「ピスタチオ」は、縦に割れた白っぽい殻に包まれていて、実の部分が鮮やかなグリーンをしているナッツの一種です。お酒のおつまみとして食べられるイメージがありますが、最近では高級感あるスイーツのバリエーションとしても良く知られるようになったな。ピスタチオには高い栄養価があり、そのことから「ナッツの女王」と呼ばれているんです。今回の記事では、ピスタチオの特徴や豊富な栄養素、期待できる効果などを果物大好きパティシエのmei.mと一緒に詳しく解説していきます。

ライター/mei.m

15年近くウェディングケーキを作ってきたパティシエで、現在は2児のママ。フルーツが大好きで、味見と称して様々な果物を食べてきました。ピスタチオはフレーバーにしても、デコレーションにしても、お菓子を格上げしてくれる頼れる食材!

ピスタチオの特徴

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ピスタチオは、樹高が10mほどにもなるウルシ科カイノキ属の落葉樹の実の種で、ナッツに分類される食材です。大きさは3cmほどの楕円形で、白っぽい殻で覆われており、完熟すると自然に殻が縦に割れます。

殻の中には薄皮に包まれた鮮やかな緑色の種が入っており、「ピスタチオ」はその種部分を食べますよ。国産品の栽培は難しく、日本で食べられているピスタチオのほとんどが輸入品です。

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どんな味がするの?

では、ピスタチオの実際の味はどのようなものでしょうか。ピスタチオの食感は、アーモンドやピーナッツのようにカリッとしたものではなく、噛み応えがありねっとりとしています。枝豆に似たようなほんのりとした甘みと、小粒でも存在感を感じさせる濃厚な独特のコクが特徴です。クセはありませんが、しっかり噛んでいくと、鼻に抜ける豊かな香りも楽しめます。

名前の由来や別名

ピスタチオの名前は、原産地域のペルシャ語「でんぷん質の豊富な」を意味する「PISTAH」、または「王様」を意味する「BISTAX」が語源と言われています。またピスタチオには様々な別名があり、「ナッツの女王」「緑の宝石」、殻の割れた形が笑っているように見えることから「ハッピーナッツ」と呼ばれることもあるそう。

ちなみに、中国ではピスタチオを漢字で「开心果」と書きますが、日本語には漢字の表記はありません。一説によると、ピスタチオの和名は「ふすだしゅう」と言うそうですが、その由来や漢字はよく分かっていないようです。

ピスタチオの歴史

ピスタチオの歴史は相当に古く、なんと紀元前6500年頃から食べられていました。驚くことに、旧約聖書に登場する女王もピスタチオを好んだそう。原産地は、現在のシリアやアフガニスタンなど、中央~西アジアと言われています。もともとは砂漠に自生していたものを、紀元前2000年ごろから食用として栽培され始めました。その後、ローマを経由して南ヨーロッパへ広がります。18世紀にはイギリス、20世紀にはアメリカへと伝わっていきました。

日本に伝わったのは、それからずっと後。19世紀ごろにやってきました。国内での栽培も試されましたが、日本の環境ではピスタチオの育成が難しく、定着しなかったそうです。

ピスタチオの栄養と効能

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基本的にナッツは健康食品と言われていますが、ピスタチオにも体に良い栄養素がたっぷり含まれています。その栄養価の高さから「ナッツの女王」と呼ばれ、漢方では「阿月渾子(あげつこんし)」という生薬として用いられているほど。

ピスタチオの主成分は脂質。脂質と言っても、ほとんどがオリーブオイルと同じオレイン酸リノール酸といった、脂肪になりにくい不飽和脂肪酸です。オレイン酸とリノール酸はコレステロールを含んでおらず、さらには血中のコレステロール値の低下に働きかけてくれますよ。その他にも、カリウムなどのミネラルやビタミンB群食物繊維などが豊富に含まれています。

では、ピスタチオに含まれている代表的な栄養素と期待できる効果を詳しく解説していきましょう。

1.疲労回復:鉄分・ビタミンB群

ピスタチオに含まれるビタミンB群は、食物の代謝を助ける働きを持つ栄養素です。特にビタミンB1は脳の働きに必要なエネルギーとなる糖質の代謝に関わるので、不足すると疲れがたまりやすくなってしまいます。ビタミンB2脂質の代謝に働きかけ、脂肪燃焼の効果も。これらのビタミンが代謝を上げることで体内にたくさんのエネルギーが供給され、疲労感が軽減されるのです。

鉄分は、赤血球の元となるのヘモグロビンの生成を助け、全身に酸素を行き渡らせます。全身に酸素が行き渡ることで、身体が疲れにくくなりますよ。また、鉄分や銅の摂取は貧血予防にもつながります。

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2.むくみ改善・高血圧予防:カリウム

カリウムはナトリウムとバランスを取りながら、細胞の浸透圧を調整する栄養素です。体内の塩分濃度が高くなると、余分な塩分を体外に排出するため、高血圧の予防に効果が期待できますよ。また利尿作用により、ため込みやすい水分も排出されるため、むくみの改善にも役立ちます。ピスタチオの摂取により高血圧予防の効果に期待する場合は、食塩の使われていないものを選びたいですね。

3.眼病予防:ルテイン・ゼアキサンチン

ルテインゼアキサンチンはカロテノイドと呼ばれる色素成分の一種で、緑黄色野菜に多く含まれる栄養素です。脂溶性であるルテインとゼアキサンチンは、油脂と共に摂取すると吸収効率がアップするため、脂質を多く含むピスタチオは効率よく摂ることが出来ますね。

