この記事では「大は小を兼ねる」について解説する。

端的に言えば大は小を兼ねるの意味は「大きいものは小さいものの役目もこなす」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

多くの学術書を読み、豊富な知識をもつハヤカワを呼んです。一緒に「大は小を兼ねる」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ハヤカワ

学術書を中心に毎年100冊以上の本を読む、無類の本好き。人にさまざまな影響を与える言語、それ自体に強い興味をもち、言葉の細やかな表現にも並々ならないこだわりをもっている。

「大は小を兼ねる」の意味や語源・使い方まとめ

image by iStockphoto

それでは早速「大は小を兼ねる」の意味や語源・使い方を一覧でご紹介していきます。またその他「大は小を兼ねる」は分類としては日本語のことわざであるという点も押さえておきましょう。

「大は小を兼ねる」の意味は?

「大は小を兼ねる」というキーワードを辞典・辞書・事典、ネット上の無料データベースサービス「コトバンク」で用語検索してみると、次のような記載があります。こちらの引用をまず確認していきましょう。

1.大きいものは、小さいものの役目もすることができる。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「大は小を兼ねる」

「大は小を兼ねる」は大きいものは小さいものの役目もすることができるという意味のことわざです。小さいものは大きいものの代わりにはならないが、大きいものは小さいものの役目もこなすことができる。「大は小を兼ねる」はこうした意味を表現する際に使われています。

「大は小を兼ねる」は書籍・新聞等の文章中のほか、口語においても時折使われる言葉です。日常的に使用されている身近なことわざの一つとなっているため、しっかりと意味を覚えておきましょう。この機会に「大は小を兼ねる」の意味・用法をしっかりと確認しておき、自身の語彙力を高めていきましょう。

「大は小を兼ねる」の語源は?

次に語源を確認しておきましょう。由来は中国前漢の著作「春秋繁露」に登場する「夫已有大者、又兼小者、天下能是之、況人乎(夫それ已に大なる者あらば、又小なる者を兼ぬ)」だとされています。これは「賢者は愚者の振る舞いもできる。だから天下で役に立つのは賢者だけだ」という意味です。

このことから「大は小を兼ねる」は非常に古くから使われている言葉であることがわかりますね。「大は小を兼ねる」は現在は人に対して使うのではなく、物に対して使う言葉となっており、由来から意味が変質しているため注意しておきましょう。

\次のページで「「大は小を兼ねる」の使い方・例文」を解説!/

「大は小を兼ねる」の使い方・例文

「大は小を兼ねる」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.大は小を兼ねるという言葉のとおり、部屋は狭いより広い方が良い。
2.大は小を兼ねるというが、どんなものでもそうとは限らない。
3.本は大きすぎれば扱いにくいばかりで、大は小を兼ねるとは言えない。

例文のように、大きいものは小さいものの役割を兼ねることができるという意味を表現したい場合に使われていることわざです。また場合によっては大きいものがより役立つとは限らないことから、「大は小を兼ねるとは限らない」のように否定の意味で使われることもあります。

「大は小を兼ねる」は小さいものより大きいものの方がより役に立つというニュアンスに注意して使用していきましょう。例文から「大は小を兼ねる」の実際の使用場面をイメージし、自身でも正しく使用することができるようにしていきましょう。

「大は小を兼ねる」の類義語は?違いは?

image by iStockphoto

続いて類義語・違いについて確認していきましょう。類義語をいくつかピックアップしました。関連するよく似た表現との違いを確認することで、「大は小を兼ねる」という言葉の機能をより深く理解することができます。

その1「大所の犬となるとも小家の犬となるな」:人に仕えるなら勢力のあるものを選べ

「大所の犬となるとも小家の犬となるな」はどうせ人に仕えるなら勢力のあるものを選べという意味のことわざです。こちらも大小に関することわざとなっており、「大は小を兼ねる」と似た意味をもった類義語となっています。古風な表現となっているため、注意して覚えておきましょう。

\次のページで「その2「大摑みより小摑み」:大儲けよりも少しづつ儲ける方が成功する」を解説!/

その2「大摑みより小摑み」:大儲けよりも少しづつ儲ける方が成功する

「大摑みより小摑み(おおづかみよりこづかみ)」は一度に大儲けしようとするよりも少しづつ確実に儲ける方が成功するという意味のことわざです。こちらも大小に関することわざとなっており、「大は小を兼ねる」と似た意味をもった類義語となっています。こちらは大儲けよりも少しづつ儲ける方が良いということで、意味に違いがあるため注意しましょう。

その3「大遣いより小遣い」:細々とした出費は大きな金額になりやすい

「大遣いより小遣い(おおづかいよりこづかい)」は大きくまとまった一度の出費よりも、日々の細々とした出費の方が大きな金額になりやすいという意味のことわざです。こちらも大小に関することわざとなっており、「大は小を兼ねる」と似た意味をもった類義語となっています。こちらは出費に関することわざとなっているため、注意して覚えておきましょう。

