ピスタチオは「緑の宝石」と呼ばれるグリーンの色みが美しい、ナッツの一種です。「国産品」はほぼ流通しておらず、ほとんどが輸入品です。それはなぜでしょう?また、日本ではあまり知られていないが、産地や品種によって、その形や風味には色々なバリエーションがあるんです。この記事ではピスタチオの生産地や旬、品種の違いなどを、果物大好きパティシエのmei.mと一緒に詳しく解説していきます。

ライター/mei.m

15年近くウェディングケーキを作ってきたパティシエで、現在は2児のママ。フルーツが大好きで、味見と称して様々な果物を食べてきました。ピスタチオはフレーバーにしても、デコレーションにしても、お菓子を格上げしてくれる頼れる食材!

ピスタチオの旬はいつ?

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ピスタチオの旬は、8月下旬~10月です。完熟すると、種の周りの実は黄紅色に染まり、果皮がはじけると収穫されますよ。

ピスタチオの生産地

世界のピスタチオ生産は1位アメリカ2位トルコ3位イランです。数年前まではイランが生産量トップでしたが、近年は「アメリカでの栽培が増えた」というより、イランでの生産量が減少傾向にあります。イランのラフサンジャンはピスタチオの名産地として有名ですね。

最新のデータによると、アメリカは世界のピスタチオ生産のシェア40%以上を占めており、そのほとんどがカリフォルニア州で栽培されています。その他、少量ですがヨーロッパ諸国でも栽培されていますよ。

ちなみに、ピスタチオの消費量のトップトルコです。生産量も世界第3位と多く、伝統菓子にもピスタチオが使われたものが多くあります。トルコでは身近な食材なのですね。

日本への主な輸入先

日本の気候では栽培が難しく、国産ピスタチオはほぼ作られていません。そのため、日本で流通するピスタチオはほとんど輸入品になります。輸入先は圧倒的にアメリカが多く、日本に出回るピスタチオの90%以上がアメリカ産です。

また、ピスタチオを使ったスイーツの流行によって、近年、ピスタチオの輸入量が増えており、特に殻剥きピスタチオの輸入量は2021年を境倍以上になっています。

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なぜ国産品は作られないの?

国産のピスタチオが栽培されない理由は、日本の環境や風土がピスタチオの育つ条件に合わないからです。

ピスタチオはもともと砂漠地帯が原産のナッツで、日照時間が長く乾燥した環境を好みます。そのため、受粉の時期に重なる梅雨や、冬に気温が低下する日本では、なかなかたくさん実りません。日本に伝わってきた当初は栽培を試みた経緯はあるようですが、うまくいかず定着しなかったようです。

日本で値段が高い理由

ピスタチオを使ったスイーツは高級なイメージですね。なぜピスタチオは他のナッツに比べ高価になるのでしょうか?

それは、ピスタチオの生産が需要に対し不足しているからなのです。もともとピスタチオの育つ条件が揃う、栽培可能な地域は限定されており、さらに木を植えて実がなるまでに時間がかかるため、なかなかすぐには生産量を上げられません。また、日本では国産品の栽培が出来ないので、「希少性が高い」という理由もあるようですよ。

ピスタチオの代表4品種

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ピスタチオの品種は、世界に100種類以上あるそうです。品種によってサイズや形が様々で、丸い形の「ラウンドタイプ」、細長い「ロングタイプ」、大きめサイズの「ジャンボタイプ」などに分けられています。日本ではテイストはお馴染みでも、品種による形の差はあまり馴染みがないかもしれませんね。では代表的な4品種をご紹介します。

1.ファンドギ(ラウンドタイプ)

ピスタチオの名産地イランで、50%を占め最も栽培されている人気品種です。ラウンドタイプなので、丸っこい形をしています。

2.アクバリ(ロングタイプ)

主にイランの南東部で栽培されている品種です。中身の種が大きいのが特徴ですが、殻も広く開いているので、簡単に取りだすことが出来ます。

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3.カレグチ(ジャンボタイプ)

「4000年以上前から栽培されていた」とされる、歴史の古い品種です。カレグチとはペルシャ語で「牡羊の頭」のことで、特徴的な細長い形が似ていることから付けられました。

4.グリーンカーネル

鮮やかな緑色をした貴重なピスタチオです。完熟直前に収穫され、殻と薄皮を取り除きますが、ローストされないため、フレッシュの美しい色みと香りが残っています。色の濃淡によってランクがつけられ、緑色が濃いほど価値が高くなるそう。お菓子などに使われることが多い高級品です。

ピスタチオの選び方

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ピスタチオを選ぶ際には、「食べ方」「好みの味わい」で選ぶと良いでしょう。以下に、「ピスタチオを選ぶポイント」を挙げてみました。

・「殻付き」か「殻なし」か
・「生」か「ロースト」か
・「素焼き」か「味付き」か
・産地や品種はどうか?