ルテインとゼアキサンチンは共に目の黄斑部に存在しており、強力な抗酸化作用で有害な光から目を守り、目の健康を維持します。そのため、白内障や黄斑変性などの目の疾患の予防に効果的です。

4.整腸作用:食物繊維

食物繊維には、水溶性不溶性2種類があります。ピスタチオにはこの2種類がバランスよく含まれていますよ。ピスタチオの食物繊維は特に薄皮に多く含まれているので、栄養価を考えるなら取り除かずに食べるのがおすすめです。

水溶性食物繊維は腸内の善玉菌のエサになるほか、食後の血糖値を緩やかに抑えたり、コレステロールを吸着し体外に排出します。不溶性食物繊維は水分や体内の毒素を吸収して便の体積を増やし、腸を刺激して、便通を改善。それぞれの食物繊維が働き、腸内の善玉菌が増え、腸内環境を整えてくれます。

また、オレイン酸も腸の動きを活性化させる効果があるので、スムーズな便通を促してくれますよ。

ピスタチオのメリット・デメリット

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栄養豊富とはいっても、ただたくさん食べれば良いわけではありません。ピスタチオを食べる時のメリットデメリットを理解し、ピスタチオを健康に役立てましょう。

カロリーは高いの?

栄養満点でコレステロールは低いと言っても、脂質は高いピスタチオ。特にダイエット中は、どのくらい食べても良いか、カロリーの高さが気になりますね。では他の豆やナッツと比較して考えてみましょう。

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ナッツの種類:可食部100gあたりのカロリー/可食部100gあたりの糖質
ピスタチオ:615cal/11.7g
くるみ:674cal/4.2g
マカダミアナッツ:720cal/6g
アーモンド:606cal/9.7g
ピーナッツ:585cal/9.9g

他の豆やナッツと比べると、「糖質は高め、カロリーは中程」ということが分かります。確かに100gのカロリーだと、かなり多く感じますが、可食部のピスタチオ100g殻付きでおよそ180粒。結構な量ですよね。間食のカロリーの推奨量1日当たり200calと言われていますから、その他の食品とも併せて摂取し、1日40粒程度を目安にすると良いでしょう。

しかし、スイーツなどに加工された場合は、ピスタチオ以外にもお砂糖やバターなどが入り、さらに高カロリーに。ピスタチオを使ったお菓子の食べ過ぎには注意しましょう。

ピスタチオはダイエット向き

ピスタチオは栄養素がバランス良く含まれているため、ダイエット中の栄養補給にもおすすめの食材です。豊富な脂質腹持ちを良くしてくれますし、不溶性食物繊維が胃の中で膨らみ、満腹感を得られます。食前に食べると食事の食べ過ぎを防げて効果的です。また、脂肪燃焼効果のあるビタミンB2、むくみ改善効果のあるカリウムが体のシルエットスッキリさせてくれますよ。

ただし、カロリーは低くないので、食べ過ぎには注意しましょう。

ピスタチオアレルギーって?

過去の症例は多くはありませんが、ピスタチオには「ピスタチオアレルギー」というアレルギー反応が発症する可能性があります。ピスタチオアレルギーは食後すぐ症状が現れることが多く、かゆみや腫れ、蕁麻疹、吐き気、腹痛、ひどい場合には呼吸困難など様々な症状が報告されているそうです。

ピスタチオなどナッツ類のアレルギーは、少量でも重篤な症状が現れる場合があるため、もしピスタチオアレルギーが疑われる場合は摂取を避け、早めに専門医に相談しましょう。

歴史の古い「ナッツの女王」!ピスタチオを毎日の健康に取り入れよう!

旧約聖書でも言及される歴史あるナッツ「ピスタチオ」。古くから人々の間で親しまれてきましたが、日本でも近年、スイーツという新しい形でブームが起きています。「ナッツの女王」と呼ばれるほどに栄養豊富で、疲労回復や生活習慣病予防など様々な効果に加えて、ダイエット時の栄養補給にもピッタリ。ピスタチオのメリットやデメリットを理解し、毎日の健康に役立てましょう。

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家庭科

簡単で分かりやすい!ピスタチオの特徴と栄養や効能、歴史などをフルーツ大好きパティシエが詳しく解説

「ピスタチオ」は、縦に割れた白っぽい殻に包まれていて、実の部分が鮮やかなグリーンをしているナッツの一種です。お酒のおつまみとして食べられるイメージがありますが、最近では高級感あるスイーツのバリエーションとしても良く知られるようになったな。ピスタチオには高い栄養価があり、そのことから「ナッツの女王」と呼ばれているんです。今回の記事では、ピスタチオの特徴や豊富な栄養素、期待できる効果などを果物大好きパティシエのmei.mと一緒に詳しく解説していきます。

ライター/mei.m

15年近くウェディングケーキを作ってきたパティシエで、現在は2児のママ。フルーツが大好きで、味見と称して様々な果物を食べてきました。ピスタチオはフレーバーにしても、デコレーションにしても、お菓子を格上げしてくれる頼れる食材!

ピスタチオの特徴

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ピスタチオは、樹高が10mほどにもなるウルシ科カイノキ属の落葉樹の実の種で、ナッツに分類される食材です。大きさは3cmほどの楕円形で、白っぽい殻で覆われており、完熟すると自然に殻が縦に割れます。

殻の中には薄皮に包まれた鮮やかな緑色の種が入っており、「ピスタチオ」はその種部分を食べますよ。国産品の栽培は難しく、日本で食べられているピスタチオのほとんどが輸入品です。

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