その4「大木の下に小木育つ」:大きな勢力を持つ人のもとには多くの人が庇護される

「大木の下に小木育つ(おおきのしたにおぎそだつ)」は大きな勢力を持つ人のもとには多くの人が庇護されるという意味のことわざです。こちらも大小に関することわざとなっており、「大は小を兼ねる」と似た意味をもった類義語となっています。権力者のもとに弱いものが自然と集まることに関しても使われるため注意して覚えておきましょう。

その5「大嘘はつくとも小嘘はつくな」:人が信じそうな嘘はついてはいけない

「大嘘はつくとも小嘘はつくな(おおうそはつくともこうそはつくな)」は誰も信用しないような大嘘はついても大して害はないが、人が信じそうな小さな嘘はついてはいけないという意味のことわざです。こちらも大小に関することわざとなっており、「大は小を兼ねる」と似た意味をもった類義語となっています。嘘に関することわざとなっているため、意味の違いに注意しましょう。

「大は小を兼ねる」の対義語は?

image by iStockphoto

つづいて「大は小を兼ねる」の対義語についても確認していきましょう。「大は小を兼ねる」には明確に対義語とされている語はありません。しかしその意味から連想してみると次の単語が思い浮かびます。

「長持枕にならず(ながもちまくらにならず)」:大きすぎては用をなさない

「長持枕にならず(ながもちまくらにならず)」は大は小を兼ねるとはいっても、大きすぎては用をなさないこともあるという意味の言葉です。「大は小を兼ねる」が大きなものは小さなものの役目もこなすことができるという意味を持っていたのに対し、こちらは必ずしもそうではないと否定する意味の言葉となっています。対義語として覚えておきましょう。

\次のページで「「大は小を兼ねる」を使いこなそう」を解説!/

「大は小を兼ねる」を使いこなそう

この記事では「大は小を兼ねる」の意味・使い方・類語などを説明しました。「大は小を兼ねる」は大きいものは小さいものの役目もすることができるという意味のことわざです。日常的に使用されることのあることわざの一つとなっているため、注意して意味・用法を覚えておきましょう

また類義語には「大所の犬となるとも小家の犬となるな」、「大摑みより小摑み」、「大遣いより小遣い」、「大木の下に小木育つ」、「大嘘はつくとも小嘘はつくな」などがありました。それぞれ少しづつニュアンスが違うため、細かい意味や使われる場面を確認しつつ、使い分けていきましょう。今回の記事が皆さんの参考になっていれば幸いです。

" /> 【ことわざ】「大は小を兼ねる」の意味や使い方は?例文や類語を読書家Webライターが解説! – Study-Z
国語言葉の意味

【ことわざ】「大は小を兼ねる」の意味や使い方は?例文や類語を読書家Webライターが解説!

この記事では「大は小を兼ねる」について解説する。

端的に言えば大は小を兼ねるの意味は「大きいものは小さいものの役目もこなす」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

多くの学術書を読み、豊富な知識をもつハヤカワを呼んです。一緒に「大は小を兼ねる」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ハヤカワ

学術書を中心に毎年100冊以上の本を読む、無類の本好き。人にさまざまな影響を与える言語、それ自体に強い興味をもち、言葉の細やかな表現にも並々ならないこだわりをもっている。

「大は小を兼ねる」の意味や語源・使い方まとめ

image by iStockphoto

それでは早速「大は小を兼ねる」の意味や語源・使い方を一覧でご紹介していきます。またその他「大は小を兼ねる」は分類としては日本語のことわざであるという点も押さえておきましょう。

「大は小を兼ねる」の意味は?

「大は小を兼ねる」というキーワードを辞典・辞書・事典、ネット上の無料データベースサービス「コトバンク」で用語検索してみると、次のような記載があります。こちらの引用をまず確認していきましょう。

1.大きいものは、小さいものの役目もすることができる。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「大は小を兼ねる」

「大は小を兼ねる」は大きいものは小さいものの役目もすることができるという意味のことわざです。小さいものは大きいものの代わりにはならないが、大きいものは小さいものの役目もこなすことができる。「大は小を兼ねる」はこうした意味を表現する際に使われています。

「大は小を兼ねる」は書籍・新聞等の文章中のほか、口語においても時折使われる言葉です。日常的に使用されている身近なことわざの一つとなっているため、しっかりと意味を覚えておきましょう。この機会に「大は小を兼ねる」の意味・用法をしっかりと確認しておき、自身の語彙力を高めていきましょう。

「大は小を兼ねる」の語源は?

次に語源を確認しておきましょう。由来は中国前漢の著作「春秋繁露」に登場する「夫已有大者、又兼小者、天下能是之、況人乎(夫それ已に大なる者あらば、又小なる者を兼ぬ)」だとされています。これは「賢者は愚者の振る舞いもできる。だから天下で役に立つのは賢者だけだ」という意味です。

このことから「大は小を兼ねる」は非常に古くから使われている言葉であることがわかりますね。「大は小を兼ねる」は現在は人に対して使うのではなく、物に対して使う言葉となっており、由来から意味が変質しているため注意しておきましょう。

\次のページで「「大は小を兼ねる」の使い方・例文」を解説!/

次のページを読む
1 2 3 4
Share: