「昆虫と虫の違いはなにか?」と聞かれて答えることができるでしょうか?とっさには説明できない人も多いよな。身近にいる生き物が昆虫か虫どちらなのか、これを読めばすぐに見分けられるようになる。今回は意外と知らない昆虫と虫の違いについて、ライターkuroakaと一緒に詳しく解説していきます。

ライター/kuroaka

博物館・美術館好きで学芸員の資格を持つWebライター。生きた昆虫は苦手だが、博物館で虫の標本を見るのは好き。寄生虫の博物館にも足を運んだことがある。

「昆虫」と「虫」の違いをひとことで言うと?

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「昆虫」と「虫」の違いについて、夏になると昆虫採集でお子さんから聞かれる機会もありますよね。どちらも身近な生き物だからこそ、その違いをすぐに答えることは難しいのではないでしょうか?そこでこの記事では、「昆虫」と「虫」の違いについて詳しく解説します。

ひとことで言うと、「昆虫」は生物学の分類で明確な定義がある生き物、「虫」は昆虫を含めた様々な生き物です。どういうことか、昆虫と虫それぞれの特徴をみていきましょう。

昆虫の条件は3つある

「昆虫」とは、生物分類上のグループ名。昆虫と呼ばれる条件は、基本的に以下の3つをクリアしていることです。

1.頭・胸・腹の3つの部分に分かれている
2.頭に一対の触覚がある
3.胸に3体(=6本)の足を持つ

出典:三省堂現代新国語辞典 第五版,2015年

例えば、昆虫と間違われやすい生き物にクモがいます。しかしクモは体が「頭・腹」の2つで、足が8本あるので昆虫ではありません。多数の足を持つムカデやダンゴムシも条件に当てはまらないので昆虫ではないんですね。

上記を読んで「条件に『羽を持つ』は含まれないの?」と疑問に思った方もいるのではないでしょうか。昆虫の中には、無翅類(むしるい)と呼ばれる、もともと羽のない種類があります。原始的な昆虫と言われるシミなどが当てはまり、幼虫と成虫で姿がほとんど変わらないのが特徴です。

虫の条件は特になし

では次に「虫」の条件をみていきましょう。

\次のページで「昆虫についてさらに詳しく知ろう!」を解説!/

人類、鳥獣、魚介類以外の動物。特に昆虫。

出典:三省堂現代新国語辞典 第五版,2015年

「虫」は昆虫のような生物学上の分類名ではなく、かなり多くの動物が含まれることになりますね。先ほど昆虫の条件から外れていたクモ・ムカデ・ダンゴムシも「虫」になります。

昆虫についてさらに詳しく知ろう!

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「昆虫」と「虫」のざっくりした違いがわかりました。次に、それぞれ具体的な特徴を説明していきます。

昆虫の特徴は?

先ほど昆虫の条件を3つ上げましたが、その特徴は体をひっくり返すとよくわかります。体の裏側を見た時に体が3つに分かれているか、足が6本あるか見てください。

さらに、昆虫は地球上の生物を分類したとき、「節足動物」に入ります。節足動物とは「外骨格」(体を覆う硬い殻)と「関節」を持つ動物のこと。(外骨格に対して、人間のように体の中に骨格がある場合を内骨格と言います)水中に住むカニやエビなどの甲殻類や貝類も節足動物に含まれます。

また、昆虫は地球上で一番初めに空を飛んだ生き物です。昆虫が空を飛び始めたのは約3億年前。昆虫は外骨格を持つ生き物の中で唯一飛べる種類でもあります。確かに、昆虫以外の甲殻類や貝で飛べる生物はいませんね。

これは昆虫に含まれる?

昆虫の特徴はわかったけれど、触ったり体の造りを近くで見るなんて無理…でも子どもに昆虫なのか聞かれる…。そんな方のために、身近な「昆虫」と「虫」を一覧にしました。

昆虫
・アリ
・バッタ
・トンボ
・カマキリ
・ハチ
・カブトムシ
・ハエ
・ゴキブリ
・蝶

(昆虫と間違えやすい生き物)
・クモ
・ムカデ
・ダンゴムシ
・ミミズ
・ダニ

虫についてさらに詳しく知ろう!