ピスタチオを選ぶ時に、まず最初に考えるのは「殻付き」「殻なし」ですね。「殻付き」だと湿気を防ぎ風味がしっかりと保たれます。そのまま食べる場合は、「殻付き」がおすすめ。特にダイエット中なら、殻をむきながら時間をかけて食べられる殻付きは、食べ過ぎも防げますね。「殻なし」の場合、風味や香りが失われやすいという欠点があるものの、料理など大量に使う場合は手間が無く使いやすいのが利点です。

さらに、「生」「ロースト」かも選ぶポイント。ローストの場合、塩味などが付いているものもありますね。

また、ピスタチオは産地によって風味が異なると言われています。「イラン産」甘みやコクが強くて香ばしく「アメリカ産」は優しい味わいで他の食材に合わせやすい「ギリシャ産」コクと旨味を感じながら軽やかな味わい、という特徴があるそうです。食べ比べて、好みの産地を見つけるのも楽しいですね。

良いピスタチオと避けたいピスタチオ

ピスタチオは「緑の宝石」とも呼ばれ、緑色が濃いほど良質とされています。さらに、湿気で酸化しやすく、香りも悪くなるので、食べる直前まで殻が付いているピスタチオの方が美味しく食べられますよ。

また、ピスタチオの場合、カビが生えることがあるので要注意。ピスタチオに生えるカビ「アフラトキシン」は発がん性があり、食べると危険です。ピスタチオが黒や白に変色していたり、異臭がする場合は食べずに破棄しましょう。

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産地・姿・風味と種類豊富!様々なバリエーションを楽しもう!

国産品にはなかなか出会えませんが、様々な地域で栽培されているピスタチオ。育った土地によって風味も異なり、品種によっても形は様々。殻や味付け、産地など、食べ方や使い方に合わせて自分好みのピスタチオを選んで楽しみましょう。

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ピスタチオはなぜ高い?産地の違いや旬の時期、品種など果物大好きパティシエが簡単にわかりやすく解説

ピスタチオは「緑の宝石」と呼ばれるグリーンの色みが美しい、ナッツの一種です。「国産品」はほぼ流通しておらず、ほとんどが輸入品です。それはなぜでしょう?また、日本ではあまり知られていないが、産地や品種によって、その形や風味には色々なバリエーションがあるんです。この記事ではピスタチオの生産地や旬、品種の違いなどを、果物大好きパティシエのmei.mと一緒に詳しく解説していきます。

ライター/mei.m

15年近くウェディングケーキを作ってきたパティシエで、現在は2児のママ。フルーツが大好きで、味見と称して様々な果物を食べてきました。ピスタチオはフレーバーにしても、デコレーションにしても、お菓子を格上げしてくれる頼れる食材!

ピスタチオの旬はいつ?

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ピスタチオの旬は、8月下旬~10月です。完熟すると、種の周りの実は黄紅色に染まり、果皮がはじけると収穫されますよ。

ピスタチオの生産地

世界のピスタチオ生産は1位アメリカ2位トルコ3位イランです。数年前まではイランが生産量トップでしたが、近年は「アメリカでの栽培が増えた」というより、イランでの生産量が減少傾向にあります。イランのラフサンジャンはピスタチオの名産地として有名ですね。

最新のデータによると、アメリカは世界のピスタチオ生産のシェア40%以上を占めており、そのほとんどがカリフォルニア州で栽培されています。その他、少量ですがヨーロッパ諸国でも栽培されていますよ。

ちなみに、ピスタチオの消費量のトップトルコです。生産量も世界第3位と多く、伝統菓子にもピスタチオが使われたものが多くあります。トルコでは身近な食材なのですね。

日本への主な輸入先

日本の気候では栽培が難しく、国産ピスタチオはほぼ作られていません。そのため、日本で流通するピスタチオはほとんど輸入品になります。輸入先は圧倒的にアメリカが多く、日本に出回るピスタチオの90%以上がアメリカ産です。

また、ピスタチオを使ったスイーツの流行によって、近年、ピスタチオの輸入量が増えており、特に殻剥きピスタチオの輸入量は2021年を境倍以上になっています。

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