線。④ある物事の続きと考えられること。
延滞:(金銭の納入や支払いなどが)期日に遅れてとどこおること。
延期:決めた期日・期限をのばすこと。

(出典:大辞林)

延長、延滞、延期のすべてに通ずる特徴は時間に関係があるということ。特に意識を向けたいのは決められた時間が基準になっている点です。延長は決められた時間よりも長くなること、延滞は決められた時間よりも遅れること、延期は決められた時間よりも期限をのばすことを意味していますね。また、時間とあわせて決められた距離についても、その長さが長くなる場合に「延」の漢字が使われています。

共通していえるのは「延」という漢字は既に決められた対象(時間や距離)の長さ自体は変わらず、それに加えてどうなったのかということを表す場合に使われているということですね。

類義語と対義語は?

ここからは「伸びる」と「延びる」の類義語と対義語についてみていきます。同じような状態を表現するために使われる言葉や、逆の意味を持つ言葉について比較することで、さらに理解を深めていきましょう。

「伸びる」の類義語と対義語

伸びるの類義語は増加する、膨らむ、発展する、育つ、広がる、昇る、押し広げるなどがあげられます。繰り返しになりますが、これらの単語に共通するのは、対象自体が変化をしているという点ですね。また、伸びるの対義語は縮む、屈(かが)むあたりになるようです。こちらも対象自体の状態の変化を表した言葉になりますね。

\次のページで「「延びる」の類義語と対義語」を解説!/

「延びる」の類義語と対義語

延びるの類義語は及ぶ、続く、広がる、亘(わた)るなどです。伸びると重複する言葉もありますが、こちらの特徴は、時間や距離に対する動詞が多くあるように感じますね。対象そのものが形を変えて大きくなっていくのではなく一定の時間や距離について継ぎ足しながら大きくなっていくという表現に当てはまる言葉になるでしょう。

また、延びるの対義語は縮まる、早まるなど。こちらも伸びると一部重複しますが、時間や距離の変化を表している言葉になっています。

「伸びる」と「延びる」の使い分け

同じ「のびる」でも使用する漢字が違うだけで、対象の状態や見え方が変わってくることが分かってきました。実際の例文をみながら使い分け方をマスターしましょう。

伸びる(伸ばす)の使い方

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伸びるは対象そのものの状態が変化しているかどうか、という点を意識して使ってみましょう。具体的には、対象自体が長くなったり、引っ張られて真っすぐになったり、引き伸ばされたりして対象の状態が伸びる前と変わっているといったところです。また目に見えない対象であっても、対象が成長や発展をするという意味で使われることもありますので注意してみてくださいね。

髪が伸びる…髪自体が長くなる
成績が伸びる…成績自体が高くなる、成長する
絵具を水で伸ばす…水を加えて絵具自体が広がる
洋服の皺を伸ばす…縮んでいた洋服自体を引っ張て真っすぐにする
背筋を伸ばす…屈んでいた背筋自体を真っすぐにする

延びる(延ばす)の使い方

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延びるはすでに決まっている点につぎ足し長くしていく、ということを意識して使ってみましょう。

寿命が延びる…既に決まっていた寿命がつぎ足されて長くなる
線路が延びる…既にあった線路がつぎ足されて長くなる

\次のページで「のびる対象の変化を意識して、伸びると延びるを使い分けよう!」を解説!/

「のびる」の対象は時間や距離になりますね。この対象の端の点に注目して捉えてみるとさらにわかりやすくなるかもしれません。端の点の位置が変わらず、その点の先に加えたり追加してのばしていく場合は「延」をつかって表現することになります。

生き延びる…既に決まっていた生きる範囲を突破して、さらにつぎ足して生きる状態を長くする

例にあげた「生き延びる」ですが、端の点を限界点と言い換えて、生きる限界点を突破して、さらにつぎ足していくと捉えると理解しやすくなるでしょう。

のびる対象の変化を意識して、伸びると延びるを使い分けよう!

文章を書くときに、この場合はどっちの「のびる」だっけ?と迷ったら、のびる対象の状態がどうなっているのかということを考えてみましょう。対象自体の状態が長くなったり広がったり変化しているのか、はたまた、対象自体は変わらず、つぎ足したり加えたりすることで長くなったり広がったりしているのか、このポイントを意識することで「伸びる」と「延びる」の使い分けは簡単にできるはずです。

何気なく使っている言葉だからこそ、しっかり意味を理解して使い分けてみるのも面白いかもしれません。「のびる」にとどまらず、日ごろから丁寧に言葉の意味を考えてみるのもおすすめです。

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言葉の意味雑学

簡単でわかりやすい!「伸びる」と「延びる」の違いとは?対義語や例文、使い分け方まで読書好き文系OLライターがくわしく解説

延びる:対象につぎ足される

延びるは対象につぎ足されて長くなることをさします。「延」を使った熟語を例にみてみましょう。

延長:①長さ・期間などを予定よりも長く延ばすこと。また、延ばした部分。②長さや距離などをひとまとめにした場合の全体の長さ。全長。③与えられた線分を、より長い線分に延ばしたり、一方向を延ばして半直線にしたり、両方向を延ばして直線全体にしたりすること。また、そのようにしてできた線分・半直線・直線。④ある物事の続きと考えられること。
延滞:(金銭の納入や支払いなどが)期日に遅れてとどこおること。
延期:決めた期日・期限をのばすこと。

(出典:大辞林)

延長、延滞、延期のすべてに通ずる特徴は時間に関係があるということ。特に意識を向けたいのは決められた時間が基準になっている点です。延長は決められた時間よりも長くなること、延滞は決められた時間よりも遅れること、延期は決められた時間よりも期限をのばすことを意味していますね。また、時間とあわせて決められた距離についても、その長さが長くなる場合に「延」の漢字が使われています。

共通していえるのは「延」という漢字は既に決められた対象(時間や距離)の長さ自体は変わらず、それに加えてどうなったのかということを表す場合に使われているということですね。

類義語と対義語は?

ここからは「伸びる」と「延びる」の類義語と対義語についてみていきます。同じような状態を表現するために使われる言葉や、逆の意味を持つ言葉について比較することで、さらに理解を深めていきましょう。

「伸びる」の類義語と対義語

伸びるの類義語は増加する、膨らむ、発展する、育つ、広がる、昇る、押し広げるなどがあげられます。繰り返しになりますが、これらの単語に共通するのは、対象自体が変化をしているという点ですね。また、伸びるの対義語は縮む、屈(かが)むあたりになるようです。こちらも対象自体の状態の変化を表した言葉になりますね。

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