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「虫」は多くの生き物を含む言葉だとわかりました。しかし、生き物だけでなく「腹の虫」や「虫の知らせ」など、目に見えない架空のものにも使われますね。なぜこのように多くの意味を含んだ言葉になったのでしょうか?漢字の成り立ちから「虫」を詳しくみていきましょう。

漢字から読み解く虫の特徴

「虫」という漢字は、「へび」を意味した象形文字(物の形をかたどって書かれた文字)です。もともと虫は、マムシなどの爬虫類を指す言葉でした。なので現在使われている「蛇」という漢字には「虫」が入っているんですね。

「虫」がつく漢字といえば、「虹」もあります。虫は関係なさそうですが、なぜこの字を書くのでしょうか?「虹」の左側の『虫』は蛇の意味、右側の『工』は貫くという意味。合わせて「蛇が天を貫く」という意味になります。これは昔の中国で、虹を「空に現れる大きな蛇」と考えていたためです。

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これも虫?「腹の虫」や「虫の知らせ」

「腹の虫」や「虫の知らせ」などの慣用句の虫は何なのでしょうか?答えは「昔の人は体の中に感情を左右する虫がいると考えていた」です。実は、「虫」には生き物の他に以下の意味もあります。

1.子どもの体質が弱くて、疳(かん)が強いこと。
2.なんとなく心に感じられること「ーの知らせ」
3.かんしゃくを起こすもとになると考えられたもの「腹のーがおさまらない」
4.一つのことに熱中する人「本のー」
5.ある心理状態のもとになるもの

出典:三省堂現代新国語辞典 第五版,2015年

こうしてみると、目に見えない「虫」が私たちの身の回りにたくさんあることがわかりますね。

「虫」は「昆虫」を含んだ生き物

「昆虫」と「虫」の違いは生物学の分類できるかどうかです。「昆虫」は生物分類上のグループ名なので明確な定義があります。体が3つにわかれ、触覚があり、足が6本あるのが特徴です。「虫」は昆虫を含んだ様々な生き物を指します。目に見えない感情を表す意味もあるのが特徴です。ふたつの違いが分かると、身の回りの生き物がより身近に感じますね。

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3分で簡単にわかる!「昆虫」と「虫」の違いとは?条件や特徴を雑学好きライターがわかりやすく解説

「昆虫と虫の違いはなにか?」と聞かれて答えることができるでしょうか?とっさには説明できない人も多いよな。身近にいる生き物が昆虫か虫どちらなのか、これを読めばすぐに見分けられるようになる。今回は意外と知らない昆虫と虫の違いについて、ライターkuroakaと一緒に詳しく解説していきます。

ライター/kuroaka

博物館・美術館好きで学芸員の資格を持つWebライター。生きた昆虫は苦手だが、博物館で虫の標本を見るのは好き。寄生虫の博物館にも足を運んだことがある。

「昆虫」と「虫」の違いをひとことで言うと?

image by iStockphoto

「昆虫」と「虫」の違いについて、夏になると昆虫採集でお子さんから聞かれる機会もありますよね。どちらも身近な生き物だからこそ、その違いをすぐに答えることは難しいのではないでしょうか?そこでこの記事では、「昆虫」と「虫」の違いについて詳しく解説します。

ひとことで言うと、「昆虫」は生物学の分類で明確な定義がある生き物、「虫」は昆虫を含めた様々な生き物です。どういうことか、昆虫と虫それぞれの特徴をみていきましょう。

昆虫の条件は3つある

「昆虫」とは、生物分類上のグループ名。昆虫と呼ばれる条件は、基本的に以下の3つをクリアしていることです。

1.頭・胸・腹の3つの部分に分かれている
2.頭に一対の触覚がある
3.胸に3体(=6本)の足を持つ

出典:三省堂現代新国語辞典 第五版,2015年

例えば、昆虫と間違われやすい生き物にクモがいます。しかしクモは体が「頭・腹」の2つで、足が8本あるので昆虫ではありません。多数の足を持つムカデやダンゴムシも条件に当てはまらないので昆虫ではないんですね。

上記を読んで「条件に『羽を持つ』は含まれないの?」と疑問に思った方もいるのではないでしょうか。昆虫の中には、無翅類(むしるい)と呼ばれる、もともと羽のない種類があります。原始的な昆虫と言われるシミなどが当てはまり、幼虫と成虫で姿がほとんど変わらないのが特徴です。

虫の条件は特になし

では次に「虫」の条件をみていきましょう。

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